バットマン・リターンズ Batman Returns
1992年 アメリカ 128分
監督・製作 ティム・バートン 製作総指揮 ジョン・ピータース、ピーター・グーバー
製作総指揮 ベンジャミン・メルニカー、マイケル・ウスラン 製作 デニーズ・ディノービ
脚本 ダニエル・ウォーターズ 撮影 ステファン・チャプスキー 音楽 ダニー・エルフマン
出演 マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン




 


--------------------------------------------------------
 ”ペンギンマンが出たぞ〜〜〜〜〜
 ゴッサム・シティの街頭で、新聞売りの青年(ショーン・ウォーレン)が街を行き交う人々に声を投げかけた。しかし
 誰もそんなゴシップ誌(1部50セント)には目もくれず、そそくさと歩いていく。空から燦々と降り積もる雪が、
 人々の心も凍らせてしまったかのよう。しかしそんな中、街の中心部にあるゴッサム・プラザの前の広場では、
 クリスマスツリーの点灯式が行われようとしていた。コンパニオンの女性”氷の王女(クリスティ・コナウェイ)
 見ている人に声をかけ、一斉に木に飾られた電飾を点灯させると、あまりの美しさに全ての人から拍手と歓声
 があがるのだった。

 シュレックビルの会議室では、この日も会議が行われていた。しかしここに集まる人々は、この企業の社長で
 あるマックス・シュレック(クリストファー・ウォーケン)を始め、ゴッサム・シティの市長(マイケル・マーフィー)など、街の
 中でも中核を成す人たちである。マックスは将来のため、新しい原子力発電所の建設が必要だと説明するが、
 市長は、それを決めるのには各分野の認可が必要で、すぐには着工できない事を説明した。しかも電力なら
 数値にも表れているように、来世紀の中頃までは、十分持ちこたえるだけの蓄えがあると報告があったので
 ある。マックスはその意見に反論するように、そんな甘い予測を立てていると、将来街は闇に閉ざされ、通り
 には犯罪者とねずみで溢れかえると力説した。マックスの秘書をしていたセリーナ・カイル(ミシェル・ファイファー)
 は、割り込むようにしてその会話に入ってくる。日頃からエネルギー問題には関心があるという彼女。しかし、
 彼らは彼女の話に耳を貸すことなく、市長は次の仕事/公務である市民の前での挨拶があるとして、その場を
 去っていった。
 先程クリスマスツリーの点灯式が行われたプラザの前で市長はゴッサムの街に多大な貢献をしてくれている
 マックスを市民の前で紹介する。マックスも軽い挨拶の依頼を受けていた事もあって、背広の中にスピーチ
 内容を記した紙を忍ばせて置いたのだが、セリーナはその用紙をクリーニングに出す際、一時的に彼女の
 手元に取っておいたのである。渡しそびれた彼女。直前になってマックスも気が付くが、なんとか彼のアドリブ
 のスピーチにより事なきを得るのだった。”使えない秘書め・・・クビにしてやる”と彼は呟くのだった。すると
 会場に大きなプレゼントが届く。市長はマックスが演出した事かと思い、彼を賞賛しようとするが、当の本人も
 それを否定する。すると突然その包みの中からは次々と人が現れて、会場に混乱と恐怖をもたらした。
 銃声が辺りに鳴り響き、折角灯したクリスマスツリーの光も消えてしまう。すぐにゴードン警部(パット・ヒングル)
 は、夜空に ”バットシグナル” を照らしてバットマンに助けを求めるよう命じた。敵のボス/ペンギン(ダニー・
 デヴィート)は、マックスたちの前にジリジリ歩み寄っていく。

 一方そのシグナルを見たブルース・ウェイン(マイケル・キートン)は、バットスーツに身を包
 み、バットモービルに乗り込み現場へと急行した。次々と束になってかかってくる無法者
 たちを、改造したモービルで敵を蹴散らしていくと、目の前で女性/セリーナが人質とし
 て捕まっているのを見つける。顔にはスタンガンを押しつけられて絶体絶命。
 バットマンは腰に付けたワイヤー銃で相手の方向に射るが、近くの壁に当たって敵を
 捉えることは出来なかった。しかし次の瞬間、後ろの壁が崩れて犯人の頭の上に落
 ち、無事セリーナを救出する事に成功した。
 

