バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲 
Batman & Robin
1997年 アメリカ 124分
監督 ジョエル・シュマッカー 製作 ピーター・マクレガー・スコット 脚本 アキバ・ゴールズマン
撮影 スティーブン・ゴールドブラット 音楽 エリオット・ゴールデンサル
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、ジョージ・クルーニー、クリス・オドネル
   ユマ・サーマン、アリシア・シルバーストーン、マイケル・ゴフ、パット・ヒングル






 

--------------------------------------------------------
 新しい”バットモービル”が完成したバットマン(ジョージ・クルーニー)は、これに乗って現場に向かう。僕も自分の
 車が欲しい・・・車が無いとデートにも格好が付かない、と話しかけるのは、バットマンの相棒ロビン(クリス・
 
オドネル)。彼も一緒に”レッドバード”に乗り込み、後について現場に向かった。またしてもゴッサム・シティ
 には、犯罪者が現れた。ゴッサム美術館に押し入った犯罪者は、古美術品のコーナーを凍らせ、警備員達を
 全て蹴散らしたのである。自らMr.フリーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)と名乗る男。次々と彼の元に
 警察官が歩み寄るが、彼に近づくヤツは、全てフリーズが手にしていた冷凍銃により凍らされてしまったので
 あった。
 ようやくバットマン&ロビンが到着する。すると待ってましたとばかりに、フリーズの部下たちは一斉に二人に
 襲いかかってきた。二人は分担して相手に対抗した。バットマンは敵のボス、フリーズに喰ってかかり、ロビン
 は美術館から盗まれたダイヤを持つ部下の者たちの追跡を行った。一度はそのダイヤを取り返したかと思
 えば、またしても敵の手に渡る。しかもそのダイヤはフリーズの手元へと渡ってしまった。バットマンたちを
 部下に任せると、自らは用意していたロケットで飛び立とうとしていた。ロケットエンジンが点火され、いよいよ
 出発。なんとかバットマンは出発前に中へと潜り込んだものの、ロビンは間に合わなかった。そこで、彼は腰
 からワイヤーを取り出し、ロケットの外側にへばりついて付いていくことになった。
 中ではバットマンとフリーズの戦いが始まる。しかしバットマンは凍らされてしまい身動きがとれなくなっていた。
 フリーズは、すぐに脱出用のハッチを開き、外へと飛び出す。元々ロケットで逃げるつもりはなく、バットマンと
 ロビンを誘き寄せる為の罠・・・二人を遠い宇宙の彼方に飛ばそうと計画していたのであった。
 外にへばりついていたロビンは、なんとか中へと潜り込むとバットマンを救出する。そして一緒に外へと飛び
 出した。二人とも、背には本物のコウモリのように自在に飛べるような仕掛けになっていたのであった。

 先に飛んでおりたフリーズに上空で近づくと、気がつかれないように近づき、ダイヤを奪い取る。そして、地上
 に降りると、今度はフリーズを捕まえようと歩み寄った。ロビンはバットマンの静止を振り切り、一人気を巻いて
 敵に踏み出すと、フリーズの持っていた冷凍銃により、ロビンは凍らされてしまう。フリーズは、ロビンの手から
 ダイヤを受け取り、悠々とその場を後にする。追ってこようとするバットマンに、凍らしたものを救出する為には
 11分以内に解凍しなければならない事を告げる。するとバットマンは仕方なく、捜索は諦めてロビンを救出す
 る事にした。

 研究者のパメラ・アイズリー(ユマ・サーマン)は、ジェイソン・ウッドルー博士(ジョン・グローバー)
 元で実験を行う。この研究の出資金は、ブルース・ウエインの会社からのもの。パメラが現在
 行っているのは、蘭とガラガラヘビの交配実験。この動物と植物の掛け合わせ実験に成功す
 れば、植物も動物同様に戦うことが出来るという。人間の進出により絶滅が危惧される、南ア
 フリカなどの熱帯雨林の保護プロジェクトを推進する一人だったのである。そんな外敵と戦う
 力を植物にも与えたいと思っていたのだった。
 

 しかし、彼女が行っている実験は、ある段階から一向に進展していなかった。というのも、ウッドルー博士は今
 まで研究していた毒液のサンプルを自分の研究室に隠していたからである。現在彼の実験室は、”ギルガメッ
 シュ計画”の為、共同研究者である彼女でさえも、立ち入りを禁止していた。そして、企業家たちを招き入れて
 なにやら密談を行って居たのだった。パメラは気になり様子を見に部屋の中に入っていく。すると、博士は囚人
 のアントニオ・ディエゴ(マイケル・レイド・マッケイ)を使って、企業家たちに自分の実験をアピールした。実はブー
 ルスは、彼との意見の相違/実験の方向性の違いから、資金援助をうち切ったため、博士は新たなる出資者
 を募っていたのである。
 頭蓋骨に穴を開け、3本の外科用チューブを直接脳に打ち込んだ。そしてスーパーソルジャーと銘々した血清
 を打つと、見る見るうちに男の筋肉は増強され、究極の殺人マシンが完成したのだった。博士は、これを
 ベイン(ジープ・スウェンソン)と名付けた。ベインは括られた鎖を力で外し、研究所内を滅茶苦茶にした。

