陰日向に咲く(2008)

監督:平川雄一朗 
製作:島谷能成、小杉善信、見城徹、藤島ジュリーK.
西垣慎一郎、磯野久美子、古屋文明、安永義郎
プロデューサー:樋口優香
企画・プロデュース:川村元気
原作:劇団ひとり
脚本:金子ありさ


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台風が近づく8月6日月曜日。
観光バスの運転手をする伸也は、事細かく使用した金をメモ帳
に書き出す。
秋葉原で休憩し、浅草で一人の女性・寿子が落とした100円玉を
拾ってあげる。
そうして会社に戻ると、富田所長に家計簿を付けていることを
報告する。所長は伸也にまだパチンコがやりたくなるか?と問う
と、それを否定した彼に借金の返済に回せとして、50万円の入
った封筒を手渡してくれる。
彼はギャンブル好きで400万円の借金を作っていた。その際
誓約書にパチンコをやらない事や生活を正す事を書いていたの
で有る。しかしそれを無視して早速貰った金をパチンコに使い
全てを使い果たすと町金融で借金を求める。しかしブラック
リスト入りした彼には金を借りることは出来無かった。

その頃秋葉原で売れないアイドルの武田みやこ(25歳)の事を
応援する三人のオタク、ツヨシ、ハジメ、ゆうすけ。
アイドルとして崖っぷちの彼女を何とか売れさせたいと考える
三人だった。

帰宅する伸也は、昼間に100円を拾った女性・池田寿子が劇場に
入ろうとしているのを目撃する。伸也は戸惑っている彼女に
一緒に劇場に入ってあげる。寿子は誰かを捜す素振りを見せる
と伸也は彼女に誰を捜しているのか尋ねる。寿子は一枚の写真
を差しだし、母親と雷太という男性がこの劇場で35年前に
お笑いコンビを組んで活動しており、相手役の男性を捜したい
事を告げる。母親は地味で真面目な鳥取の女性だが、日記を
見たら東京での思い出が書かれていたという。

母・鳴子は修学旅行で浅草に来た日、雷太という男性と出会う。
彼はお笑いの訓練をしていると告げ、鳴子相手に笑わせよう
とするが、微動だにしない彼女。しかしいつしか必死の雷太に
鳴子は思わず近づいてキスする。数ヶ月後に再び東京に戻って
くると彼女は雷太に日本一のお笑いコンビになろうと告げる。

しかし長くは続かずに離ればなれになった二人。
そんな雷太に母親の思いを伝えたいと告げる。そんな彼女に
探すのを手伝うという伸也。

一方サラリーマンのリュウタロウは、ある時歩道橋を悠然と
歩くモーゼというホームレスの生き方に感化され、彼の元を
訪れる。新入りとして歓迎してくれるモーゼと仲間たち。
モーゼとは30年前に滋賀県に住んでいた時に、琵琶湖の水を
まっぷたつにしたことが有ると自ら話している事からそう付いた
あだ名だった。

伸也は帰宅すると、アパートの周りには柄の悪い男たちが待っ
ていた。裏から入ろうとすると見つかってしまい、ドアに手を
挟まれ借金を返せと迫られる。

武田みやこの新曲発表会にいくオタク三人組。
しかし客は三名しかいなかった。そこでゆうすけは電話する
フリをして、客は現地に向かっているが電車が不通である事を
必死に告げて、みやこが落ち込まない様気を使う。

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母親の死を引きずり、父親とは仲違いし、ギャンブル好きで
借金を重ねる男・伸也は、人との出会い・関わり合いによって
人生の軌道修正を図っていく。

奇妙な縁があるという意味では面白いものだが、繋がりとして
は強引なモノで、やや感情移入が難しい内容だった。

昭和時代の小劇場で活躍した人たちの人生がベースとなっており
どの人物も貧しいその後の人生を送っている所を見ると、ちょっ
ぴり切なさを感じるものである。

説明足らずな部分があり、最初の一時間はほぼ無関係そうな
話に何の繋がりが有るのかと詮索していくが、最終的に一本の
ストーリーに繋がっていくという意味では面白く演出された
内容だった。
元々原作はオムニバスの様な形で描かれているのかな。

伸也はどのようにして母親の死を乗り越えていくのか。
自分の人生とは全く関係のない女性の末路を電話口で聞いて
しまったが為に、彼女に感情移入していくところは、この
ドラマでも妙味の聞いていた部分だ。

武田みやこの話は、ちょっと独立した形で存在していたけど、
このドラマだけを抽出して演出すれば面白くなるのかもしれ
ない。
平山あやさんもまだまだこの手のブリっ子キャラが似合う所が
凄いな。

モーゼは最後までウソツキで有ったところが笑えるが、お笑い
時代にウソツキというキャラクターでは無かった所が少々
不自然に映る。サプライズの為に必要以上に当時の姿を盛り
込めなかったのかもしれないが、お笑い時代の性格を上手く
反映していると面白かったのだろうね。


佐渡伸也 …… 岡田准一 (青和観光バス)
鳴子・寿子 …… 宮崎あおい (母/弁護士)
雷太 …… 伊藤淳史 (芸人)
武田みやこ …… 平山あや (みゃーこ)
ジュピター小島 …… 緒川たまき (ヌード)
劇場支配人 …… 本田博太郎
富田所長 …… 北見敏之 (青和観光バス)
川島の父 …… 山本龍二 (刑務所帰り)
アパートの管理人 …… 根岸季衣
伸也の母 …… 生田智子 (脳卒中で亡くなる)
ホームレス …… 堀部圭亮
借金取り立て …… 池内万作
借金取り立て …… 戸田昌宏
ハジメ …… 近藤公園 (オタク)
根室 …… 平岩紙 (バスガイド)
ツヨシ …… 諏訪雅 (オタク)
川島 …… 浜田学
モーゼ …… 西田敏行
ゆうすけ …… 塚本高史
リュウタロウ …… 三浦友和

増本庄一郎、岩田丸、木幡竜、松岡恵望子、鈴木アキノフ
菅谷大介、佐野夏芽、澤純子


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