映画 「秘密」
(1999年)

監督:滝田洋二郎
製作:児玉守弘
製作総指揮:間瀬泰宏
原作:東野圭吾
脚本:斉藤ひろし

ドラマ版 秘密


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雪道をバスに乗って移動中の親子。長野県の白馬村へ法事の
為に帰郷する杉田藻奈美と母の直子。あくまで法事に帰るのが
目的だとしながらもスキーをするのを楽しみにしている。
春休みには宿題もないし、最高だという藻奈美。
そんな中、バスの運転手・梶川幸広には睡魔が訪れる。
やがて蛇行運転するようになり、ついには崖から転落してしま
う。

平介は久しぶりに一人だけの朝ご飯を食べていた。大好きな明
太子をご飯に乗せて食べる中、テレビのニュースで事故のこと
を知る。すぐに車を飛ばして信濃姫川病院へと向かう。
そこには直子の親戚一同が既に平介の到着を待っていた。
医師によると両方共に厳しい状態だという。そんな中、直子は
VFの状態に陥る。しかし一瞬目が覚める直子は、藻奈美の様子
を気にする。平介は隣のベッドで寝ている藻奈美の手を握らせ
るが、直子は亡くなってしまう。しかしその裏で直子の指輪が
光輝いていた。

藻奈美は目が覚めると、平介に私は死んだのか?と尋ねる。
平介はすぐに医師を呼びに走ろうとするが、藻奈美は突然私は
直子だという。私だって信じられないが本当のことだという。
平介は初めてのデートの事、そして初めて泊まった時のことを
直子に尋ねると、妻と平介にしか知り得ない情報を語り始める。
死んだのは藻奈美なのか・・・私は藻奈美の体を取ってしまった
と告げる。藻奈美が戻るならばどんな治療でも受けるとするが
平介は今は誰にも話さない方が良いと告げる。

退院し自宅に戻ってくる直子は、散らかっている自宅に驚く。
直子の仏壇を見て何か変な感じがするという。庭の花に水やり
を行う藻奈美の体を見て、平介は直子の姿を見る。

翌朝、平介が会社に出社するのを見送る。
直子はいつも日課となっていた夫のひげそり跡を確認する。
平介はカップ麺の開発を行っていた。
直子は藻奈美の部屋のベッドを見て、二人でじゃれ合っていた
時のことを思い出す。

会社の帰りに平介は図書館に立ち寄り、"憑依"について調べる。
過去の事例に於いてフランスでは、天然痘で亡くなったハズの
少女は生還した後に別人になっていた事があったという。少女
は死んだ女性の事を熟知していたが、2年後に本当の人格に
戻ったという。

帰宅する平介は、直子が藻奈美の制服を着ている姿に驚く。
直子は世間的には藻奈美として生きていこうと思うと告げ、家
では貴方の奥さんであることに変わりはない事を告げる。
指輪は藻奈美がお守りとしていた人形の中に入れて持ち歩くと
いう。40歳が高校生になれるのか?と平介は微笑む。

いよいよ直子が初めての登校の日。
親友の邦子は下駄箱で彼女に話しかける。大きくなったねと
思わず邦子に話しかけてしまう。
一方平介は、予め直子の事を担任の先生に語る。事故のせいで
他人の顔を覚えていなかったり、勉強が出来なかったりする事
が有るかも知れないことを告げる。担任の橋本先生は平介の
好みのタイプで、橋本も平介に好印象を持っているようだった。
いざ授業になるが、直子には全く分からなかった。

帰宅して風呂に入る平介の背中を流すという直子。
違和感を覚える平介だが、お前は直子だよなと改めて問い、
恥ずかしい思いをしながら背中を流して貰う。直子から、意識
は直子だが、脳は藻奈美なので勉強も意外と分かるという。

東鉄呉波観光バスの転落事故の被害者の会が弁護士立ち会いの
元で行われる。会社に請求する額は5千万から8千万円。
出席した直子は突然立ち上がると、事故の原因はハッキリした
のか?と問い、会社に徹底調査を求めて欲しいと頼む。これは
金の話ではないと告げる。
そんな中、会場に梶川運転手の息子さんが来ているという。
文也はみんなの前に立ち謝罪するが、被害者遺族の一人・藤崎
は態度が気に入らずにもっと誠意を持って謝れという。しかし
文也は突然ウチの父は人殺しなんかじゃないと告げ、外に飛び
出してしまう。直子は彼を追い掛け話しを聞くと、毎晩彼は
人殺しだと電話を掛けてくるのだという。

