鉄道員 (1956年)
Il ferroviere

監督・脚本/ピエトロ・ジェルミ

第2次世界大戦後のイタリアを舞台にした、都心部に居きる庶民の姿を子供の
視点から描いた作品。

鉄道員を検索で調べようとすると、まず第一に現れるのが鉄道員(ぽっぽや)。
なかなか目的のページにたどり着くことは出来ませんが、一般的には
名作に数えられる映画の一つ。

監督自身が頑固で酒豪な父親役を演じている。

一家が遭遇する苦難の数々に苦しみもがきながら、再び和解までの道を
描いた映画で、頑固な父親が病や年齢的な衰退により、自らの弱さを知った
途端に他人に優しくなり、自らのトゲが抜けていく様が切なく、そんな父親
を尊敬して止まない末っ子が、家庭の中で仲裁役に奔走している姿が
逆に逞しく思える作品。

子供の理解力を越える事態に遭遇し、それを小さな体で受け止めて理解
したいと思っている姿がとてもいじらしい。
蚊帳の外に置かれがちな子供の存在であるが、ある事件をきっかけに大人
と同等の扱いを越えて男と男の話し合いになった途端、真実を語ってしまう
所などご愛敬とはいえ良くできている。
頑なな父親像ではあるが、尊敬して常に付きまとっている子供の表情や態度
を見ていれば、家族愛に満ちた性格性も見て取れる。

演出的な面を見ていけば、雑な場面が多いような気がしないでもない。
父親と息子の関係というのは、意外とサッパリとしていて、強い絆に
結ばれているのに対し、父親と娘の複雑な関係は未消化なような感じがした。


ピエトロ・ジェルミ..........鉄道員の父親。相当な酒豪。
エドアルド・ネヴォラ........ジェルミの次男。小学生。
ルイザ・デラ・ノーチェ......母親。
シルバ・コシナ..............長女。妊娠するが、死産。
サロ・ウルツィ..............鉄道員の同僚。ジェルミの親友。
Renato Speziali.............長男。無職。
Carlo Giuffre...............コシナの婚約者。結婚生活は上手く行かない。

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