バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2
 Back to the Future Part II
1989年 アメリカ 107分
監督 ロバート・ゼメキス 製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ、フランク・マーシャル
製作総指揮 キャスリーン・ケネディ 製作 ニール・カントン 製作・脚本 ボブ・ゲイル
撮影 ディーン・カンディ 音楽 アラン・シルヴェストリ
出演 マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、トーマス・F・ウィルソン 




 

--------------------------------------------------------
  1985年10月26日(土)、憧れの4WDの自動車を手にして思わず喜びのため拳を握るマーティ・
  マクフライ。恋人のジェニファーがドライブに行こうと誘いにやってきた。現実の世界では、一日の事でも
  1955年の世界を旅してきたマーティに取って彼女との再会は一週間ぶり。そんな彼女との対面に、改めて
  現代に故郷に帰ってきたのを実感するのだった。
  そんな二人の元にやってきたのは、タイムマシンであるデロリアン号に乗るエメット・ブラウン博士。
  彼は慌てた様子で一緒に来てくれと言うと、事情も分からぬままジェニファーと共に車へと乗り込む。
  いざ出発・・・そんな影では、”ビフの自動車工場のマッチ”を持ってたまたまやってきたビフが、その姿を
  見て何か不可思議な顔を見せるのだった。
  進化したデロリアン号。以前のように核燃料は必要なくなり、なんと言っても140Kmのスピードを確保する
  為の滑走地が必要なくなったのである。未来の世界へ行っていたドクは、未来の交通事情に合わせ、空を
  飛べるよう改造していたのであった。
  一行は、2015年10月21日(水)カリフォルニアのヒル・バレーに向かっていた。未来に向かっている事を
  聞くとジェニファーは信じられないといった驚きの表情を見せる。しかし次の瞬間には、自分たちの将来の姿
  結婚式の模様などが見られると無邪気に喜ぶのだった。しかしドクはそんな彼女を眠らせてしまう。あまり
  将来を知りすぎるのは良くないと言うのであった。

  未来のヒル・バレー。そこは雨が降っていた。しかし未来の気象学は正確性を増し、ドクが時計でタイミング
  を測れるほど時間通りに雨が止むのであった。若返りクリニックで肌が20年も若返っていたドク。彼は
  持ってきた服をマーティに着せると、その姿はまるでマーティの息子にソックリだというのであった。
  取りあえずジェニファーを車から降ろすと、2分後マーティに喫茶店エイティーズに行き、そこでコーラを注文
  して、グリフという男を待つよう指示した。そしてそこでグリフから何があっても”やらない”と言って断ること
  だと話すのだった。そしてどんな行動を起こすにも人に関わらず、目立った行動を見せないよう注意された。
  この計画には、マーティの息子が起こした事件を止めようという思惑があった。新聞の一面に取り上げられる
  事件・・・マーティJr.は、時計台を破壊し15年の有罪を判決されたのである。ドクは更に未来の世界を行き
  来し、マクフライ家が今後最悪の道を歩んでいく事になった元が、この事件に有ることを突き止めたのである。

  早速マーティはエイティーズへ。そこは20世紀の喫茶店を再現したアンティークな店である。しかし、入店して
  早々対応に現れたのは、TVモニターに映る人間であった。コーラを注文し、店内を見渡す。20世紀に
  流行ったTVゲーム(因みにゲームは任天堂のワイルドガンマン。詳しくはココをクリック)が置いてあり、
  客の一人にはビフの姿があった。ビフはマーティを見るとマーティJr.と勘違いし、父親のマーティを能なし
  だと貶して店を出ていく。そこにJr.がやってきた。ドクとの約束では、Jr.はドクが誘き寄せておく事になって
  居たのだが・・・取りあえず、鉢合わせしないようカウンターの奥に隠れて様子を伺っていた。すると後から
  入ってきたのは、ビフと同じ顔をしたグリフであった。グリフはビフの孫であり、この世界でも徒党を組んで
  悪事を働いていたのである。そんなグリフを見るとJr.は、萎縮してしまう。甘えん坊に育ったために、自分
  では何も決められない男になっていたのであった。そんなJr.を見てグリフは苛立ち、Jr.の胸ぐらを掴んで
  カウンターの奥へと投げ飛ばした。マーティの目の前にのされたJr.の姿が。そこで、変わってグリフの前に
  出ることにするマーティ。予定通り今夜やるのかやらないのかを脅迫され、マーティは”やらない”と答える。
  そしてグリフが爆発する前に喫茶店を出ようとした。しかし、彼の背後でグリフはマーティを挑発する。
  ”チキン(腰抜け野郎)”と言われると人が変わったように足を止め、彼は決め事のように”だれにもそんな事
  は言わせない”と逆上した。1955年の世界で行った作戦(相手の気を反らして顔を殴る)・・・を試みるが
  アッサリ交わされてしまう。そこで機転を利かせて、股間を蹴り上げ、急いで外に逃げ出した。そして近くを
  歩いていた子供からスケボーが進化した”ホバーボード”を借りると、急いで逃げようとする。グリフらも最新
  式のボードで彼を追いかけると、池の所でマーティを追いつめた。一斉に飛びかかるが、マーティは素早く
  身を交わすと、グリフらは時計台にツッコミ、警察に取り押さえられるのであった。
  一件落着。新聞に書かれていた事件は全てグリフが被ることになった。