 マックスはその混乱の中、一人裏道に逃げ込み、敵の手から逃れようとした。しかし突然地面が裂け、彼は
 地下へと引きずり込まれてしまうのだった。

 マックスが連れて行かれた先は、街の動物園 ”北極の世界”(ペンギンが飼育されている場所)の地下にある
 秘密基地だった。多くのペンギンが辺りを取り囲む中、そのボスである”ペンギン”が現れた。その彼はマックス
 に語りかける。”お前と俺は似たもの同士、二人とも怪物である。しかし決定的な違いは、お前は尊敬を受ける
 怪物で、俺は恐れられる怪物である” という。ペンギンは地上の世界に戻り、人間として認められる事。そして
 自分が誰なのか/自分の両親が誰なのかを知ることが解放の条件だと話した。そして、その為にはマックスの
 力が必要なのだと・・。マックスは、”俺には何の得があるのか?” というと、ペンギンはマックスが不正してい
 る証拠の書類を持ち出し、彼の前に付きだした。マックスの所有する持ちビルの半分以上は、違法建築により
 建設されていたのである。するとマックスは何か考えが浮かんだかのように、地上へ戻るシナリオ劇を書くこと
 を約束した。そして、地上に戻った暁には、互いに助け合おうとして手を握り合うのだった。

 マックスが自分の会社のオフィスに戻ると、秘書をしているセリーナが書類を漁っているのを発見する。
 明日ウェインとの会談の為に下調べをしているという彼女。しかしその書類の内容が分からず、彼女は彼に
 尋ねた。書類に書かれた計画書は、電力の発電とは名ばかりで、製作しているのはコンデンサー・・・つまり
 電気を作る機械ではなく、吸い取る機械であるのだった。この計画書は奇抜すぎると・・・。知りすぎてしまった
 セリーナに歩み寄るマックス。これは息子のチャールズ”通称:チップ”(Andrew Bryniarski)の為の遺産。
 誰だろうと邪魔はさせないというと、彼女をビルの上から突き落とし、落下させてしまった。
 セリーナは地面に叩きつけられて動かなくなるが、次第にその死体に取り囲むように、猫が集まり始めた。
 すると、猫に起こされたかのように彼女は再び目を開くのだった。
--------------------------------------------------------

    一難去ってまた一難。ゴッサムシティの街の下水道に住む”ペンギン”一族の族長が地上に這い上がる日
    を狙っていた。彼は両親がだれだか分からず、出生の時の秘密を知るために地上に出てきたというの
    だが・・・
    人気シリーズの第2弾。

    前作よりもあらゆる場面で小道具の使い方が効果的になり、ゴッサムシティの町並みにも少しばかり
    慣れ始めたからか、次第に味を感じ始めてきました(^^;
    やはり映画はキャラクターものらしく、キャラクターが生きてこその映画で、ストーリー自体は、何処にでも
    有りそうなヒーロー対悪者の映画なんだけど、そこそこ楽しめたと思います。
    それ故に何処が面白かったのか?と言われるとやはり出演していた俳優/キャラクターが良かった
    としか言い様が無く、ここではキャラクター中心に感想を書いていこうかと思います。
    しかしこの映画もTVで見たのですが、もの凄いカットの連続で驚きました。
    オズワルトの出生の秘密についても触れていなければ、何故彼が市長選に出馬しようとしているのか、
    何故動物園”北極の世界”の地下に住み込んでいるのか、バッサリ切られていました。幼い頃、醜い容姿
    故に捨てられたという事実や、川に流された為に、たどり着いた先がその場所だったという事を、僕は
    後になって知りました。

    街では原子力発電所の建設を勧めるマックス・シュレックの社長は、何とかゴッサムの市長や権力者から
    その承認を得ようとしていた所、なかなか首を縦に振らない市長らの事が邪魔に感じてきます。
    そんな中、この街の市民に攻撃を始めた”ペンギン”と出会うことになり、二人は協力して互いの利益の
    ためのシナリオを着々と進めることになります。

    ペンギンを演じたのは、ダニー・デヴィート(Danny Devito)。親に捨てられて流れ着
    いた先は、動物園のペンギンの居る飼育部屋。育てて貰った?割に、いつの間にか
    王国のボスの様な存在の男ですが、彼が最も憎んでいるのは、甘やかされた育った
    という長男の子供。自分が逆の立場を味わうハメになった事で自分の味わっていな
    い幸せを送っている人を逆恨みしています。
 
