アマデウス Peter Shaffer’s Amadeus
1984年 アメリカ
監督 ミロス・フォアマン 製作総指揮 マイケル・ハウスマン、ベアティル・オールソン
製作 ソウル・ゼインツ 原作・脚本 ピーター・シェーファー 音楽 ネヴィル・マリナー
出演 F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ジェフリー・ジョーンズ




 

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  1823年冬・・
  おおっモーツァルト!許してくれ・・お前を殺したのは私だ。
  突然歳を取った老人が自室でそう叫び出す。彼の名はアントニオ・サリエリ。かつてはオペラだけでも
  40曲を作曲したイタリアの偉大な作曲家の一人である。その彼の声が聞こえると彼の使用人や食事係の
  ものが急いで部屋へと訪れ、すぐにドアを開けるよう叫んだ。しかし、中からは独り言が聞こえるだけで
  一向にドアを開ける気が無いらしく、ついに使用人達は強行突破して、部屋へと進入した。すると目の前
  には首もとをナイフで斬りつけたサリエリの無惨な姿があったのだった。外は雪・・それでも急いでサリエリ
  をタンカに乗せると近くの病院へと運び、何とか一命を取り留めるのだった。
  車椅子に座りピアノを弾くサリエリ。そこに彼の悩みを聞こうと一人の神父がやってくる。すると突然サリエリ
  は神父に向かって、音楽の教養はあるのかを聞く。若い頃少しだけウィーンでかじったことがあるというと、
  サリエリは突然テストするかのようにピアノで音楽を鳴らし始めた。初演で大喝采を浴びたというサリエリの
  自信の一曲。しかし神父は全く聞いたことが無いというのであった。更に次の曲・・また次の曲と演奏するが
  一向に首を縦には振らない神父。すると今度は、違う曲調の音楽を流すと、神父は納得したように頷き
  これは聞いたことがあると答えるのだった。その曲は、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトのもの。
  肩を落とした彼は、神父の前でモーツァルトとの因果関係を話し始めるのだった。

  憧れだったモーツァルト・・・ 幼少の頃から皇帝やローマ法王の前で父親と共に自分が作曲した得意の
  ピアノを披露して回る彼。対照的にサリエリの父親は全く音楽に興味が無く、彼の様になりたいとある時
  父親に話すと、ただの見せ物の何処が良いのかと理解されなかった。神様の前で手を合わせ、大作曲家
  になりたいとただただ祈る毎日。不滅の名声を得られることが出来れば変わりに、貞節を守り、毎日努力を
  怠らずあなたを敬うと。すると父親が食事を喉に詰まらせて亡くなったのを機に、サリエリの人生は一転する。
  すぐに音楽の都であるウィーンに行き、ついには念願の宮廷作曲家として雇われたのである。毎晩のように
  オーストリア皇帝であるヨゼフ二世を連弾、指導に当たり、彼は実力を評価してくれたのであった。

  ある時、ウィーンの街に彼がやってくる。雇い主ザルツブルグの大司教の屋敷に、かねてから評判のあった
  モーツァルトに会いに行った。4歳で協奏曲を書き、7歳で交響曲、12歳ではオペラの作曲をしていたと
  いう彼は一体どんな人物なのだろうか・・・
  サリエリは彼との対面を待ちきれず、食事が並ばれた部屋を訪問する。すると隣の部屋から男と女の話し
  声が聞こえ、彼は咄嗟に部屋の隅へと身を隠した。中に入ってきたのは、豪華絢爛な屋敷とは場違いな
  男女のカップル。特に男の方は、下品な喋りに態度。笑い声を聞くだけで虫酸が走るような思いがするのだ
  った。しかしその男がモーツァルトだと分かると、サリエリは愕然とする。本当に彼があのモーツァルトなの
  か・・演奏会が既に始まっており、遅れてその場にやってきた彼は、急いで支度をする。するとその音色は
  確かに才能を感じさせる音楽だった。
  モーツァルトは雇い主である大司教に、客人の前で恥をかかせるなと注意される。それならばと解雇を宣告
  すれば良いと開き直るが、彼には故郷ザルツブルグで仕えるのではなく、音楽の都、ウィーンに行くことを
  密かに望んでいたのであった。

  このモーツァルトの新しい音楽にサリエリは嫉妬した。今まで音楽一筋に尽くしてきた彼にとって、この下品
  で遊び人のようなモーツァルトに音楽の才能が有ること怒り震えたのである。なぜ神はこのような若者を
  選ばれたのか・・・

