エイリアン3 Alien3
1992 America 115mins
監督 デビッド・フィンチャー 製作総指揮 エスラ・スワードロー 製作 ゴードン・キャロル
原作 ヴィンセント・ウォード 脚本 デビッド・ガイラー、ウォルター・ヒル、ラリー・ファーガソン
撮影 アレックス・トムソン 音楽 エリオット・ゴールデンサル 製作 デビッド・ジャイラー
出演 シガニー・ウィーバー、チャールズ・ダンス、チャールズ・S・ダットン、ランス・ヘンリクセン




 

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 低温区域で火災が発生。全乗組員は非常救命艇の発射場へと速やかに集合せよ!

 エイリアン撲滅部隊に参加しその任務を終えて帰還しようとしていた所、成功して脱出したハズの母船に
 エイリアンが居たことが分かる。既に低温睡眠状態のリプリーや少女ニュートそしてヒックス伍長の乗った
 救命艇337型は緊急事態の為、母船から分離され、近くの惑星に不時着した。ここは惑星フィオリーナ161。
 C級流刑地としてウェランド・ユタニ社が管理している凶悪犯罪者が収容されている刑務所/強制労働施設だ
 った。最盛期には囚人の数も5000人を越えていたのだが、今では閉鎖され、保護監査状態の囚人が
 25人居る星へと移り変わっていた。ここは太陽の陽の光もあまり届かない辺境の地。その為、普段は
 零下40度も当たり前の極寒の地だった。そんな惑星に落ちてきたハイパーカプセル内で睡眠状態に
 あるリプリーたちは、ここを監督しているアンドリュースの指揮の元、フランクらにその蓋を開けられた。
 生存者は居ないかに思われた。子供の乗ったカプセルは、睡眠状態の機能から外れ、溺死したことが確認
 され、男の入ったカプセルには不時着の際、体を支柱に貫かれて亡くなっていたのである。しかしリプリー
 の入ったカプセルだけは、奇跡的に助かったのだった。僅かに動く彼女を犬のスパイクが見つけた。

 まだ眠っているリプリーを診療所長のクレメンスの元へと運んでいく右の写真。アンドリュ
 ースから、この星に住んでいる全住民に事態の経過が包み隠さず知らされていた。この
 星は独自の宗教を形成し、禁欲の地として成り立っていたのである。それ故にここに住む
 モノは皆男性のみ。突然その調和を乱す女性が入ってきた事は精神統一を乱す元だとし
 て、モースらは彼女の受け入れを反対した。しかし救助隊が来るまでの一週間の間、彼
 女をここに置いておくことになった。リプリーは診療所で目が覚める。低温睡眠状態から
 無理矢理起こされたリプリーの体は、異常なほどダルく、下手をすれば後遺症を起こすほ
 ど。クレメンスは特別な注射を打とうとしていた所で、突然彼女の眼が開いたことに驚きの
 表情を見せた。
 

 ここは何処なのか・・・・何が起こったのか・・・・自分の乗ってきた仲間達は・・・・
 
 一つ一つ説明するクレメンスは、彼女が起きあがったのが分かると、この施設を軽く案内した。ここは、
 天然メタンガスを燃料にした鋳造工場があった。有毒廃棄物を入れるコンテナ用の円盤を作り、社に納品
 しているということで、施設内には大きな溶鉱炉があった。死体の事を言われると、朧気に現状を理解し
 出したリプリーはその場で泣き崩れた。アンドロイドのビショップも再生不能であり、スクラップ場に置いて
 あるという。

 すぐに同乗していたものの遺体の葬儀が行われることとなった。リプリーの要請で、全て
 の死体は火葬される事になり、巨大な溶鉱炉の中へと沈められて行く。アンドリュースが
 祈りを捧げていると、ディロンがやってきて、一言二言、弔いの言葉をかけていった。   
 右の写真、ディロン役のチャールズ・S・ダットン
 

 リプリーはクレメンスに言われ、髪の毛を剃ることにする。ここではシラミが蔓延しており、そのように言われ
 たからであった。それが終わると彼女は一人食堂に行くが、そこには当然男性ばかり。その場は異様な
 雰囲気が漂っていた。禁欲とはいえ、一人リプリーが来たことに何者かが襲いかかってくるのではないか?
 そうした心配の元、彼女は食堂を取り囲んでいる一人の男・ディロンの前にやってきた。先程の言葉のお礼
 を言うと、ディロンは自分が情け無用の凶悪犯だという事を聞かされるが、別段驚いた様子も見せなかった。
 信仰を聞かれ無宗派だというと、試しに入ってみるかと誘われる事となった。

 そんな中、エアシフトの作業員・マーフィーは暗やみの中、巨大ファンの掃除をしていると、奥に何者かが
 いる気配がした。彼は、自分が可愛がっている犬のスパイクかと思い、手を出して犬をたぐり寄せようとする
 と、闇から突然何者かが襲ってきた。その反動でマーフィーは吹き飛ばされ、巨大ファンに巻き込まれて
 粉々な砕け散ってしまうのだった。
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    エイリアン退治から帰還途中、彼女の知らないところで何かが起こっていた。それは、母船にエイリアン
    が入りこんでおり、艦内は緊急の事態。それだけではなく、低温睡眠中の彼女の中にエイリアンの子供
    を寄生されたのだった。
    不時着した惑星フィオリーナで起こる、エイリアンとの壮絶な戦い。ここは囚人の収容される星なので
    当然武器など無い状況の中、無事事態は収拾出来るのか!?
    前作『エイリアン2(’86 原題:Aliens)から6年、新鋭デビッド・フィンチャー(27歳)が独特のエイリアン
    ワールドを描いた作品。

