Little DJ 小さな恋の物語 

監督:永田琴
プロデューサー:森谷雄、千葉伸大、遠藤日登思 
エグゼクティブプロデューサー:橘田寿宏
原作: 鬼塚忠
脚本: 三浦有為子、永田琴


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ラジオFMで働く海乃たまきは担当するラジオ番組のリクエスト
ハガキが来ない為に番組の打ち切りが決定する。しかし上司
からはタイトルとDJを替えるだけでリニューアルしてまた
似たような番組を行うという。一応前の番組との手前一ヶ月は
休みにするとの事。最近仕事続きだったたまきにこの機会に
休みでも取れと言われる。
たまきはリクエストハガキが来ないことで、聞いている人が
皆無なのかも知れないと落ち込む。これではコミュニケーション
ではなく垂れ流しの状態だと感じる。たまきはラジオの楽しさ
を教えてくれた少年との出会いがきっかけで、現在のラジオ
ディレクターへの道を歩んだのだった。

1977年函館。野球少年でラジオが大好きな12歳の少年・高野太郎
はこの日9回裏に代打でバッターボックスに立つ。自分で野球
中継をしながらバッターボックスに立ち、見事サヨナラヒット
を打つ。しかしベースを回っているウチに突然鼻血を出して
倒れてしまう。
大した事は無いのに母・ひろ子は仕事中の夫・正彦に子供が
大変だったと電話する。帰宅する正彦は元気に素振りしている
息子の太郎を見て安心する。

しかし三日後またしても鼻血を出して倒れてしまう。保健室の
医師からは一度病院で診てもらった方が良いと言われる。
母は妹・かなえが勤めている高崎記念病院で診てもらう事になる。
若先生が優しく対応してくれる。
太郎は待合室に居る間に、全身を包帯巻きにされた患者が
運ばれてくるのを見て震え上がる。
若先生は主人と話したい事を告げる。血液検査の結果が気になる
という。正彦は呼び出されて事情を聞くと、息子が白血病で
有ることを知る。こんな田舎の病院では大した検査は出来無い
と正彦は憤怒するが、太郎が再び鼻血を出すのを見て心配する。

太郎はこの病院で入院することになる。
病院内では有線放送の様な形で毎日昼に音楽が流れていた。
太郎はスピーカーのケーブルを辿っていくと、病院とは離れた
場所にある建物を発見。中にはいるとレコードやオーディオ機器
が多数並べられていた。机の上にマイクが有るのを見ると、
太郎は大好きなラジオ番組のDJ尾崎誠のマネをして自分もDJを
してみる。するとそれを聞いていた、病院の大先生は昼の放送
のパーソナリティをしてみないかと告げる。実際試しにDJを
してみるとその日の血液検査の結果が良好である事を知る。
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白血病の少年・太郎は毎日夜中にラジオを聞くのが趣味だった。
そんな時、入院した病院でDJを任されて担当すると、それが
好評で、院内の中の患者からも声を掛けられるようになる。

映画としては面白いのだが、この映画に取り上げられる
ラジオだったり70年代、80年代というキーワードが、既視感故
にやや乗り切れない部分も存在する。

時代を象徴するのはやはりオーディオ機器であり音楽であり、
そしてなんと言っても主人公の家族が乗っている日産スカイラ
インだ。

映画を観ていると、まるでTVドラマ版「世界の中心で愛をさけ
」の再現のような内容だった。ドラマでは70年代ではなく
80年代だったし、設定としては高校生だった訳だが、ここでは
年齢設定は随分低く設定されている。

ラジオが如何にコミュニケーションのツールとして存在していた
のかが分かる造りでもあり、それらが放送している時の時間
を共有するリスナーとパーソナリティの一体感も上手く演出
される。ラジオを通して心を閉ざしていた人たちが少しずつ
開花していくところに元気がもらえたり、病院内で色んな人生
模様や親子関係・家庭の形を見せられ、8ヶ月という期間の中
でも一気に人生についての成長を促す展開が用意される。

ドラマではこんな短い期間の中に色んな要素が詰め込まれ過ぎ
ていて、やや冗長に感じられる部分もある。
一本のテーマに絞り切れて居らず、欲張りな程に色んな要素が
点在していて散漫な感じを受ける。

最後の15年の時を経て太郎の思いが届く一通の手紙の存在辺り
は逆に端折った方が潔く感じるだろうし、星に関するエピソード
もややくどかった。

ただこういうドラマや映画が無性に観たくなる時があるので
そういう周期に上手くぶち当たれば、最高に面白いドラマに
なるんだろうね。

文化庁が関わっているためか、誠実というよりも"真面目"な
内容って感じかな。


高野太郎 …… 神木隆之介 (12歳の少年、白血病)
海乃たまき …… 福田麻由子 (13歳の少女、交通事故)
海乃たまき(成人) …… 広末涼子 (FMラジオ局)
若先生(高崎太郎) …… 佐藤重幸 (高崎記念病院)
かなえ …… 村川絵梨 (看護師)
捨次 …… 松重豊 (患者・黒部ダム)
結城 …… 光石研 (患者)
結城周平 …… 賀来賢人 (結城の一人息子)
タエ …… 森康子 (患者・家族から疎外?)
尾崎誠 …… 小林克也 (ミュージック・エクスプレスDJ)
高野ひろ子 …… 西田尚美 (母)
高野正彦 …… 石黒賢 (父)
大先生(高崎雄二) …… 原田芳雄

江口のりこ、池田香織、宮田早苗、長谷川紀子、十川史也 
土屋匠、中村咲哉、掟ポルシェ、近江谷太朗、小林且弥 
家城啓之、小橋亜樹、河野真也、藤尾仁志 

佐藤正和、笠松伴助、山本泰弘、長谷部敏史、小林大介
池田真子、金澤佐知、野上慶一郎、和田優樹、星野美穂
河井健一、柴田晶子、浜井美樹、梅田凡乃、樋口史


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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