Life 天国で君に逢えたら

脚本/斉藤ひろし、吉田智子
監督/新城毅彦


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船の上で仲の良かった人たちが集まり遺灰を海の上に蒔く。
これは終わりではなく始まりの話。

飯島夏樹と飯島寛子はウィンドサーフィンの大会のために世界
中を転戦。車で移動中、パンクしたタイヤを見て寛子は一言
"欺された、詐欺だ"と。プロウィンドサーファーの彼女など
途中で挫折し別れるのがオチなのに、それでも寛子は文句を
言いながらも付いてくる。
夏樹は自分を信じて戦い続けたが、世界の壁は厚く日本では
敵無しの彼も世界では全く勝てなかった。365日移動と試合の
日々。金もなく家賃が払えず、時にテント暮らし。管理人の
おばさんからは、これは仕事ではなく道楽だよと忠告を受ける。
そんな夏樹も次のレースでダメならば諦めることを考えていた。
それを知って寛子も練習している彼の姿をビデオカメラに残す。

いよいよ最終戦であるワールドカップ、オーストラリア戦が
始まる。なんとか決勝に残った夏樹。
藤堂夫妻も応援に来る。夫・完は夏樹の師匠でも有った。
玲子は寛子に会うと体の心配をする。野宿にモーテルの日々。
寛子は持ち前の元気さを発揮し苦しくても楽しいことを告げる。
そして夏樹の夢を応援したい事を語る。彼女は幼い頃、父親
に町中で捨てられた事があり、その手を掴んでくれたのが夏樹
であり、そんな彼の事を支えたい気持ちで一杯だった。
夏樹は完に会うと、決勝レースに際して気難しくレースの攻略
を語って聞かせる。すると完は計算などせず、天然は天然
らしく戦えとアドバイスする。そして試合ではデッドヒートの
末、見事一位を獲得する。一番喜んだのはこれまで彼を支えて
きた寛子だった。

二人は結婚式を挙げる。
砂浜で二人は手を取り合い、始めて出会ったときの話をする。
そして夏樹は今まで苦労を掛けてきたこと、支えてきてくれた
事に感謝の意を表す。これからも付いてきてくれと彼女の手を
取ると、お腹の中の赤ちゃんと共にこれからも頑張っていく事
を誓うのだった。

それから四人の子供が出来る。大会でも日本人としては異例の
活躍。やがてハワイに大きな新居を構えた。
長女・小夏が10歳の誕生日を迎える。自転車のプレゼントを
すると小夏は大喜び。夏樹が転戦に出掛けるときに小夏は
パプリックスクールのペアレンツデーが有ることを告げるが、
その時は遠征の最中である事を告げ、母親に付いてきてもらえ
という。子供を授かってからも転戦の日々でなかなか自宅に
留まることが出来ない日々。ある時ハリケーンがハワイの地を
襲い、父親無き家の中で寛子を筆頭として四人の子供たちは
恐い思いをする。帰宅する父・夏樹に対して小夏は激怒。
玄関のドアの鍵をかけ、"どなたですか?"と皮肉混じりに言葉
を浴びせかけた。
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昨年放映していた映画が早くも放送されるなんて良いですね。

ドラマは38歳の若さで亡くなったプロウインドサーファーの
飯島夏樹さんとその家族を描いたもの。

ハワイを初めとして海外が舞台の映画だけあり、日本人の登場
は少ないが、ポイントに置く俳優はどれも豪華。子役に川島海荷
ちゃんを使うなど、隅々まで妥協のない作りだ。

映画の内容はややポイント無く淡々と進んでいく感じがする。
色んな事実をドラマの中に当てはめただけの内容となっており、
ウィンドサーフィンという特殊な事情を除いては、これと言っ
た象徴的なものが無かった。

映画としてはガンという事実に対して、その事実をどのように
消化し、残り少ない家族との時間をどのように過ごしていくのか
という事なのだろう。

転戦で家を空けていた時間が長い分、思春期の娘との葛藤は
限りなく少なかったし、妻・寛子の幼少期に受けた心の傷を
上手く癒せていたのか、その辺の事情もよく分からないまま
展開していく。

映画の中での一番のサプライズは、藤堂完の死だ。
まさか亡くなってしまうとは思わなかった。
"天国で君に逢えたら"というサブタイトルは、この師弟関係に
有る結び付きを描いているのかとさえ思うほど、その後の彼に
与えた影響は大きい。
"天然は天然らしく"、"自然に逆らっても勝てる訳がない"
そうした言葉は彼との関係の中で生まれたり、サーフィンを
していたから感じた思いではないか。
完は妻の玲子に残したものは無かったとしている。
夏樹に対しては心強い言葉を残していった。
なんとなく妻達も妬かせる程の関係に思えてしまうほどだ。

映画として苦しいところは、拠点をハワイとしている所だろう
か。日本とハワイの距離感の無い内容で、藤堂家や篠田との
結び付きはよく分かるのだが、映画の中では夏樹の事情に会わ
せてこの二人がハワイを行ったり来たりしている印象が出てい
る。

しかし何処か勇気づけられる内容でも有るかなと思う。

飯島夏樹 - 大沢たかお
飯島寛子 - 伊東美咲
藤堂玲子 - 真矢みき
篠田 - 袴田吉彦
飯島小夏 - 川島海荷
武藤医師 - 石丸謙二郎
藤堂完 - 哀川翔 ほか

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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