エアフォース・ワン Air Force One
1997 America 124mins
監督・製作
 ウォルフガング・ペーターゼン 脚本 アンドリュー・W・マーロー
出演
 ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、グレン・クローズ、ウェンディ・クルーソン






 

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  アメリカ大統領マーシャルは、低迷するロシア経済を背景に民主主義を抑圧し新たなる冷戦を招く恐れの
  ある”カザフスタンの指導者”、ラデク将軍の拘束を政治生命を賭けて支援する。ペトロフ現ロシア政権との
  間で、綿密に作戦を立て、米露の合同特殊部隊を旧ソ連領カザフスタン大統領宮殿に送る。深夜宮殿へと
  潜入するパラシュート部隊は、神業の様な侵入劇を行いラデク大統領を拘束。時間通りやってきた脱出用
  のヘリコプターに素早く乗り込み、タイミングよく宮殿の屋上を爆破した。
  3週間後のモスクワでは、この作戦の成功を祝ってパーティー兼共同会見が開かれる。マーシャルは、難民
  キャンプを訪れ、ラデク将軍/カザフスタンの恐怖政治から逃れて来た人々を視察し、20万人以上の市民が
  殺戮されるのを黙ってみていたラデク将軍の政治を見過ごすことが出来なかったのである。そして度重なる
  経済制裁と外交の建前論争の背景に隠れて暗躍していたラデク将軍をついに拘束したのである。
  高官らが集まる前でペトロフ大統領に紹介されマーシャルは演説する。アメリカ合衆国は、今後政治的利益
  よりも人道上正しい道を優先させるという。今回の事件を見て、自国の安全が侵されて初めて行動するの
  では遅すぎであり、暴力は政治の武器ではなく、それを用いる者を決して許さないだろうと、テロリストに
  対し、絶対的な姿勢で臨むことを話した。大統領の発言は用意されたものとは、全く違うために、アメリカの
  報道官らも目を丸くして驚きの表情を見せた。しかし、大統領の演説を聞くと、その場にいたものは、全員が
  起立し、拍手喝采するのだった。

  モスクワでの一連の計画が全て終了し、次の訪問地へと向かうマーシャルたち。エアフォース・ワンには、
  今回ロシアの取材班も同乗し、政治的な事だけでなく、マーシャルの私生活などについても取材する手筈に
  なっていた。空港は厳重な警備の中、次々とアメリカの高官たちが飛行機に乗り始める。少し遅れて
  捜査官らに守られてやってきたマーシャルも乗り込むのだった。すると彼は、搭乗して間もなく、録画して
  置いたアメフトのビデオを見るために、暫く一人にして欲しいと頼むが・・ビデオを見る前に結果を知らされる
  のだった。
  離陸する前にミッチェル副報道官は、ロシアの取材班たちに機内の中を一通り案内する。核爆弾の衝撃
  にも耐えられるという機体。機の交信室からはあらゆる場所へとコンタクトすることが可能であると説明を
  受ける。
  その頃遅れて最後にやってきた大統領夫人グレースと娘のアリスがやってくる。大統領が会談中にモスクワ
  バレエ団の劇を見に行ってきた二人。彼らが到着すると間もなく飛行機は離陸するのだった。

  離陸すると同時に機内では不穏な動きを見せ始める。警護官の一人ギブスが特別警護室で待機していた
  職員の三人を射殺したのである。そしてスモークを炊くと同時に、ロシアの取材班、コルシェノフアンド
  レイボリスらは素早く行動を起こした。座席から立ち上がり特別警護室に厳重に保管されていた銃器を
  手にし、コクピットを占領。そして、抵抗する者をあっさりと殺したのである。銃声を聞いて、大統領は側近の
  ものたちと、脱出挺に急いだ。コルシェノフは指揮を取り、マーシャル大統領を探すよう部下に命令したの
  である。そして同盟国のドイツ・ラムスタン空港に緊急着陸しようとする機長らを撃ち殺すと、再び大空に向
  かって飛び出した。
  果たしてテロリストたちの目的は!? そして乗っ取られたエアフォース・ワンの乗客たちは無事救出され
  るのか?
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     最新鋭を誇る大統領専用機”エアフォース・ワン”が、テロリストによってジャックされた。
     アメリカの大統領は、元軍人。その時の経験を生かして、一人テロリストに立ち向かう。

     これは面白いです!
     常に緊張感のある展開で映画を盛り立て、決して飽きることなく映画を見続けること約2時間。たっぷり
     楽しませていただきました。
     主役を演じたハリソン・フォード(Harrison Ford)ゲイリー・オールドマン(Gary Oldman)。今まで
     映画を見てきてそれなりにハマり役になる事は想像していましたが、それ以上に見事な演技を見せて
     くれました。
     またしてもロシアの威信を取り戻そうと、テロリストが介入してくる映画です。テロリスト・ゲーム
     (’93原題Terrorist Game)でも元軍人で狂信的な人間が核をだしに、アメリカと戦いましたが、今度は
     なんといっても取引に持ち出すのが大統領!
     しかもそれは地上ではなく、空の上のハイテクマシンが装備された巨大な飛行機内での事です。

