エイリアン ALIEN
1979年 America 118mins
監督 リドリー・スコット 製作 ゴードン・キャロル、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
脚本 ダン・オバノン 原案 ダン・オバノン、ロナルド・シャセット 撮影 デレク・ヴァンリント
特殊効果 カルロ・ランバルディ 音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 トム・スケリット、シガーニー・ウィーバー、ヤフェット・コットー、ジョン・ハート




 
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貨物船ノストロモ号・・・乗組員7名、積載物・・・鉱石20000万トン。
現在、惑星ソロモンから荷物を積載し、地球への帰還途中である。航行時間が非常に長いために、船内の
乗員は、カプセル内で冷凍睡眠中。巨大なノストロモ号は、予めインプットされた航路を、マザーコンピュータに
より、自動的に航行していた。よって、船内は有る意味無人の状態であり、異様な程静まり返っていた。
するとその静寂を打ち破るように、モニターに電源が入り、通路のライトが付く。誰もいないはずの扉も勝手に
開き、冷凍睡眠中の乗員たちのカプセルも、自動的に開き始めたのである。
一人、又一人・・・長い間、睡眠中で有った彼らは、体を少しずつ動かし、目が覚めて行くのだった。
着物に身にまとうと、全員が食堂へと足を運んだ。

全員で取る久しぶりの朝食。皆の顔には笑顔が溢れていた。
そんな中、エンジニアのブレット (ハリー・ディーン・スタントン) は、自分の思いを皆にうち明
ける。それは、今回のMissionに対する報酬の額に関する事である。エンジニアの仕事は軽
視されているのか、毎回、報酬として貰う額が、他のクルーよりも少なかった。彼は全員が
同じだけ報酬が得られる事を確かめたかったのである。
 

そんな会話をしていると、突然マザーから連絡が入る。
ダラス船長 (トム・スケリット) は、その件を確かめるために、コンピュータのモニタに向かい合った。
ナビゲーションをしているランバート (ヴェロニカ・カートライト)は、現地点を把握するため、計測に入った。
更に、三等航海士のリプリー (シガーニー・ウィーバー)ケイン (ジョン・ハート) 、科学主任アッシュ (イアン・
ホルム)
パーカー (ヤフェット・コットー) は、それぞれの定位置について、情報収集にあたるのだった。

ダラスは、南極航行管制室に応答を求めるが、何度やっても反応はない。やがて、ランバートが分析した結果
が入ってくると、現在航行している地点は、レクチル座ゼータ2近くである事が分かった。なんと進路は地球では
なく、別の太陽系に向いて居たのである。
ダラスを皆を召集し、現状を伝える事にした。

もうすぐ誰もが地球かと思っていた所、実はまだ予定帰路の半分にも達していない地点に居ると言うことを告げ
る。そしてその原因は、マザーが正体不明の通信をキャッチした為に、勝手に進路を変えたと言うことだった。
正体不明の電波は、12秒ごとに何かを発している・・・しかし、それが救難信号なのかどうかは分からなかった。
ユタニ社との契約によると、知的生命体と思われるものからの通信を受信した場合、ただちにその発信源の
確認・調査をする事になっていたのである。
ダラスは、これから現場に調査へ行くことを告げるのだった。

やがて発信源だと推測される惑星に近づく。
ここからは、惑星の軌道外で本体を分離させ、調査船で惑星に近づくことになる。
慎重に惑星を調査するため、軌道上を周回し、様々な情報を得ようとするが、調査船は突然、緩衡装置を故障
し、船内では大きな揺れを感じていた。仕方なくすぐに落下地点を探り、緊急着陸する事になった。
しかしそれは軟着陸とは言えず、機体は大きな損傷を受ける事になったのだった。
エンジニアのブレットやパーカーが報告するには、複数のユニットの破損、補助電源システムの不作動など、
ここでは直すことが出来ない状況にあった。取りあえず、離陸するために送風管を交換すれば、この行程は
17時間を要する事が分かった。

あと20分もすれば、夜が明ける。
あの通信の発信源は、約2000m以内であると推測される。
すぐに惑星の事が解析され、大気や地表のデータが割り出された。そこでダラスは、船体を修理する間に、
ランバートとケインを連れて、船外を3人で調査する事にした。
3人のヘルメットには、カメラが付いており、調査船にもリアルタイムで映像が届けられる。船外は、風の影響
で視界が悪く、カメラ映像をモニターを使ってみているアッシュと密に連絡を取り合って進むこととなった。
3人は岩の間を抜けていくと、やがて墜落した宇宙船を発見する。中へと入ろうとするダラスに対し、ランバートは
反対するが、船長の命令により、継続して調査することとなる。

船内に入る頃には、既にアッシュとの交信は途絶えていた。
3人は中へはいると、構造の全く違う異星人の乗り物に驚きを覚えた。しかも白骨化した異性物の死骸を
目にしたのである。更に奥へと入ることが可能だと分かると、ケインは先遣的に一人で様子を見に行くことなる。
その頃、調査船内で発信信号の解析を行っていたリプリーは、ある事実を発見する。この信号の意味は、
救難信号ではなく、警告の信号だったのである。しかし時は既に遅く、3人は調査中であった。

ケインは、深部で異様な光景を目にしていた。それは生命体が殻の中で動いている姿で
あった。更に近づいてみようとすると、それは突然殻から飛び出し、突然ケインのマスク
に張り付いてきたのである。悲鳴を聞いたダラスとランバートは、マスクに張り付いて取る
ことが出来ないケインを連れて、調査船に戻る事にした。
 