    そんなペンギンと組むことになったのは、マックス・シュレックを演じたクリストファー・ウォ
    ーケン(Christopher Walken)。ゴッサム・シティでの電力供給の不足を理由に更なる原子
    力発電所の建設の認可を得ようとしているのですが、市長からは数値上問題のない事か
    ら承認されず、そんな市長を邪魔に感じている所から、水面下でいろいろと画策しようとし
    ているのです。そして利害の一致したマックスとペンギンは手を組んだのです。
 

    しかしマックスが何故原子力発電所の建設で利益を得ようとしているのか・・・これは後々跡を継ぐ予定の
    息子の為の遺産として、親バカブリを発揮しようとしているのですが、実はこのことはペンギンにとって
    最も憎むべき事なんですよね(^^;これが後々面白い展開へと繋がっていくのですが。
    ウォーケンは、かなり控えめな役でしたが、この映画では、多くの悪者が様々な悪巧みを企んでい
    る事もあって、そんな出番が少ないのは仕方がない事なのでしょうか(^^;

    悪者の一人、キャットウーマン演じたミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)。こ
    の役がまた強烈なのですが、こんな役を依頼出来るのは、ハリウッドの中でも
    ティム・バートン(Tim Burton)監督しか居ません(笑)
    ミシェル・ファイファーも子供に見せるときはちょっと複雑な感じではないのでしょう
    か。(この映画のキャラクターたちは基本的に素顔を見せないかぶりもの系なの
    で、言わなきゃ気が付かなかったりして(^^;)
    このキャラクターは、実に曲者で、殺した相手/マックスに恨みを持っているかと
    思わせ、バットマンにも何故か襲ってきます。まさに気まぐれな猫をイメージした
    キャラクターでした。
 

    これらのキャラクターが使う小道具が実に効果的で笑わせてくれます。バットマンは、前作よりも新しい
    武器を数々披露してくれますし(バットモービルが狭い路地に入るとき変形?したり)、ペンギンが現れる
    時に乗っているのは、アヒル隊長((C)TOKYO)の親分みたいなものだし(^^;、キャットウーマンは猫と言う
    ことで、ペンギンの飼う鳥に興味を示して飲み込んでしまうようなシーンが有ったりします。更に、キャット
    ウーマンがセリーナな時に拾ったスタンガンが後々効果を発揮したり、バットマンが使用した武器をペン
    ギンの飼う犬が加えた事を利用して、後々バットマンを悪者に仕立て上げる時に使用していましたよね。
    こういった積み重ねが非常に楽しい映画でした。

    一作目にハマれなかった人でも、意外と二作目は面白いかもしれませんね。
    ストーリーを、もうちょっとハリウッド映画お得意の無理矢理涙モノの展開にでもすれば、もう少し印象は
    違っていたかも。ペンギンが親子と再会する課程で、悪人でも何でも、街で目立った事をすれば、両親と
    会えるかと思って今まで悪役していたとかいう裏話が有るとか・・うーん、ちょっと強引過ぎますかね(^^;


    マイケル・キートン      (ブルース・ウェイン)     実業家兼バットマン。
    ダニー・デヴィート      (オズワルト・コブルポット)  下水に住む。通称”ペンギン”
    ミシェル・ファイファー    (セリーナ・カイル)      マックスの秘書兼キャットウーマン。
    クリストファー・ウォーケン (マックス・シュレック)    ゴッサムシティの電力会社の社長。
    マイケル・マーフィー    (ゴッサム市長)       何かあると市民の前で発表する。
    マイケル・ガフ        (アルバート/執事)     ブルース家の執事。父親の代から仕えている。
    パット・ヒングル       (ジェームズ・ゴードン署長)ゴッサムシティの市警察。
    ヴィンセント・スキャヴェリ (オーガン・グリンダー)
    クリスティ・コナウェイ    (氷の王女)          ゴッサムシティのキャンペーンガール?
    Andrew Bryniarski   (チャールズ・シュレック)  マックスの一人息子。
    Paul Reubens      (コブルポット)
    ダイアン・サリンジャー   (コブルポット夫人)
    スチュアート・ランカスター (医師)
    スティーブ・ウィッティング (ジョシュ)
    ジャン・フックス       (ジェン)
    ジョン・ストロング      (剣を飲み込む男)
    Rick Zumwalt      (入れ墨をした男)
    アンナ・カテリーナ     (プードル)
    Dame Erika Andersch()
    トラヴィス・マッキーナ   (太ったピエロ)
    Doug Jones       (細いビエロ)
    Branscombe Richmond(怯えさせるビエロ)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system