     映画の中で興味を引いたのは、ハリソンが一人でテロリストを相手に暴れまくる事も有りますが、
     いろんな場面で決断を求められるシーンでの対応でした。これは『インデペンデンス・デイ(’96原題
     Independence Day)などの大統領が重要な決断をする場面が出てくる映画ではどれもそうなのですが、
     アメリカのようなテロリストには決して屈しない姿勢を取り表面上国民のことを第一と考えるという国が、
     家族を仕事以上に大切にするという国民性という二つの信念にも似た大きな考え方のぶつかりにより、
     どのような対応を見せるのかは、もう見所以上の何者でもありません。そして、そのシーンをどのよう
     に演出するのかは監督や演出家、出演者の力量ですよね。
     家族を守り国民を守らなければならない大統領、相手は命を賭けて一人の指導者の釈放を要求する
     テロリスト。家族を守るのか、国民を守るのか・・テロには決して屈しないと公言したばかりのマーシャル
     大統領。しかし、その言葉とは逆に、家族を犠牲にしてまでそれを貫くことが出来ないのです。それに
     いち早く反応した閣僚や議会の動きがまたリアリティがありました。このまま大統領に一国としての
     決定権を持たせておくと、とても危険な事なんですよね。テロリストの対策をどうするのかを考えつつ
     裏では大統領が任務遂行が不能な場合は、解任請求をする事が出来る事を模索しているのです。
     国防長官らは閣僚たちにそれを請求するために署名を集めたりして、最後は副大統領にそれを迫る
     シーンを見たときは、なんて嫌な奴らなんだ・・と一瞬思ったのですが、よく考えれば、それが当然な
     テロリストによる対応なんですよね。一国の大統領として国民の命を預かっている以上、家族よりも
     国民を守らなければならない。家族は国民の一人であっても、個人の感情だけで、国の姿勢を変える
     事など、本来しては行けないことだと思います。
     そんな事情を知っていて国防長官らは、いち早く大統領マーシャルの権限の全てを奪い取ろうとして
     いるのです。当然、中にはこのような緊急事態でも大統領の職を狙うという輩が居ないと、映画は盛り
     あがらないですけどね(^^;

     脱出挺に乗らず、残っていた大統領。軍人としての経験、そして何よりも”エアフォース・ワン”を最も
     知る男が、地の利を活かして戦いに臨むのです。俺の”エアフォース・ワン”から出て行けと相手を蹴
     落とすシーンなど、またセリフも決まって楽しかったのですが、地上との交信をはかるために、使った
     道具が携帯電話だというのが笑えます。当然携帯電話からホワイトハウスに電話する事など不可能な
     事ですが、ホワイトハウスの電話番号を忘れて、電話の番号案内に聞くときに、自分が大統領だと主張
     する事など最高に面白かったです。映画アメリカン・プレジデント(’95原題The American Presideny)
     で、花屋に大統領の名で電話した
     ことが有りましたよね。突然大統領から、一般の人に”大統領だ”といった所で、単なるイタズラにしか
     取られないのですが、それを承知で電話した時、相手からどんなリアクションが戻ってくるのかは
     まさに楽しいです。本当ならこんな慌てている場面ではなく、シャレで使われる場面で見たい一シーン
     ですが(^^;

    エアフォース・ワン乗客
     ハリソン・フォード      (ジェームズ・マーシャル米国大統領)  元ベトナム救出ヘリのパイロット。
     ウェンディ・クルーソン   (グレース・マーシャル/ファーストレディ)ユルシェノフに銃を突き付けられる。
     リーゼル・マシューズ    (アリス・マーシャル/娘)         ユルシェノフはモンスターだ!
     Donna Bullock      (メラニー・ミッチェル副報道官)      マーシャルの存在が逆に彼女を死に・・
     トム・エヴァレット      (ジャック・ドハティ/安全保障会議担当)一番最初の被害者。
     サンダー・バークレイ    (ギブス警護官)               裏切り者の最後は所詮こんなもの・・
     ポール・ギルフォイル    (ロイド・シェファード)
     クリス・ハウエル       (パーキンス少佐)
     ウィリアム・H・マーシー   (コールドウェル少佐)
     Messiri Freeman    (FAXを送信する女性)           将来郵政公社総裁に決定!(だそうです。)
     マイケル・レイ・ミラー    (エアフォース・ワン機長)
     Carl Weintraub      (副機長)
     エレスター・ラザム      (ナビゲーター)
    テロリスト
     ゲイリー・オールドマン   (コルシェノフ)                母なる母国の為・・にここまでやるとは。
     ユルゲン・プロホノフ     (イワン・ラデク将軍)            助かったと思った瞬間射殺される。
     Elya Baskin        (アンドレイ)
     デビッド・バディム      (ボリス・バジレフ)             衝撃波の振動でマーシャルに反撃される。
     Levani Outchaneichvili (レヴァニ)
    地上組
     グレン・クローズ       (キャサリン・ベネット副大統領)     マーシャル無しでは少し決断力に不安が・・
     ディーン・ストックウェル   (ウォルター国防長官)          非常警戒事態の際は・・と主導権を求める。
     フィリップ・ベーカー・ホール (ワード司法長官)             副大統領VS国防長官の権利を法的に解説。
     Alan Woolf         (ペトロフ・ロシア大統領)
     Brian Libby         (メカニック)
     ビル・スミトロヴィッチ     (ノースウッド将軍)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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