 そんな事は全く聞かされていなかったパメラは大激怒する。植物の絶滅を救うのが目的だったハズが、世界
 征服の野望のために使われようとしている。博士に向かって、学会に訴える事を告げると、博士は実験中の
 毒蛇とツタを投げつけた。すると、彼女は亡くなってしまうのだった。

 ウエイン家では、2年前ゴッサムシティ大学の研究室で撮られていたビデオを見る。ミスター・フリーズも元々
 この研究室で働いており、オリンピックの10種競技で金メダルを取った事もあるという人材。また専門の分子
 生物学ではノーベル賞を受賞したほどの逸材だった。しかし妻のノーラ(Vendela Kirsebom)が、マクレガー症
 候群と言う難病にかかり、治療法が確立するまでの間、超低温状態で保存しようとした。しかし、マイナス45度
 の実験をしている時、自らその実験槽に誤って落ちてしまったのだった。しかし彼はそれでも生きていた。超
 低温状態で体に異変が起こり、その温度でしか生きられない体になった。そこで彼は、ダイヤをエネルギー源
 とする超低温スーツを開発し、身を包んでいたのである。

 そこで、ウエインはダイヤモンドをダシに彼をおびき出す計画を立てる。慈善パーティーの際、自ら所有する
 巨大ダイヤを引き出し、彼を捕まえようとするのだった。果たして上手くいくのか!?
--------------------------------------------------------

    またまたバットマンに新しい仲間が加わる!
    ウエイン家に仕えてきたアルフレッドの孫のバーバラは、大学が休みなのを利用して遊びにやってくる。
    しかしアルフレッドはその時不治の病に掛かり瀕死の状態だった。アルフレッドは自分の後継人を現在
    行方不明の弟に託そうと思い、バーバラに何とかして彼を捜し出して、現状を伝えようとしていた。
    バーバラは、アルフレッドから託されたスーツを開けてみると、なんとそこにはこの家の真実が書かれて
    いた。それを知った彼女は、自らも戦う為、立ち上がる。

    バットマン/ジョージ・クルーニー(George Clooney)は、これで3代目。
    前作のヴァル・キルマー(Val Kilmer)もクールな所が、なかなかハマっていたと思うのですが、なんで
    変更されたのですかね(^^; あのバットスーツを来て演技すると1時間程度でクタクタになるほど重い
    のだという事ですが、そんな重みに耐えられなくなったのでしょうか?(笑)。しかしマスクを被っている間
    は、基本的に役者として顔がスクリーンに出ない訳で、あまり歓迎されない役かもしれないですね(^^;

    前回相棒ロビンが味方に加わったかと思えば、今回はバットガールが仲間に加わります。彼女も実は
    両親を亡くして独り身であり、今まで育ててくれた人といえば、ウエイン家で働くアルフレッドなのです。
    今回も前回にも増してマンガ色の強い映画となりました。それを感じさせるのは、なんと言っても数々の
    アクションシーンです。今まで、腰に付いていたワイヤーを使うシーンなどは、映画の中でも決定的な
    シーンに限られていたのですが、3作目からは自分の体の一部として数々のシーンで使用されます。
    しかも今までは、バットマンも元は生身の体/人間だという事を念頭に置いた数々の演出・・・地球には
    重力が有ると行ったように、空を駆けめぐるようなシーンは殆ど無かったのですが、今回は、ロケットに
    しがみついていたり、そんな所から飛び降りてみたり・・またビルから落とされるシーンや飛び移ったり
    するシーンは当たり前すぎる事となっています。今のバットマンからは、彼自身が”死ぬ”という概念が
    想像しずらくなっているかもしれません。

    今回の敵キャラも共同戦線を張ってバットマンらに戦いを挑んできます。
    冒頭から悪人ぶりを分かりやすく発揮し、美術館を襲うミスター・フリーズ役の
    アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)。実は彼の根底に
    は意外にもホロりとさせるような思いがあります。
    生まれた時から悪人は居ない・・・自分の目的の為に周りのことが見えなくなって
    いるのですが、体/脳に異常をきたした彼でも、その目的の事だけはしっかりと
    覚えており、それを遂行しようとしているのです。
 

