劇場版 「HERO」
久利生公平、最大の危機。

脚本/福田靖
監督/鈴木雅之

連ドラ版HERO】 【スペシャル版HERO


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9/10 午後9時頃、三軒茶屋の自動販売機の前で里山裕一郎が
殺害される。被疑者として検挙されているのは、梅林圭介。
芝山の取り調べにより自供を引き出し、傷害致死事件として
起訴。しかし芝山は自らの離婚調停の為、公判は久利生公平に
任せることになる。
いざ裁判になると梅林圭介が付けた敏腕弁護士・蒲生一臣の
策略により、起訴事実を全面否定してくる。当日、三軒茶屋の
現場にいたこと、そして犯罪をおかした事実を立証しなければ
ならなくなるが、梅林圭介は当日バイトの警備を行っており、
政治家・花岡練三郎のアリバイ証言の重要証人者としての役割
も担う事から、特捜部も巻き込み事件は全国民の注目を浴びる
ようになっていく。果たして傷害致死事件として立証できる
のか!?
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2001年の連続ドラマ、2006年度のスペシャルドラマに続く劇場
版の「HERO」。

山口支部から5年ぶりに戻ってきた久利生公平が山口支部時代
に因縁のあった花岡練三郎議員の絡む傷害致死事件の検事とし
て公判に挑むというモノ。
とはいえ、議員絡みの話は最小限に留まっており、全くと言っ
て良いほど複雑化しておらず、争点は単純に被疑者が事件当時
に現場にいたことを立証する事だけに集中した内容となってい
る。

どんな形で韓国ロケ、イ・ビョンホンが登場するのかと思って
見ていたが、事件を隠蔽するために被疑者が処分した車が韓国
に流される事から、公平と雨宮がたどたどしい韓国語を操り
ながら韓国へと渡るという設定の中で登場する。
有る意味では劇場版ならではの豪華さはこの韓国編の中に
だけ存在している感じで、それ以外の要素は殆どドラマ版と
変わりない。

ドラマとしては事件も気になるところだが、雨宮と公平の恋愛
はどうなったのかという事も一つの興味として存在している。
スペイン語、韓国語などがそれを彩る演出効果として存在して
いたことは言うまでもない。このドラマ、一見関係なさそうな
要素も後半部に於いて重要な要素として使用されるので侮れ
ないところだ。

被疑者が現場にいたことをどのように証明していくのか。
当日に現場で目撃者が居るにも関わらず、その事実を切り崩し
てくる、弁護士・蒲生一臣。それに対して公平は、現場にいた
という証拠である被疑者の車を見つけ出したり、直接的に
彼が写る写真を見つけ出していく。

その過程の中で花岡練三郎議員はアクセントとして使用された
格好だ。この議員を誰が演じるのかという事もサプライズと
して使用されているのだからソツが無い。タモさんが出てきた
時は代理人かと思ったが、議員本人を演じているのだから
驚いた。
彼のアリバイなど有る意味ではどうでも良いこと。しかしそれ
を破ることが傷害致死事件の真相を暴くことに繋がるという点
で上手い理由付けをしている。弁護士・蒲生一臣にしても、
彼をあっさりと切り捨てて行く様は、弁護士としてのプライド
を守った形であり、公平との対決に集中していく様が見られて
とてもよく出来ていたと思う。

公平が語る説得力有るセリフは今回も存在した。
加害者に罪の重さを知らしめるために動いていること。
そして何より人の命の重さを知るための裁判という事で、自分
の利益のために事実を曲げようとしている議員に訴えかけた。

ドラマとしてはこの辺の訴えが功を奏して懲役八年を勝ち取る
が、犯行の立証自体は曖昧だったし、控訴された事からも
一定の成果という結末に留まっている。

雨宮舞子 - 松たか子
中村美鈴 - 大塚寧々
芝山 貢 - 阿部寛
遠藤賢司 - 八嶋智人
江上達夫 - 勝村政信
末次隆之 - 小日向文世
牛丸豊 - 角野卓造
鍋島利光 - 児玉清
バーテンダー - 田中要次
井戸秀二 - 正名僕蔵 (城西支部刑事部受付の警備員)

河野桜子 - MEGUMI (傷害容疑で送検された女性)
郷田秀次 - 古田新太 (連続放火犯)
芝山良子 - 奥貫薫 (芝山の妻)
芝山の娘 - 山崎汐音 (芝山から溺愛されている)
黒川ミサ - 鈴木砂羽 (芝山の離婚裁判の妻側の弁護士)
梅林圭介 - 波岡一喜 (傷害致死事件の被疑者)
里山裕一郎 - 山中聡 (傷害致死事件の被害者)
松本めぐみ - 国仲涼子 (里山裕一郎の婚約者)
柏木節子 - 長野里美 (傷害致死事件の第一通報者)
川島雄三 - 伊藤正之 (自動車解体工場の工員)
滝田明彦 - 中井貴一 (虹ヶ浦支部時代に担当した被疑者)
泉谷りり子 - 綾瀬はるか (山口地検・虹ヶ浦支部の検事)
花岡練三郎 - 森田一義 (衆議院議員で元国土交通大臣)
大藪正博 - 石橋蓮司 (花岡練三郎の秘書)
カン・ミンウ - イ・ビョンホン (釜山地方検察庁の検事)
キム・ヒョンウ - ペク・ドビン (韓国・釜山地方検察庁の事務官)
黛雄作 - 香川照之 (東京地検特捜部の検事)
東山克彦 - 眞島秀和 (東京地検特捜部の検事)
桂山薫 - 岸部一徳 (裁判官)
蒲生一臣 - 松本幸四郎 (弁護士)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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