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法事で実家に帰省する母と子。しかしその途中でバスの運転
手の居眠り運転によって崖から転落してしまう。
母親は病院で亡くなったハズが、何故か子供の体には母親の
意識が存在していた。

ドラマ版の「秘密」も始まったと言うことで映画版も見てみた。
今から11年も前に公開された映画なんですね。

映画としては秘密という言葉が何処に掛かったものなのかが
ポイントで、最後の最後で反転する内容だったが、反転しなく
てもストーリーとしては十分成立する物語だと思う。

指輪というもののアイテムの象徴性を考えると、もう少しこの
アイテムが何らかの決定的な役割を果たしても良いのかなと
思うところがあったが、そうなるとちょっと安っぽいファンタ
ジードラマになってしまうかな。

難しいのは心は妻で体は娘という状況だ。
妻の立場でこのシナリオを考えれば、二度目の人生を送ること
が出来るという夢のような状況が待ち受けている訳で、大学
生活に於いて横目を向きたい気持ちも分からないでもない。
夫の立場からすると、実に艶めかしい中での悶々とした気持ち
の矛先をどこに向けていくのかが、とても複雑な感じに受ける。

夫の嫉妬心からドラマとしては面白い方向性に持って行くが、
精神的には同じ時代性を持っていても、肉体的状況として全く
違った道を歩いている事で、すれ違いというものは多分に起こる
ものだなと思う。

テンポも良く、被害者家族と加害者家族の関係性には違和感を
覚えながらも、不思議な関係で結ばれていくし、居眠り運転を
していた真相も最後に興味深い流れを作った感じ。

しかし石田ゆり子さんは色っぽかった。こんな教師は絶対に
居ないと思う。
ドラマ版では、主人公が志田未来さんという事もあって、子供
っぽさが有るが、この辺、佐々木蔵之助さんと釣り合いが取れて
行くのだろうか。加害者家族の設定も変わっているので、その辺
の絡みがどうなっていくのか楽しみ。

この映画で有ったような灯台のシーンは是非入れて欲しいな。


杉田藻奈美・直子 …… 広末涼子 (17歳、高校生)
杉田平介 …… 小林薫 (夫、カップ麺開発)
杉田直子 …… 岸本加世子 (妻)
梶川文也 …… 金子賢 (運転手の息子、ラーメン店"")
橋本多恵子 …… 石田ゆり子 (高校の担任の教師)
相馬春樹 …… 伊藤英明 (ボート部の先輩)
梶川幸広 …… 大杉漣 (運転手、居眠り運転)
三郎 …… 山谷初男 (直子の父)
木村邦子 …… 篠原ともえ (藻奈美の友人)
吉本和子 …… 柴田理恵 (近所のおばさん)
藤崎 …… 國村隼 (被害者遺族)
容子 …… 橘雪子
木島 …… 徳井優 (平介の同僚)
亀田 …… 広岡由里子 (平介の同僚)
小田島 …… 内山信二 (直子と同級生)
富雄 …… 冷泉公裕
好美 …… 塩崎沙織 (藻奈美の従妹)
友紀 …… 浅見れいな (直子と同級生)
里香 …… 生田いづみ (直子と同級生)
真美 …… 金井良子 (直子と同級生)
弁護士 …… 斉藤暁
寿司屋の主人 …… 螢雪次朗
医師 …… 並樹史朗
看護婦 …… 成瀬文枝
被害者の会幹事 …… 山中篤
報道記者 …… 柴田秀一
大学教師 …… 東野圭吾

冷泉公裕、柴田秀一、塩崎沙織、並川孝太
笹峰愛、桜井勝、井上佳子、美咲レイナ、林田河童、くじら
斉藤ひろし、山田誠、本宮純子、小林英治
芳野わかめ、米原克己、西本みずき、伊藤亮、小林勇次
金子哲之、宇和川士朗、杉山美幸、川村貴志、留美、林真由美
森富士夫、大森公民、小倉拓也、児玉頼信、伊藤幸純
おのまさし、臼井静、末宗直子、松木沙智子、沖田弘二
大関正義、神道時こしお、新城彰、野田貴子、早川亜友子
西美子、鶴田東、田代忠雄、伊藤隆、川越たまき、足立建夫
藤あけみ、近藤大善、松坂珠子、西岡沙織、葛岡健一
惣滑谷奈々、西中理恵、加納好啓、窪田良幸


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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