  マーティは帰る前に有ることを思いつく。街に映し出された立体映像のスポーツニュースを見ると、アンティ
  ークショップで見かけた”スポーツ年鑑(1950−2000)”の事が脳裏を過ぎる。結果表さえ有れば一儲け出来る
  と考えたのである。早速購入しドクと合流するが、そんな思惑にドクは気がつく。本を捨てようとするが、ちょ
  うどその時、放置しておいたジェニファーが警察に補導されたのであった。しかもマーティとドクの会話を
  たまたま聞いていたビフは、密かに彼らの後をコッソリと付け狙うのであった。
  ジェニファーは自宅へと連れて行かれる。マーティらは隙を狙って彼女を取り返そうとする。ジェニファーは
  自宅へと運ばれるとようやく目が覚めるのであった。しかし扉の開け方が分からずなかなか外に出ることが
  出来ない・・そこへ未来のマーティらが帰宅するのが分かると、ジェニファーは奥の部屋に隠れる。
  マーティらは彼女を救出するためにデロリアンを離れると、チャンスとばかりにビフは、デロリアンに乗って
  過去に飛ぶのであった。

  なんとかジェニファーを救出することに成功し、現代(1985年)に帰ることに。すると街全体の様子が
  おかしくなっていたのである。マーティの家だったところには別人が住み、街の中心には大きなビルが建って
  いた。マーティは途方に暮れているとその巨大ビルの守衛のものに捕まる。なんとそこはビフが建てたビル
  であり、母親のロレインは居たものの、父親の姿が無かった。暫くして騒々しく男が部屋の中に入ってくると
  それはビフの姿であり、父親ジョージは1973年3月15日に亡くなり、ロレインはビフと再婚していたのであ
  った。
--------------------------------------------------------

     子供の不正を正すために未来へ飛ぶのだが、その世界で邪な考えを見せたマーティのアイデアを
     影で聞いていたビフが知らぬ間に実行することに。2015年の世界で購入した全スポーツの結果を知る
     ことが出来る”スポーツ年鑑”を過去の自分へ送り届けたのである。マーティらが1985年の世界に
     帰ると、ビフは大金持ちになっていた。ビフがスポーツ年鑑を送り届けた年は偶然にも、一度行った
     世界でもある1955年の世界。マーティらは”スポーツ年鑑”を取り戻し、現在(1985年)を元の
     世界に戻すことが出来るのか!?

     うーん、これもまた面白いですね。時間の概念を上手くついた複雑な物語だと思います。
     そしてなんと言っても前回は過去に・・そして今回は未来の世界のヒル・バレーを見ることが出来ます。
     更にそれだけでなく、今度は違った角度から一度PART1で向かった過去の世界も再び取り入れようと
     する所が壮大というか、無謀というか(^^;・・・とにかく、どうにでもしてーーーってくらい美味しい何処撮り
     の映画だと思います。
     それ故に今回からは段々と矛盾点が生じて来たのは事実です。例えて言うならば、”ウソをつくために、
     また新たなウソをつく”といった事や、”借金で首の回らなくなった日本が、経済を活性化させるために
     小渕首相は短絡的に公共事業を拡大させ、次々と目的の無い建物を建設して、また新たな建物の
     維持管理費が肥大化して借金が莫大に増える”といった悪循環を生じているのです(笑)

