天使の恋 (2009) 監督：寒竹ゆり プロデュース：梅村安 企画：梅村安 原作：sin 脚本：寒竹ゆり

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14歳の頃、クリスマス。
光輝は医者から大脳グリオーマが疑われるという。このままだ
と二年前後で麻痺や記憶が低下し、生存も難しいという。
手術によってその症状を遅らせることは出来ると言うが、全摘
は難しいとのこと。
一方小澤理央は、母・絢子と共に光輝と同じ病院に来ていた。
絢子は理央の為だとするが、本人は処置される事を拒む。
光輝と理央は、病院の椅子に座っていた。

17歳の頃。
芝田奈緒子は鮎川友子の事を"ともすけ"と呼びカツアゲする。
しかしこれ以上金を持ってくるのは無理だという友子に対して
奈緒子は容赦なく無理ならば作ればいいとして、彼女を押さえ
つけて脱いで金を稼げと言う。
しかしそれを見かねた理央は、奈緒子に対して、あなたとは友達
だがこういうイジメみたいなことは嫌いだとして、それを止める。

理央は友人の田沼真樹や松方未歩を引き連れ、友子を慰める。
もうイジメは大丈夫だとすると、友子は何で私なんかを助けて
くれるのか?と問う。友達が虐められていたらほっとけないという
理央に、友子は喜びを覚える。

3人は友子を綺麗にメイク・ドレスアップすると、アルバイト
の話を持ちかける。それは援助交際だという。売りなど誰でも
している事だとして、ウチらと一緒にいたくないか?と問う未歩。
しかし理央はやっぱり友子を引き入れるのは辞めようと告げ、
友子は綺麗なままで居た方が良いという。これがウチらの絆の
様なものだというと、友子は自分もみんなと一緒にやるという。
みんなと一緒にいると楽しいし、何より助けてくれたと告げる。

田辺佑二は友子と援助交際した男性の写真を撮り、男を脅して
50万円をむしり取る。
理央は友子を装飾店に連れていくとお揃いのイヤリングを購入
する。
理央は佑二と逢うと、巻き上げた金を彼女に渡す。そして儲けた
金を山分けするのだった。

光輝は自分自身の姿をカメラで撮ろうとするも、なかなか上手く
撮ることが出来ずにいた。

理央は4人で撮った写真のフィルムを取りに写真店に行く。
そして学校でその写真を確認すると、全く別人が写真に写って
いた。同じ大澤でも、この写真の人物はオオサワコウキと書かれ
ており、写真店から間違えて渡されたことを知る。
理央は写真に写る男性の事が一目で気に入り、すぐに袋に書か
れた連絡先に電話し、写真を取り替える事にする。

雨の中、真っ赤なヴィトンの傘を差して待ち合わせ場所で待つ
理央。その間に男性からナンパされるが、光輝が傘を差して
くるのが分かると、その傘を男に渡して光輝と逢う。
急いで来たので傘を忘れたという理央。
なんとか盛り上げようとして語りかける理央に対して、素っ気
なく用件だけ済ませようとする光輝。フィルムを交換し別れる
事になるが、名残惜しい理央は彼に傘を忘れてきたので駅まで
入れてくれないか?と頼む。駅に着く間にも、理央はなんとか
気に入られようとして、写真の自分撮りの方法を教えたりして
取り入ろうとする。そんな中、突然光輝は倒れてしまう。

病院へ運ばれると看護師し、光輝には泊まって貰うことになる
として、付き添っている理央に告げる。何処か悪いのか?と尋ねる
も詳しくは明日の検査で分かるという。
目覚めた光輝は看護師から、ずっとあの子が付き添ってくれて
いた事を聞く。

翌日光輝は理央にお礼の電話をしようとすると、理央は既に
病院に向かっていた。光輝に対して理央は何処にいるのか?と
問うと、病院だという。そんな彼の前に理央は突然現れる。
どうしたのか?と問うが、理央は何故自分が病院に駆けつけたの
か分からないという。しかしなんか気になった事を告げる。
僕のこと何も知らないでしょう?と問うと、初めて逢ったときに
会話した内容からなんとか話題を抜き取り、そして光輝の印象
を語る。無愛想で寂しげで希望を無くした人のようだというと
確かに無愛想なことは間違いないとして微笑む。そんな彼の姿
に貴方でも微笑むのねとし、互いに少しずつ会話を広げていく。

後日理央は光輝が勤める大学に歴史学の講義を聞きに行く。
そして今度日本史を教えてくれるよう頼む。私は貴方の命の
恩人だからとして、なんとか約束を取り付けるが、彼の研究室
には、女性・潮田香里がやってくる。理央は彼女かと思い、
失望してその場から立ち去ってしまう。
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幼い頃、レイプされて堕胎した事により人生が狂い始める。
援助交際、いじめ、恐喝、そして美人局によって数々の悪さ
を繰り返す彼女だが、ある時写真のフィルムを取り違えられた
事で、偶然の出会いがある。彼はとても無愛想で何を考えてい
るのか分からなかったが、彼女はそんな彼に引き寄せられて
いく。

女子高生が心の傷を背負う背景に、レイプが有ったりイジメの
問題が存在したりするなど、如何にも"携帯小説"が原作という
作り。
女子高生を限定としたような理想と現実が入り交じった様な
世界観で、ストーリーの中に自殺があったり、病気によって
彼を失いそうになる所など、まさに携帯小説的展開。

可愛い顔をしている割にエグい展開が続くが、そんな彼女でも
ある人にとっては居場所として存在したり、憧れ・象徴として
存在していたりと影響力の強い主人公だ。

奈緒子が自殺してしまう所など、かなりの唐突感が存在するし、
友子への告白に関しても、そんな印象を受ける。
この辺は時間的制約故に仕方がない部分もあるし、サプライズ
を意識した作りなので仕方がないのだろう。

映画では、理央の圧倒的な良い意味でのアンニュイさという
ものが描かれている内容で、彼の前では純粋で弾き飛びそうな
程活き活きとした彼女の姿が実に好感的に映る。
佐々木希さんの演技力では難しい部分があるのではないかと
いう先入観も吹き飛ぶほど、大人の男性の前で気に入られようと
する小悪魔的な姿に、引き付けられる作品だった。

理央の友達も含めて、とても可愛らしいファッションをして
いるし、主人公の女子高生4人だけで、「Sex and the City」の
ティーンエージ版が作れるのではないかという程の魅力がある。

腫瘍の大きさを考えると、生存するのは現実的には難しいと
感じるが、手術によって記憶を失った彼との再会に、一度目の
出会いと同じような形を用意するなど、なんとかワンパターン
を打開しようとする努力の後が伺える。

昔みたマンガ「空のキャンパス」で記憶を失った後、北野太一
の前に現れる赤城榛名見たいな展開だったな。


小澤理央 …… 佐々木希 (17歳、高校生)
小澤光輝 …… 谷原章介 (35歳、九智学院大学・歴史学教授)
鮎川友子 …… 山本ひかる (17歳、高校生・虐められ)
田沼真樹 …… 大石参月 (17歳、高校生・理央の友人)
松方未歩 …… 七菜香 (17歳、高校生・理央の友人・長髪)
芝田奈緒子 …… 加賀美早紀 (17歳、高校生、友子を虐める)
田辺佑二 …… 深水元基 (理央のパトロン)
潮田香里 …… 酒井若菜 (光輝の従妹)
下山昌男 …… 吹越満 (奈緒子の母の彼)
田代一喜 …… 津田寛治 (医者)
社長 …… 笑福亭鶴光 
小澤絢子 …… 若村麻由美 (理央の母)

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)