アダムス・ファミリー2 The Addams Family Value
1993 America 100mins
監督 バリー・ソネンフェルド 製作 スコット・ルーディン 脚本 ポール・ラドニック
撮影 ドナルド・ピーターマン 美術 ケン・アダム 音楽 マーク・シャイマン
製作総指揮 デビッド・ニックセイ
出演 ラウル・ジュリア、アンジェリカ・ヒューストン、クリストファー・ロイド、クリスティーナ・リッチ




 

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 アダムス家の一族はそれぞれの時を過ごしていた。
 ウェンズディ(クリスティーナ・リッチ)は、グランマ(キャロル・ケイン)から、死者に対する祈り方を教わり、
 ゴメズ(ラウル・ジュリア)は、ハンドとテーブルの上で腕相撲をしていた。モーティシア(アンジェリカ・ヒュー
 ストン)は子供の為の編み物をしていた。そのとき、彼女は出産が近づくのを感じ、ゴメズにその事を告げ
 急いで病院に駆け込んだ。家族一同が集まり、皆が見守る中、新しい命が誕生したのだった。

 ゴメズは、モーティシアの為に重苦しく、気色の悪い、暗い部屋を用意する。アダムス家にとって、これは
 最上の喜び。代々受け継がれてきた揺りかごに赤ちゃんを入れると、子供の名前をピューバートに決める
 のだった。

 ウェンズディパグズリー(ジミー・ワークマン)は、子供が産まれたことに難色を示していた。
 ピューバートを一緒に連れて二人は屋根の上に登り、ボーリング玉と共に落下させれば、どちらが先に地面
 に叩き付けられるのか実験しようとしたのである。何の躊躇もなく赤ちゃんを落下させるウェンズディ。その時
 丁度、窓から外を眺めていたゴメズが抱える格好で偶然助かるのだった。

 ゴメズとモーディシアは、二人の子供を呼びつけ、生まれた子供が憎いのか?と子供たちに訪ねる。ウェンズ
 ディは、新しい子供が産まれれば、変わりに誰かが死ななければならない事を告げる。グランマは、その話は
 遠い昔のしきたりだとして、気にしないよう子供たちに言って聞かせるのだった。
 しかし翌日もウェンズディらの赤ちゃん虐待は留まることを知らなかった。断頭台に赤ちゃんを乗せたりして、
 罪悪感など全く見せず、赤ちゃんを殺そうとしていたのである。悩んだ末、ゴメズとモーティシアは、仕方なく赤
 ちゃんの面倒を見てくれるベビーシッターを雇うことにした。

 派遣業者から遣わされたベビーシッターが、次々とアダムス家に面接に訪れる。
 しかし大抵の者は面接の時点で逃げ出してしまう。殆ど諦め掛けたその時、真っ白な服を着た、金髪の美女
 が屋敷を訪れたのだった。彼女の名はデビー(ジョーン・キューザック)。この女性を見ると、2階から覗いてい
 たフェスター(クリストファー・ロイド)は、一目で彼女のことを気に入る。そんな彼のことを察し、ゴメズは兄弟
 として、この仲が成就すること願っていると告げるのだった。

 一方、TVの報道番組ではデビーの事を伝えていた。
 彼女は大金持ちの独り身の男性に近づき、結婚しては殺害するという犯行を繰り返していたのである。しかし
 肝心の証拠が見つからず、不起訴処分になり、次々と変装をしては、また同じ事を繰り返しているというので
 あった。

 デビーが来たことで、子供たちを残して両親らは全員外出した。
 赤ちゃんをあやす間にも、デビーは家に隠してある金目のものを物色していた。そんな
 姿を見ていたウェンズディは、彼女の真実の姿を見抜いていた。それを感じたデビー
 は、子供たちが仕事の邪魔だと思い、ゴメズたちを唆して、ウェンズディとパグズリーの
 2人をサマーキャンプに参加させるよう取りはからったのだった。
 

