氷の接吻 (1999年)
Eye of the Beholder

監督/ステファン・エリオット
出演/ ユアン・マクレガー、アシュレイ・ジャッドパトリック・バーギン 
k・d・ラング、ジェイソン・プリーストリー、ジュヌヴィエーヴ・ビジ
ョルド、チャールズ・パウエル

イギリスの諜報員がある事件を調査中に、ターゲットにしている容疑者
が女性によって殺される。そんな女性を追いかける内に運命的なものを
感じていく。

時に人間の自分勝手な思い込みは恐ろしいモノがある。
追いかけている容疑者の事を、別れた自分の娘の姿にダブらせ、その姿を
見守りながら追いかけていく。

これらは明らかに一方通行の愛情の形であり、感覚としてみればストー
キング行為そのものなのだが、映画では、最も懸念されるそれらの"気色
悪い"要素を一切排除することに成功した。

現実に見えたり触れたりするモノを醜く描いて、彼の様にフィルター越し
に眺める視線を、現実とは逆に擁護的に捉えている。

擦り寄る男性たちの欲に目を眩ませるばかりの醜い人間性と、女性の
無差別猟奇殺人を先立たせ、それと同時に、似たような過去の傷を持ち、
互いに足りない部分を満たせる相手として描いている為だ。

娘のように見守る筈の存在が、次第に嫉妬の対象となり女性としての
魅力を感じ始めた辺りから、娘の幻想から解き放つ。女性も影の主人公
の存在に気が付き始めて、見えない相手に恐怖心と同時に好奇心を抱か
せ、互いの心情をミステリアスでサスペンス性を孕んだ展開と共に描いて
いくなど、スリル満点の映画だった。

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