  ある時、モーツァルトはヨゼフ二世の屋敷に招待される。そこには、劇場監督であるローゼンベルク伯
  宮廷楽長であるボンノ、そして宮廷作曲家であるサリエリも出席した。ヨゼフ二世は、彼をこの宮廷に仕え
  させるに値する人物なのかを周りのモノに聞く。すると近年でも群を抜いた才能であり、近くに置く事を皆
  賛成した。今度国立劇場用でオペラの演奏会が行われる事になっていた。彼を雇う変わりに、その作曲を
  モーツァルトに担当させようという事になる。しかしそのオペラをドイツ語で書くのか、オペラの本場イタリア語
  で書くのかがまた議論の的になった。
  モーツァルトが宮廷にやってくる。サリエリは歓迎のマーチを作曲し、その旨をヨゼフ二世に伝えると、彼は
  自らピアノの演奏をするという。そこにやってきたモーツァルトは、自己紹介を済ませると、変わりにサリエリ
  の曲を基に変奏曲を作ったとして演奏する事に・・素晴らしい奏でに一同、彼の才能を認めた。そして
  今度国立劇場でのオペラの件を話すと、彼に母国語での作曲を依頼するのであった。
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    音楽/神に身を捧げたサリエリと、生まれ持った才能を使って天真爛漫、自由奔放に生きるモーツァルト。
    その才能に嫉妬し、彼を死に至らしめるまでの経過をサリエリの側からの視点で見事映画化。
    実際の定説とはまた違ったモーツァルトとサリエリの関係が上手く脚本化されている。

    うーん、サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムも当然良かったのですが、モーツァルトを演じた
    トム・ハルスがまた良かったです。
    僕としてはラスト周辺(モーツァルトがレクイエムの作曲の以来をされた辺りから)がちょっとひっぱり
    過ぎた気がするのだけど、全体として音楽をふんだんに取り入れた映画でもあるので、見ていて飽きない
    です。

    モーツァルトってホントにこんな感じの人だったの〜?となんとなく疑ってしまうのですが、天才とは何処
    か一本ネジが緩んでいないとダメなんでしょうね(^^; この自由奔放ぶりは下品な所を除くと、アンソニー
    ・ホプキンスが演じた「サバイビング・ピカソ」などを思い出してしまいますが、


    モーツァルトが才能豊かだという事で、それを見せつける演出として、モーツァルトは楽譜にテスト書きを
    せず、いきなり清書の様な譜面を見せつけられたときの、サリエリの愕然とした表情が良かったです。

    F・マーリー・エイブラハム (アントニオ・サリエリ/宮廷作曲家) 音楽に身を捧げるが、モーツァルトの才能に嫉妬。
    トム・ハルス     (ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)  天才作曲家。甘えられて育つ。彼=レオポルト。
    エリザベス・ベリッジ    (コンスタンツェ・モーツァルト)      ウェーバーの娘。モーツァルトと結婚。
    ロイ・ドートリス        (レオポルト・モーツァルト)        モーツァルト父。息子に全てを賭ける。
    Milan Demjanenko   (カール・モーツァルト)          息子。
    ジェフリー・ジョーンズ    (ヨーゼフ皇帝)              彼が法律。サリエリの才能を認めて宮廷作曲家に雇う。
    サイモン・カロウ      (エマニュエル・シカネーダー)     民衆の舞台場の責任者。パーティーでモーツァルトと出会う
    ニコラス・ケプロス      (コロレド大司教)             ベテルブルグでモーツァルトを雇うのだが・・
    チャールズ・ケイ      (ローゼンベルク伯/劇場監督)    めがねをかけた怖そうな人。
    Patrick Hines      (ボンノ宮廷楽長)             ちょっと太り気味。誰かの意見に便乗するのが得意。
    ジョナサン・ムーア     (パロン・ヴァン・スウィーテン男爵)  
    Roderick Cook     (ヴァン・ストラック男爵)
    Philip Lenkowsky    (サリエリ使用人)
    ヴィンセント・スキャベリ   (サリエリ食事係)            パンでサリエリをおびき出そうとする
    Herman Meckler    (神父)                   迷える子羊よ・・懺悔なさい。
    クリスティーヌ・エバーソウル(カトリーナ・ガバリエリ)        オペラ歌手。モーツァルトと一時期出来ていた。
    バーバラ・ブライン     (ウェーバー夫人)             ウィーンでのモーツァルトの下宿先のおばちゃん。
    シンシア・ニクソン      (ロール/メード)             サリエリに内密に雇われてモーツァルトを監視。
    Karl−Heinz Teuber  (ウィッグ売人)              付け髪の毛を売り込む。
    Peter DiGesu       (フランチェスコ・サリエリ/父)     幼い頃食べ物を喉に詰まらせて死亡。
    Martin Cavani      (サリエリの若い頃)
    Miroslav Sekera    (モーツァルトの若い頃)
                    (アントワネット/陛下の妹)
                    (エリザベート/陛下の姪)       彼女の音楽教師を巡って一悶着。


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