    少しインパクトに欠ける映画で、逆にデビッド・フィンチャーらしさというのがあまり感じられなかった
    映画でした。結構映画製作に取りかかる前に、いろいろと監督降板劇などが有ったそうで、そういう
    意味では大変だったかも知れないけど、もう少し人物の特徴付けを練り込んで欲しかったですね。

    映画の中で描かれる”死”について・・・
    映画の中で誰かが殺されるっていう事が簡単に描かれて過ぎていますが、亡くなったときに悔しくなく
    悲しくならないのは、殺されるまでにどんな事をしたのか・・と言うのが全く描かれていないからだと
    思います。主役級・・・前作で助かった2人を最初に殺した事の方が、前作を見た人にとってよっぽど
    インパクトがあります。あれだけいろんな事があったのを視聴者は知っているのですから。情がうつると
    いうか・・・共に戦っていたメンバーが亡くなるともなれば、やっぱり悲しいですよね。
    全員が丸刈りに近いというだけに、見た目特徴を付けづらいのですから、それだけに人物にいろんな
    要素が付けて欲しかったです。一番その要素が有ったリーダー級の登場人物(アンドリュースやクレメン
    ス)は何をするまでも無く、殺されてしまいましたから、残ったメンバーにあまり魅力のある人は居ません
    でした。
    この映画の中では刑務所が舞台だと言うことも有って、銃器が全く出てきません。1作目、2作目と散々
    撃ち尽くして来たから新しい試みが成されたのかも知れませんが、やはり無理が有ったようにも
    思います。ラストのあの追いかけっこ。エイリアンをある一定の場所に連れていけばそれでOKなん
    だけど、どんな状況になっているのかイマイチ掴みづらい。引きのカットが有ったり、カメラが逆さまに
    なったりして面白い演出はしていたのですが、やっぱり所詮苦し紛れの演出だなぁ〜とか思ってしまい
    ました。緊張感を付けるために、主人公らがどうやると助かるのか、どうやると助からないのかをハッ
    キリさせるためにも、あの地下道の追いかけっこを分かりやすくして欲しかったです。その為には、
    あの複雑な迷路も予め何度も映像として見せて、道しるべのようなものを付けて欲しかったです。

    ラストの30分だけを見るとなかなかの名作的展開。前の年に公開された『ターミ
    ネーター2
(’91原題Terminator2:Judgment Day)で同じ様な演出(シュワちゃん
    が自ら溶鉱炉の中へと入っていく)があって被ってしまったのが惜しまれますが、
    本気でシリーズを終わらせようとした展開ですよね(^^;。しかしシリーズ4作目が
    出てしまったとなれば、これはもうリレーの様に、ハリウッドの名匠たちに、独自
    の『エイリアン』を製作し続けて欲しいような気もします。
    右の写真、イチ囚人のピート・ポスルスウェイト。こんな所に出演しています。知ってましたか?
 

    記憶に残ったシーンは、やっぱり合成人間版のビショップが現れたシーンですね。
    フライトレコーダーに残されたデータを読んでもらう(母船で何が起こったのかは、リプリーは冷凍
    睡眠中だったので知らないのです)のですが、エイリアンが居たことなどを告げると、電源を落として
    欲しいと言うシーンです。あの時のボイスレコーダーの事は、ラストのラストで流れてくる所などは、
    唯一デビッド・フィンチャーの色を出せたシーンで良かったのでは無いでしょうか。

    シガニー・ウィーバー    (リプリー)      2から生き残り。
    ブライアン・グローバー   (アンドリュース)  フィオリーナ161の監督官。食堂でやられる。
    チャールズ・S・ダットン   (ディロン)      黒縁眼鏡をしたリーダー風の男。最後の溶鉱炉でエイリアンに喰い殺される
    チャールズ・ダンス     (クレメンス)     診療所長。リプリーと結ばれる。診療室でやられる。
    ダニエル・ウェッブ      (モース)       いつも文句ばかり言う・・・最後の最後まで生きているが・・
    カール・チェイス       (フランク)      リプリーの救命艇を調査した人。
    ラルフ・ブラウン       (アーロン)     85(IQ)と呼ばれる一見リーダーっぽい人。
    クリストファー・フェアバンク(マーフィー)     犬(スパイク)の飼い主。一番最初にファンに巻き込まれて死亡。
    ランス・ヘンリクセン     (ビショップ)     アンドロイド/アンドロイドを製作したウエランド・ユタニ社の人。
    ピート・ポスルスウェイト   (デビッド)      ”鬼ごっこ”の時、助かったと思った瞬間やられる。
    ポール・マクガン       (ゴーリック)  調査している三人の内、二人(ボッグスとレイン)がやられるが彼は生き残る。
    フィリップ・デイビス     (ケビン)       ”鬼ごっこ”でエイリアンに喰われている所、ディロンが助けるが・・・
    クライブ・マントル      (ウィリアム)     ”鬼ごっこ”でやられる。
    ピーター・グウィネス     (グレガー)      ”鬼ごっこ”にて・・
    ニオール・バギー      (エリック)      同上。
    ヴィンセンツォ・ニコリ    (ジュード)      ニットの帽子の人。
    クリストファー・ジョン・フィールズ(レイン)    三人(ゴーリック、ボッグス)で調査中やられてしまう。
    レオン・ハーバート     (ボッグス)      三人(ゴーリック、レイン)で調査中やられてしまう。
    Holt McCallany      (ジュニア)      
    Paul Brennen       (トロイ)
    Dhobi Oparei       (アーサー)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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