マン・オン・ザ・ムーン (1999)
MAN ON THE MOON

監督/ミロス・フォアマン
脚本/スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー

35歳で他界したコメディアン"アンディ・カフマン"の短い生涯を
描いた作品。

いやぁ癖のある映画だが面白かった!

冒頭から不思議な感じに始まる映画なんだけど、見終わって
みると改めてこの冒頭の演出は彼がやってきた事そのものなんだ
なと実感させられる造りだ。

人は芸能人になると私生活を失いどんな時にも芸能人という重荷
を背負っていかねばならないが、この映画に出てくる主人公・
アンディ・カフマン自身もコメディアンとして活躍してウチに
素性というものを失い、迷走する人物として心の中で寂しさに
包まれていく様子が描かれていた。

ドラマとして面白いのは、観客を舞台に引きつけるために笑い
というものを独自の解釈で上手い感じに導いていこうとする点だ。
沈黙を使った笑いから始まり、相手を怒り狂わせたりして、自分
の芸に引きつけるための手段にしてしまう。
彼の中に独特の感性が有るから、次にどんな手段を使って、芸に
溺れさせるのか全く見当も付かない。これまでの定番の笑いを
求めるのではなく、彼の中の笑いに対する無尽蔵なまでの欲求は、
まさに笑い界のIT革命だと言ってもおかしくないくらい先進的な
考え方を持っていたと思う。

一目見ただけではよく分からない描写があったのも確かだ。
このドラマの中のダニー・デビートの台詞がそれを象徴するように
彼の行っている行動の本質には、観客を喜ばせたいのか、自分自身
を喜ばせたいのか、よく分からない場面が有った。

ドラマの中でも世論の行方が指し記すとおり、彼の事を天才
だと捉える人もいれば、下品な笑いだという解釈も出来る事で
この辺は感性の違いという所なのかもしれない。

ラストでは最後の希望をフィリピンの心霊療法に託した。
しかし彼の今まで行ってきた行動を見るかのように、そんな療法
にも真実が隠されていたという寂しい結末によって、世の中に
対する儚さを感じる作り。

冒頭にも書いたが癖のある映画なのでお勧めはしないが、
なかなかの怪作だと思う。

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

ジム・キャリー (アンディ・カフマン) コメディアン
ダニー・デヴィート (ジョージ・シャピロ) マネージャー
コートニー・ラヴ (リン・マーグリス) アンディの恋人
ポール・ジアマッティ (ボブ) 作家
ヴィンセント・スキャヴェリ (メイナード・スミス)
ピーター・ボナーズ (エド・ウェインバーガー) ABCプロデューサ
ジェリー・ベッカー (スタンリー・カフマン) 父
レスリー・ライルズ (ジャニス・カフマン) 母
マリル・ヘナー (本人)
Pamera Abdy (ダイアン・バーネット)
Melanie Vesey (キャロル・カフマン) 妹
マイケル・ケリー (マイケル・カフマン) 弟
Tamara Bossett (フォクシー・ジャクソン) 女性プロレスラー
クリスティン・キャメロン (サラ)
バド・フリードマン (本人) バーの支配人
ジェリー・ロウラー(本人) メンティスの英雄プロレスラー
Gerry Robert Byrne () ドラマ"TAXI"プロデューサ
Doris Eaton (エレノア) 舞台で倒れる老女優

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