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 アダムス家の巨額の資産をねらって、またしても欲深い者が豪邸にやってくる。純朴なフェスターに目を付け
 彼を誘惑し、結婚した所を見計らって、殺害することを計画したのである。果たして、計画通りに事は運ぶの
 か!?
 人気シリーズの第2弾。前作とはちゃんとした繋がりがあるので、是非前作を見てから本作を鑑賞して欲しい
 作品。

 いやいや、滅茶苦茶楽しいコメディ映画ですよね。
 こんなシャレの利いた出来過ぎた映画は、日本では絶対作れません(^^;
 前作と同じく、バリー・ソネンフェルド(Barry Sonnenfeld)監督。この映画を監督する以前には、トム・ハンクス
 (Tom Hanks)主演の『ビック』(1988 Big)やスティーブン・キング(Stephen King)原作の『ミザリー』(1990 Misery)
 などの撮影監督をしていた人。この作品でも自らちゃっかりウェンズディの相手役のガリ勉風の子の父親役
 で出演していたりもしますが、不思議とこの子役とソックリだったりするから笑えます(笑)

 映画は、大きく分けて2つの流れが有ります。
 一つは本筋でもあるフェスターを中心とした結婚の流れであり、もう一つは子供たちの独立したキャンプでの
 話。しかしどちらかというと本筋以上に盛りだくさんのキャンプの話が一際目立つシナリオでした。
 なんと言っても非常にCOOLなウェンズディが、密かに異性に恋をする話であり、そして、同世代の女の子と
 対立して一悶着起こるシナリオです。この対立する女の子・メルセデス・マクナブが演じるアマンダですが、
 実は既に前作からウェンズディとは面識が有ったりします。1作目では名もないガールスカウトの役で、アダム
 ス家が不動産やの罠にハマり、家を追い出されて路頭で物を売る子供たちの前に現れる役での端役でし
 たが、今回はバッチリ、このSubシナリオでの重要な位置を得ています。

 シナリオの妙をいろんな場面で見られます。
 既に一般社会に同化しているアダムス・ファミリーが如何に常識の枠内で、逸脱した行動をとれるのか。
 この家庭を見ていると、人間が生きる上での最低限の常識が見え隠れしつつも、彼らなりの拘りのような
 常識が巧く合わさり、その2つのギャップがユーモアとして楽しめる作りになっています。
 子供をあやして育てるという常識的な部分と、子供に笑顔を求めず陰湿に育てようとする非常識な部分。
 赤ちゃんが産まれたことで、両親の愛情が赤ちゃんに向いてしまうことを恐れた子供たちと、それを排除し
 ようとして次々と手を変えて殺害しようとするブラックな部分。もはや芸術の域まで洗練されたシナリオで
 視聴者を笑わせ、決して生々しくならず、漫画チックなアダムスワールドを形成しています。

 2人の子供たちが無理矢理送り込まれてしまったキャンプ場。
 キャンプ場を切り盛りしている夫婦役には、なんとピーター・マクニコル(Peter McNicol)が扮しています。
 海外ドラマ、『シカゴ・ホープ』、そしてMr.ビーンがアメリカに上陸した劇場版で、ビーンが滞在したアメリカ人
 夫婦の役を演じました。そしてなんと言っても日本でも大ブレークした、アリー・マクビール事『アリー・myラブ』
 で、無口な弁護士役で異才を放っていたのは、記憶に新しいところ。
 そんな彼らが笑顔いっぱいで子供たちに接します。笑顔を忘れたアダムス家/ウェンズディとは対照的であり
 彼らが子供たちに話す毎に軽く飛び跳ねるのが、何とも憎たらしい演出です(笑)
 そんなキャンプの場で、アダムス家最大の危機に直面します。なんと言ってもウェンズディが恋に落ち、笑顔を
 取り戻してしまうという事。この結果にはハラハラドキドキさせられる事間違いありません。ウェンズディが
 丸め込まれるような”タマ”だとは誰もが思っていないハズですが、笑顔を取り戻して欲しいと何処かで願って
 いる”ツボ”みたいなのを刺激されているからなのでしょうか。