    また彼と仲間になるのは、ユマ・サーマン(Uma Thurman)演じるポイズン・アイビー。元々生物学者で、
    絶滅の危機にある植物たちを保護するのを目的として研究している一人ですが、すでに生まれ変わる前
    から異常性を発揮しています(^^;動物と植物を掛け合わせて、植物たちに毒素を持たせ、自ら外敵へ
    の対抗する力を与えようとしているのです。面白いのは前作のミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)
    が演じたキャットウーマンと同様に、変身前と変身後にはかなりのギャップが有ると言うことです。
    研究者としての仕事を全うしている時には、黒縁メガネをしていて白衣に身を包み、内面でジメジメと不満
    を呟くようなキャラクターだったのですが、それを一気に解放したような妖艶さを身につけて、バットマン
    たちに立ち向かいます。
    そんなキャラクターと対決するのですが、今回の見所の一つは、なんと言ってもバットマンとロビンの
    見解の違いが表面化していくことでしょうか。見解の違いというか、ロビン自身が自分の意見/意志を
    持ち始める事なのですが、まだまだバットマンからしてみれば若い彼が、ラストに行くに従い、より前作
    よりも自身の存在をアピールしていくような態度を見せ始めます。それに対して、バットマンも彼を、一人
    の男性として意見を聞き入れて行くようなシーンを演出していきます。
    ただそんな課程の中で、ロビンが見せる子供っぽさっていうのがまた良い味を出して居るのですけど
    ね(^^;

    アリシア・シルバーストーン演じるバットガールの存在も見逃せません。
    イギリスの名門、オックスフォードアカデミーに入学している彼女は、たまたま休み
    を利用して帰ってきた訳ですが、実は大学を退学してきたという事実が有ります。
    乗馬クラブにでも通うようなお嬢様にも見えて、上品で大人しそうなキャラクターか
    と思えば、実は勝ち気な彼女は、ライダースーツに身を包み、街のゴロツキ達と
    市街地でバイクレース/賭博をしています。両親を10年前に交通事故で失い、
    その悲しみをバイクで疾走する爽快感で気を紛らわしている事もあるのですが、
    なんと言っても彼女は、今まで育ててきてくれたアルフレッドに恩返ししたいと思っ
    ている事から賭博レースでお金を稼いでいるのです。
 

    映画のラストは、なにか全てを上手くまとめすぎていますよね。実はアルフレッドの件に関しては、撮影
    当時80歳を越える高齢だと言うことで、降板するために上手く演出しているのかと思っていました。
    弟の名前がウィルフレッドなんていう如何にも生々しい設定だったので(^^;

    刑務所内にある囚人の私物保管室に、なんと3作目で登場したリズラーの衣装があります!
    監督は前作同様のジョエル・シュマッカー(Joel Schumacher)ですし、シリーズものなので切っても切れ
    ない縁にあるのは事実ですが、今回クレジットの中に1作目から名を連ねてきたティム・バートン
    (Tim Burton)が居なくなったことで一つの転機を迎えていると思います。ティム・バートンが築き上げて
    きた資産を生かしつつ、エイリアンシリーズの様に、いろんな監督の世界に吹き込んで見るのもまた
    一興で、今後の楽しみじゃないでしょうか。


    アーノルド・シュワルツェネッガー(ミスター・フリーズ/ヴィクター・フライズ) 妻が不治の病。その研究を行っている。
    ジョージ・クルーニー      (ブルース・ウエイン/バットマン)    大企業の若手実業家。正義の味方。
    ユマ・サーマン         (パメラ・アイズリー/ポイズン・アイビー) 絶滅植物をなんとか防ぎたいと思っている。
    クリス・オドネル         (ディック・グレイソン/ロビン)      バットマンの仲間。
    マイケル・ゴフ          (アルフレッド・ペニーワース)      ウエイン家に仕える。今回病気で倒れるのだが・・
    パット・ヒングル         (ゴードン長官)              ゴッサムシティの市警察の偉い人。
    アリシア・シルバーストーン  (バーバラ・ウィルソン/バットガール) アルフレッドの妹マーガレットの一人娘。
    ジョン・グローバー       (ジェイソン・ウッドルー博士)      人間兵器を作っている。
    エル・マクファーソン      (ジュリー・マディソン)           ブルースの恋人。1年間つき合っているらしい。
    エリザベス・サンダース    (ゴシップ・ガーティ)
    Vendela Kirsebom     (ノーラ・フライズ)             ヴィクターの妻。現在仮死状態で生かされている。
    ヴィヴィカ・A・フォックス    (ハーブン)
    ジープ・スウェンソン      (ベイン)                  ウッドルー博士が作った人間兵器。
    エリック・ロイド          (若い頃のウエイン)
    ジョン・シモンズ         (若い頃のアルフレッド)
    ジョー・サバティーノ       (フロスティ)
    マイケル・レイド・マッケイ   (アントニオ・ディエゴ)          ベインが兵器になる前に姿。
    マイケル・ポール・チェン    (リー博士)
    キンバリー・スコット       (天文所協力)
    Jay Luchs           (天文所リポーター)
    ロジャー・ネールズ       (天文所リポーター)
    Anthony E.Cantrell    (天文所広報)
    アレック・ダニエルス      (天文所ガードマン)
    Peter Navy Tuiasosopo (天文所ガードマン)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system