余命1ヶ月の花嫁
(2009年)

監督:廣木隆一 
プロデューサー:平野隆
脚本:斉藤ひろし
音楽:大橋好規

http://www.hanayome-movie.jp/index.html


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メディアアーキテクツシステムズで働く太郎は、展示会場で
開発したモバイルに関する発表を行おうとしていた。イベント
コンパニオンを待っていると、長島千恵がやってくる。
リハーサルに参加する千恵だが、彼女が担当するイベントは
隣のブースの会社の物で、聡美や由香、美樹などが千恵を呼び
にやってくる。遅刻した事を担当の者から激怒される千恵。
一方太郎も先輩の渡辺から激怒される。

帰宅する際、太郎と千恵は同じバスに乗り合わせる。
千恵は彼が先程の展示会場の人だと分かると、先程はすみません
と謝罪。互いに怒られたでしょう?と声を掛け合い、思わず
微笑む。
それがきっかけで二人はデートする関係になる。

水族館へと足を運ぶと、太郎は千恵に俺達ちゃんと付き合わな
いか?と声を掛ける。しかし千恵は嬉しいとしながらも、うん
と答えず不自然な対応を見せる。オレ一人で舞い上がっていた
のかとする太郎に、そうではないとしながらも、理由を言おう
としない千恵。太郎は千恵のことが好きだと告げると、二人は
付き合うことになる。

千恵は彼の家に入り浸るようになり、夕食も作るようになる。
しかし太郎は魚が食べられなかった。屋久島に行ったときには
新鮮なので食べられたという。屋久島に有る縄文杉は本当に
凄かったと身振り手振りで告げる。

やがて千恵の友人も交えてクラブなどで楽しむことになる。
ある日二人はデートする中、太郎は千恵に実家である三浦に
帰らなくても良いのか?と尋ねる。千恵の母は幼いときに亡く
なり、父・貞士は一人暮らしをしていたのである。太郎は是非
お父さんに逢ってみたいと告げる。

二人で千恵の実家に行く。無愛想な千恵の父・貞士に太郎は
怒らせてしまったのか?とするが、緊張していただけだった。
三味線の先生をしている貞士の事を尋ねると、父は静かに立ち
上がり三味線を持ってきて、彼のために演奏する。
うち解け合った貞士は太郎に対して、千恵の母のことは聞いて
いるか?と尋ね、亡くなった雅代はオレにはもったいないほど
いい女だったと告げ、それでも千恵が10歳の時に卵巣癌で
亡くなったという。最後まで千恵のことを気にしており、
亡くなって以来、千恵は家のことをすすんでやる様になった
との事だった。

アパートに戻ると千恵はやがて咳き込むようになる。
単なる風邪だとするが、朝に髪の毛を梳かしていた際に、千恵
は大量に髪の毛が抜けたために思わず声を上げてしまう。
太郎はきちんと梳かし切れていない彼女の髪の毛を見て、どう
したのか?と尋ねる。するとクスリのせいで抜けた事。それは
抗ガン剤だと告げる。私は乳ガンであり、これでお終いだと
告げる。太郎に知られたからもう付き合うことは出来無いと
いう。
何時からガンが分かったのか?太郎と付き合い始めてすぐだと
いう。父親にはまだ言っていないとの事。どうして黙っていた
のか?という問いかけに好きだから言えなかった事を語る。
別れるという千恵に対して、太郎は別れない事を告げ、一緒に
居たいと語る。
そんな彼に、ガンがどういうものか分かっていないと告げ、
きっと私が後悔するので別れてくれという。

会社から帰宅すると千恵は置き手紙を残して消えていた。
もっと良い彼女が見つかると書かれていた。
千恵は父の付き添いの元、胸を手術で全摘出する。手術が
終わった後に鏡に向かう彼女は、無くなった胸を見て号泣する。

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千恵と太郎は展示会会場で運命的な出会いを果たすが、付き合い
始めたと同時に千恵は乳ガンに冒されている事を知る。
最初は黙って付き合っているが、ついにその事実が知られた途端
千恵の方から身を引くことに・・・

ドキュメンタリーとして放送されたみたいだけど、そちらの方
は見ていない。

映画はトントン拍子で出会いがあり、そして病気の事実が発覚し
二人の力で何とか乗りきろうと四苦八苦する。

とても辛く苦しいはずなのに、その辺の病気の痛さみたいなもの
は一切感じることなく、病気に対する受け入れ方も比較的容易に
消化していった感じがする。

相手の為を思う行動の数々は、とても意地らしく感動する物が
あるし、美男美女の美しい絵面でのやりとりなので、とても
目に優しいものがある。どちらの人物にも欠点らしい欠点が
見つからない爽やかさが光るものがあった。

同じような内容の映画やドラマが作成されているので、どの辺に
この映画の特徴を持ってくるのか気になっていたが、やはり
生前に千恵がやろうとすべき事を叶えていく物語という感じ
だろうか。人は生きた証しを残すという本能が存在するが、
それを思うと映画化された事によって、この映画の主人公も
浮かばれるのではなかろうか。

屋久島での誓い、更に彼女との思い出の場面として、回想シーン
としても登場する自転車での併走するシーンなど、とても印象
に残るもので、この映画の象徴すべきシーンだったと思う。


長島千恵 …… 榮倉奈々 (イベントコンパニオン)
赤須太郎 …… 瑛太 (モバイル社勤務)
加代子 …… 手塚理美 (千恵の母の妹)
花子 …… 安田美沙子 (ネイリスト、千恵の親友)
長島貞士 …… 柄本明 (千恵の父、三味線の先生、60歳)
赤須敏郎 …… 大杉漣 (太郎の父)
岡田 …… 津田寛治 (テレビ局のスタッフ)
奥野 …… 田口トモロヲ (太郎の上司、残業してくれと言う)
聡美 …… 上原美佐 (千恵の友人)
由香 …… 伴杏里 (千恵の友人)
美樹 …… 星野美穂 (千恵の友人)
赤須静江 …… 宮田早苗 (太郎の母)
野崎 …… 安藤玉恵 (病院の医師)
宝石店店員 …… 小原正子 (結婚指輪)
屋久島のおばあ …… 服部妙子
長島雅代 …… 星ようこ (亡くなった千恵の母)
渡辺 …… 山本浩司 (太郎の会社の先輩)
少女時代の千恵 …… 大朏美咲 (ちょっぴり肥えていた)
神父 …… グリ・カストリオット
看護師 …… 菜葉菜

西本竜樹、池口十兵衛、弾丸ビーンズ


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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