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 エイリアンシリーズの第1作目。
 帰還途中のノストロモ号が受信した謎の発信源を調査しに、とある惑星へとやってくる。その惑星に墜落して
 した宇宙船には、とんでもない生命体が存在していた。
 生命体が乗り移ったノストロモ号に、船員7名は果たして対処できるのか。

 何度みても楽しめるのが一作目でしょうか。
 この映画が公開された年と言えば、劇場でみられる年齢でも無かったのでリアルタイムで
 みることは無かったのですが(笑)、初めてみたのは、確かTVです(^^;
 H.Rギーガーの精巧なエイリアンの造形に、リドリー・スコット映画によく有る、古代とも近代と
 も言えないセットの質感が、映画の演出を盛り上げています。
 宇宙船内の通路と扉を見るだけで満足感を得られるのは私だけでしょうか? モニターから
 見ることが出来る様々な分析画像/ワイヤーフレーム化されている解析映像や、マザーコ
 ンピューターとのやりとりで、画面上で様々な会話がなされているのを見ているだけで、そ
 れはもうお腹いっぱいです(笑)
 

 この映画をみてみれば、同時代のスプラッター/ホラー映画のストーリー展開によく似ている事に気が付き
 ますよね。
 近づかねば良い事なのに、誘い込まれるようにしてその場に集まる。殺人者がエイリアンだと分かっていても、
 必要以上に証すことが無く、正体不明のまま進行していく。船員が一人になった時を見計らい、相手が計画し
 たように殺害していく。いざというときに、計器が必ず壊れ(笑) 最終的に主人公は助かる(笑)・・・と。
 探せば幾らでも出てきそうですね。
 そういったストーリー展開の中に、宇宙船と言う決して自由に逃げることがない限定された空間を利用し、
 常に存在する危険性を提示する事で、視聴者にも、飽きさせることが無く、最後まで緊張感をもって見続ける
 事が出来ます。

 ただ宇宙船の中とはいえ、広い空間が存在する為に、多少心理的な圧迫感は感じられなかった様な気もしま
 す。機敏な動きをするエイリアンに有っても、何処か逃げられるのではないかと思ってしまいます。
 初めてみたときの気持ちというのをすっかり忘れているので、多分そう感じるのでしょう。
 潜水艦ものの映画などをみると、その気持ちは嫌と言うほど味わえるのですけどね(^^;

 そして単にその緊張感だけでなく、視聴者の感情の揺さぶり方が非常に絶妙で、それは即ち、計算され
 尽くされたストーリー上の演出が素晴らしい訳で、酷い怪我を負ったと思えば急に助かったりして、ホッとしたの
 もつかの間、やっぱり現状以上に酷い結末を用意していたりして、常にそれが波をうったように安心感と
 絶望感などを巧みに操作していて、その間の余分な演出が全く無い所に偉大さを感じました。

 殺戮道具としては合理的な構造をしていると言うエイリアン。
 人間のように感情などに左右されることが無く、生きるために単純に無差別的にあらゆるものを殺害していく
 だけかと思えば、人間に寄生して酸素まで供給しているという、賢い部分がみられます。大抵の正体不明の
 生物と遭遇すると、単細胞なエイリアンと頭脳が最大の武器という人間の対立の構図となるハズですが、
 ここではそんな事さえ否定されかねない展開です。
 退治したという安堵感などは全く見られず、彼らの生命の泉でもある血液が強い酸によって覆われている為、
 ソレさえも最大の武器として掲示されてしまうのです。そして、倒したかと思っていたエイリアンは、実は人間の
 腹の中で順調に生育されており、突然人の腹の中から飛び出したシーンは見所であり、非常ショッキングです。
 この映画の中の面白さ120%増の要因の一つに、アンドロイドの存在が有ります。
 当然初めからそんな事実を知らされている訳ではなく、突然現れた感じを受けますが、一度映画を見た後に、
 更にもう一度この映画を見直してみると、彼の言動には、如何にもアンドロイドっぽい精巧な態度が見て取れ
 ます。改めて知らされた事実と言った感じで、有る意味関心してしまいます。

 残念なのは、ダラスの殺されるシーンが省略されている事でしょうか。
 このシーンが無いために、まだ彼が何処かで生きていて、何時か彼が助けに来るだろうと思い続けていたの
 ですが、結局一人、あの通風口で亡くなってしまったのですね(^^;
 逆に最後のシャトルでのシーンは、有る意味決着が付いて良かったのですが、あそこに至るまでに何らかの
 決着を付けて欲しかった気もします。自爆装置の時間が迫っていく演出は、本当に手に汗握りました。
 ホッとしたのもつかの間・・・っていう展開は、やっぱりホラーならではの展開でしょうかね(^^;

 それにしても、リプリーの下着・・・短すぎです(笑)


トム・スケリット ダラス 船長。判断を誤り、エイリアンの暴走を未然に防ぐ事は出来なかった。
シガーニー・ウィーバー エレン・リプリー 三等航海士。ダラスの次ぎに決定権を持つ。
ヤフェット・コットー J.T.パーカー エンジニア主任。帽子を被った人。
ジョン・ハート ケイン エンジニア。第1の被害者。一度は助かったかと思えば・・・
ハリー・ディーン・スタントン ブレット エンジニア。黒人。給料・ボーナスについて、文句を言う。
ヴェロニカ・カートライト ランバート ナビゲーター。現在地を報告する。
イアン・ホルム アッシュ 科学主任。実はユタニ社が密かに潜り込ませたアンドロイド。
ヘレン・ホートン マザー 貨物船ノストロモに搭載されたコンピュータ。
Bolaji Badejo エイリアン 異星生物。究極の兵器としてユタニ社が目を付けたらしい。
猫 ジョーンズ 猫。ジョンジーと呼ばれて可愛がられている。


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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