 本筋のフェスターを巡る攻防では、前作と同じ様なコンセプトで製作されています。
 常識を逸脱したアダムス家に、その上を行く常識外れの人間/嫌らしい人間性を被せることで、よりアダムス
 家を引き立てています。それでもアダムスは全てを跳ね返し、不滅である事を証明するのが、この映画の
 特徴で有ります。

  アンジェリカ・ヒューストン/モーティシア・アダムス : 母親。
  ラウル・ジュリア/ゴメズ・アダムス : 父親。
  クリストファー・ロイド/フェスター・アダムス : ゴメズの兄。デビーを好きになり結婚。アダムス家と決別!
  クリスティーナ・リッチ/ウェンズディ・アダムス : 長女。無表情。
  キャロル・ケイン/グランマ : 祖母。

  ジミー・ワークス/パグズリー・アダムス : 長男。小太り。ウェンズディには何故か頭が上がらない。
  ダナ・アイヴィ/マーガレット・アダムス : イットと結ばれている?
  Kaitlyn Hooper/ピューバート・アダムス : 次男。生まれたばかりだが、今回ラストで大活躍。
  Kristen Hooper/同上 :
  カレル・ストリッケン/ラーチ : アダムス家で働く執事。

  クリストファー・ハート/シン :
  チャールズ・バスチ/コーシン・イット 髪の毛の長いお化け。
  ジョン・フランクリン/コーシン・アファシア
  ローラ・イスターマン/コーシン・オフェリア
  モーリーン・スー・レヴィン/フローラ : ファウラと一心同体。
  ダーレーン・レヴィン/ファウラ : フローラと一心同体
  Ryan Holihan/ランピー・アダムス :

  ジョーン・キューザック/デビー・ジェリンスキー : ベビーシッターに扮してゴメズに近づく殺人鬼。
  キャロル・ハンキンス/デメンティア : ベビーシッター
  スティーブ・M・マーティン/ドナルド
  ダグラス・ブライアン・マーティン/デクスター
  シンシア・ニクソン/ヘザー
  Eyde Byrde/モントゴメリー婦人

 キャンプ場
  ピーター・マクニコル/ゲイリー・グレンジャー : キャンプ場指導員。
  クリスティン・ブランスキー/ベッマー・マーチン・グレンジャー : キャンプ場指導員。
  メルセデス・マクナブ/アマンダ・バックマン ウェンズディと対立。本人は女優志望。
  サム・マクマーレー/ドン・バックマン : アマンダの父親。
  Harriet Sansom Harris/エレン・バックマン : アマンダの母親。
  デビッド・クロムホルツ/ジョエル・グリッカー : ウェンズディが好きになる。
  ジュリー・ハルストン/グリッカー婦人 : ジョエルの母親。
  バリー・ソネンフェルド監督/グリッカー氏 : カメオ出演。ジョエルの父親。眼鏡をかけている。

  ジェフリー・ヴァン・ホース/アーウィン : 原住民役
  Micah Winkelspecht/モーデカイ : 原住民役
  Micah Hata/ヤン : 原住民役中国系
  Joey Wilcots/ジャマル : 原住民役
  Jamie Gordon/エスター : 原住民役。太っている女の子

   /リリー : 開拓者役
   /ジェニファー : 開拓者役
   /ティファニー : 開拓者役
   /ミシー : 開拓者役
   /ミシェル : 開拓者役
   /メリッサ : 開拓者役

 その他
  ネーサン・レイン/警察官 : カメオ出演。ゴメズがデビーを逮捕するよう訴える。
  Peter Graves/TVホスト : 犯罪者の番組の司会だと思われる。
  Rick Scarry/弁護士 : 
  Zach Phifer/パスポート : デビーがパスポートを取りに行く所にいる係員。
  Lois DeBanzie/医者 : 分娩・看護婦
  David Hyde Pierce/医者 : 分娩
  Vickilyn Reynolds/医者 : 鉗子
   /シャロン : デビーの父親
   /デイブ : デビーの母親
  Haley Peel/デビーの若い頃 : スライドの写真のみ出演。


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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