砂時計 (2008)

監督/佐藤信介
製作/加藤嘉一、亀井修
プロデューサー/久保田修、武田吉孝
原作/芦原妃名子
脚本/佐藤信介


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14歳の時両親が離婚し、水瀬杏は母親と共に島根の実家へと
出戻り。帰郷の途中、杏は母・美和子と共に一年計の砂時計が
設置してある島根県邇摩郡仁摩町の施設を訪れる。そこで
母親から小さな砂時計を買ってもらう。
電車の中で二人で砂時計を眺める。下に落ちる砂は過去、上に
積もる砂は未来。しかし反転すると過去は未来になるという。

帰郷すると祖母の美佐子は、この結婚に最初から反対していた
として、タダ飯を食べさせるわけには行かないと美和子に告げ
る。しっかりしろと言われる美和子だが、事業に失敗して夫
から捨てられた格好になった彼女は傷ついていた。

杏はこの村にコンビニは有るのかと散歩に出掛ける先で、大悟
の父親から声を掛けられる。大悟からは金はないのか?と尋ね
られ仕事ならば幾らでもあると言われた杏は、彼に言われるま
ま造り酒屋に連れて行かれて、薪運びを手伝わされる。ここで
働けばすぐに駄賃がもらえるという。大悟はこの家の家族の
娘・椎香とその兄・藤を紹介される。椎香は転校生が来たと
和服姿で喜ぶ。
一日の仕事が終わり明日は10時に迎えに来るという大悟と別れ
帰宅する杏。疲れて就寝するが、夜寝床に母親が居ないことに
気がつく。母は台所で涙していた。

翌日も薪運びのアルバイトに精を出す杏と大悟。杏は藤から
突然おはぎを食べないかと誘われる。
そんな中、滝田が杏を呼びに来て母親が倒れた事を聞かされる。
医者は前から鬱の症状はなかったのか?と聞かれるが杏は、昨晩
初めてその兆候が有ることを知った。散々頑張ってきた母親に
頑張れと言葉を掛けないよう医師から言われる。
その夜再び母親は一人で出掛けようとするのを杏は見掛けて
声を掛ける。眠れないから外の空気を吸いに行くだけだという
母親に対して自分も行くと言うが、留守番を頼まれる。それ
以降母親は帰宅せず行方不明になる。

杏は心配していると大悟は気を使ってお母さんは一人になりた
かっただけで神様は杏を見捨てることはないと告げる。もしも
神様が杏を見捨ててもオレが見捨てないと彼女に語る。
その日の夜、村にも雪が降り始めた。突然玄関の扉が開いた
かと思うと町の青年団たちが母親の遺体が見つかった事を告げる。

葬式の時、祖母は自分がしっかりしろと声を掛けた事が自殺に
追い込んだと責任を感じていた。杏は母親の遺影を見つめながら
悪いのは祖母ではなく、弱かった母親のせいだと告げ、母親に
買ってもらった砂時計を投げつける。

大悟は落ち込んで一人佇んでいる杏の元に砂時計をもってくる。
一人になってしまったという杏にオレがずっと一緒にいる約束
だとして勇気づける。
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中学時代に父親の事業が失敗し両親が離婚した上、実家に
帰省した先で母親は自殺して亡くなってしまう。
一人になったと落ち込む彼女の前に、一生傍にいてくれると
いう男性が現れる。

原作もドラマ版も未見。

このドラマを彩る女性キャストが実に豪華で、新人の俳優たち
にも注目の俳優達を起用している点で相当力が入っているなと
いう感じの映画。

成長する過程で幼い頃受けたトラウマで有る母親の死を引き
ずる事もあって、その部分に於いては一種のホラー風の味付け
がしてあり、なかなか飽きさせない作り。

結構酷評されている映画だけど、多少サイドストーリーや背景
が分かりづらい部分があるのは確かだ。
大悟たちとの出会いの場面に於いては随分端折り過ぎている
感じもあって、愛なのか何なのか分かりづらい部分が有るの
だが、その分この恋が永遠に続く物なのかと不安な一面と
して現れて、良い感じの不透明感が出ていた。
また藤くんの存在は大して絡むシーンが無いにも関わらず、
結構重要な役割を与えている点で中途半端に見えてしまう所
が残念。
杏の婚約者と破談になるシーンなんて、正直相手の男性の幼稚
さに、今まで彼女の何を見てきたのかと小一時間問いたくなる
様な別れ方だった。

映画としての肝は、境遇から生まれる互いの性格に有った。
他人から言われるまで気がつかない杏。彼女は自分のことしか
考えられず、他人に配慮するだけの余裕が無い。逆に相手役の
大悟は杏のことばかりを考え、自分の事を犠牲にしている役柄
だ。自分のために柔道を辞めたと知った彼女は、幼い頃に交わ
した約束が彼の人生を縛り付けるものとして考え始める。
高校の友達の朝ちゃんだったり、椎香がその事を分かりやすく
指摘する辺りが如何にも作り物のドラマだなと思わせるが、
何故二人が別れたのかが、このドラマに於ける最大の謎として
存在し、上手く興味を引き付けるだけのドラマを用意している。

夏帆さんのラブシーン姿も初めて見た。
結構何度もキスするシーンが有り、秘密基地のような小屋に
行くときには如何にもHの為に向かっている気がしてもう少し
自然にあの場所に行けなかったのかなと思うところもあったが、
まぁこんなものかな。

水瀬杏(大人時代)…… 松下奈緒
水瀬杏(中高生時代)…… 夏帆
北村大悟(大人時代)…… 井坂俊哉
北村大悟(中高生時代)…… 池松壮亮
月島藤(中高生時代)…… 塚田健太 (兄)
月島椎香(中高生時代)…… 岡本杏理 (妹)
植草美和子…… 戸田菜穂 (杏の母親、自殺)
佐倉圭一郎…… 高杉瑞穂 (杏の婚約者)
月島椎香(大人時代)…… 伴杏里
水瀬正弘 …… 風間トオル (杏の父)
植草美和子 …… 藤村志保 (杏の祖母)
大悟の母 …… 立石凉子
大悟の父 …… 赤堀雅秋
滝田 …… ト字たかお (近所の人)
朝ちゃん(リカ) …… 倉科カナ (杏の高校時代の友達)

中平良夫、久我朋乃、平田弥里、加治木均、あじゃ、辰巳蒼生
飛鳥井みや、松田大偉、渡辺火山、松岡哲永、ふたむら幸則
春日亀千尋、三上直也、おぎのきみ子、小林きな子、鈴木昌平
桜井千寿、阿部丈二、早坂美緒、宮島朋宏、堀本雪詠、岡本彩
橋本沙也加、北村友彦、鈴木龍之介、飯田友佳、飯泉学
堀田智子、原田雅史、岩谷知広、行田将士、林晴子、岩町功
炭野久子、下谷彰司、岡崎紀子、岩上弘史、矢崎理恵
渡部稔、川崎一人

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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