映画 「変身」 (2005年)

原作/東野圭吾
脚本/よしだあつこ
監督/佐野智樹

http://www.henshin.cc/main.html


--------------------------------------------------------
成瀬純一は病院で目が覚める。医師は患者の容体をチェック。
名前を辛うじて思い出すものの、記憶が一部思い出せない。
彼には画材店の店員・葉村恵という彼女がおり、一目惚れして
画材店に通い、デートに誘ったこと。静かな湖畔で始めての
デートをしたときに彼女は卵サンドを持ってきてくれた事。
そしてその場で彼女をモデルに絵を描いていたことを少しずつ
思い出していく。やがて二人は告白しずっと一緒に居ようと
誓い合う。そして二人で住むためのアパート探しと食器を揃えて
回ることになる。
しかし彼は今、重体から目が覚めたばかりの身だった。
彼は担当医である橘直子に彼女に手紙を書きたい事を告げる。
歩けるようになると彼は院内を歩いて回る。すると堂元教授の
研究室に自分の脳がホルマリン漬けされているのを知る。
翌日に教授に話しを聞くと、銃弾が右脳を貫通して瀕死の状態
であったが、たまたま適合する脳が見つかり移植した事を知る。
しかしドナーに関しては一切教えてもらえなかった。
連絡をつけると恵はすぐに病室に飛んできてくれる。
少しずつ彼女と接していくウチに怪我も癒え始め、ついに退院
することになる。
彼女と会うだけでときめいていたハズが、何故か彼女の話が
急にくだらなく感じ始めた。そればかりか仕事に復帰すると、
惰性で働く社員ばかりに失望を見せる。
隣人が五月蠅くしているのを知り注意しに行くと、対応に出た
男性の態度が気に触り、部屋に帰って包丁を手にする純一。
寸でのところで恵からの電話が鳴り、殺意は相殺される。
--------------------------------------------------------

東野圭吾原作 + 今は旬の俳優陣で固めた映画ということで、
これ以上に無い環境を手に入れた訳だが、映画はゲンナリする
程つまらなかった。

心臓移植をするとドナーの性格の一部を継承するような行動を
取ることは現実的に報告されている事を耳にしたことがある。
信憑性は薄いが記憶を司る神経細胞の一部は心臓にあるのか
はたまた血液に含まれているのではないかという説が出ている
事も記憶しているが、映画ではそれ以上に謎多き脳移植によって
ミステリアスな部分を抽出して構成したような内容だ。

自分に起きている事が必要最低限にしか描かれずに、少しずつ
明らかになっていくという部分は少なからず興味深いところで
は有る。特にドナーがどんな人物だったのか、それを身を以て
体験し証明していくことによって、人物像を想像していく楽しさ
は有る。映画を見ていた時には、小さな音にも気を使うような
受験生がドナーなのかと思って見ていた。
それがやがて自分を殺害した犯人であり、それは同時に人格さえ
も失わせた相手だと知る。

しかしそれ以外のドラマが実につまらない。
犯人の性格を継承したにせよ、この人物が殺人鬼のような行動
を見せるというのは不自然ではなかろうか。
堂元英隆を殺す理由が有ったとしてもそれ以外の人物を殺害す
る程猟奇さを持ち合わせていたのだろか。

ドラマとしての繋がりもあまり気の利いたモノではなく、
何故成瀬純一が日記を付けていた事実を橘直子に語ってしまう
のかとか、山荘にいる成瀬たちの元に何故若生健一が来るのか
など説明されるモノがない。双子の兄妹との出会いも不自然
極まりなく、もう少し気を使って欲しかった部分。

まるで昭和時代を踏襲するような映像は特に気にならなかった
が、どうせならば脳移植をした教授をもっとマッド・サイエン
ティストっぽく描いた方が良かったのかもしれない。

昭和といえば、男に捨てられ何度も別れないとばかりに食らい
付く葉村恵の描写が完全に昭和時代のドラマっぽくて笑えた。
山荘でまた捨てられるところは完全に昭和のコントかと思った。

玉木宏 ……… 成瀬純一 (患者)
蒼井優 ……… 葉村恵 (画材屋)
佐田真由美 ……… 橘直子 (医師)
山下徹大 ……… 若生健一 (医師)
松田悟志 ……… 京極瞬介 (犯人)
釈由美子 ……… 京極亮子 (双子の妹)
北村和夫 ……… 堂元英隆 (父/不動産屋)

評価:★★★★☆☆☆☆☆☆ (4.0)

inserted by FC2 system