     それは置いておいて、この映画では一つの物語としては一応の纏まりを見せるのですが、最後は
     まだ先の展開を予感させるような不思議な終わり方をするのです。元々この映画は一本でした。しかし
     脚本を書いた時点でセットや撮影にかかる経費を考えた場合、とてもじゃないけど額が大きすぎて
     製作会社が映画化にGoサインを出せなかったのです。そこで無理矢理一本を二本にする事で、
     映画化にこぎ着けました。

     当時この映画を見たときは、この映画に出てくる未来像というのがとても斬新なもののように感じたの
     ですが、今時見るとかなり笑えます。まだまだ現代では、”ブレードランナー”を再現したような、空を
     飛び交う乗り物や濡れた洋服が自動的に乾いたり、自分で靴紐を結ばなくても自動的に結んでくれたり、
     更に服のサイズが変幻自在に変わったりする事は無いのですが、服のファッションセンスが一気に
     レトロ化した感じ(^^; 当時考えられた未来のファッション像と今考えられるファッション像は、かなり
     隔たりを感じてしまいます。またハイテク産業の急激な進化により、コンピュータグラフィックも見劣り
     しています。
     しかし、やはりなんといっても映画の中のヒル・バレーの街が変わっていることに、一つの楽しさが有り
     ますよね。

     今回は少し嫌みな位、登場人物の性格や過去のエピソードを引用しています。
     重要な場面でマーティはバカにされますし、いつもと変わらぬマーティの戦法。 それは一子相伝、
     継承されたかの如く、遺伝子の素晴らしき複製化を見せつけられた感じなのです(うっ、なんのこと
     だか(^^;)そして、過去での印象的な場面を上手く引っかけたシーン。例えば、マーティが気絶して
     ベッドで起きあがる時など、寝言で母親の事を口にして、悪夢を見たようだと魘されるシーンは、
     前回でも使っていますよね。そして、上にも書いたマーティの戦法。相手を別の所に注意を引かせて
     殴り飛ばし、スケボーを使って相手を翻弄したりする事や、オチに肥料を積んだトラックを
     使う所など、前回をアレンジした面白い演出があるのです。

     母親離れしていないマーティなのですが、実はJr.もそれを受け継いで、甘えん坊に育っています。
     未来の世界では、マイケル・J・フォックス(Michael J.Fox)は色んな姿に化けますよね。父親マーティ
     役に、娘の役に息子Jr.そして、現在の自分も演じるのですから大変でしょう(^^; 前作では、恋人役の
     リー・トンプソン(Lea Thompson)が、恋人役を演じたり、現代と過去の母親役を演じたりして大変だった
     のですが、今回恋人ジェニファーは、リー・トンプソンではなく、エリザベス・シュー(Elisabeth Shue)が演
     じています。実は最初見たときはエリザベス・シューが演じていた事は知りませんでした。なかなか違和
     感無く演じられたと思います。

     映画では未来の世界にいるのはホンの30分程度。すぐに現代に戻り、更に過去に戻ることになります。
     過去の世界では、うまくPART1では映らなかった人に焦点が当てられ、恰も別のシナリオが進んでいる
     様に思えます。再び”海の深海パーティー”でのエピソード・・父親ジョージがビフを殴り飛ばすシーンや
     マーティがステージ上で行うパフォーマンスが別の角度のカメラから見られて、実に美味しいです。
     しかし不思議な事に、実は過去のマーティが現代に帰る前に帰らないと”パラドックス”が起こってしまう
     危険性を予め訴えて緊迫感を与えていたのに対し、最後はその展開を無視して、ドクの乗ったデロリア
     ンが雷に撃たれて、結果的に一人で違う世界に行ってしまう妙な終わり方をしていますね。 現代の
     世界ではマーティが消えてしまったことになります・・・が、やっぱり過去も未来も時間が同じように流れて
     いるのなら、何処かで自分の居ない世界というのが存在してしまいます。
     ドクがデロリアンで立ち去ったマーティを見送って余韻に浸っている時に、すぐにまた別のマーティが
     彼の元に現れるというのはなんとも面白い展開でした。

     マイケル・J・フォックス  (マーティ・マクフライ)
     クリストファー・ロイド   (エメット・ブラウン博士/ドク)
     トーマス・F・ウィルソン  (ビフ/グリフ)
     リー・トンプソン       (ロレイン)
     エリザベス・シュー     (ジェニファー・パーカー)
     ジェフリー・ワイズマン  (ジョージ・マクフライ)
     イライジャ・ウッド     (ゲームで遊ぶ子:役名はミッキー)
     ジェームス・石田      (富士通・伊藤/上司)
     Flea             (ニードルス/同僚)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system