スピード SPEED
1994年 アメリカ 115分
監督 ヤン・デ・ボン 製作 マーク・ゴードン 製作総指揮 イアン・ブライス
脚本 グラハム・ヨスト 出演 キアヌ・リーブス、デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック
ジョー・モートン、ジェフ・ダニエルズ、アラン・ラック、グレン・プラマー






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 とあるビルの一角でなにやら妖しげな行動を取る男が一人・・近づくガードマンの制止を振り切り、また自らの
 作業へと戻っていく。このビルの階上では、ある企業が成功を祝ってパーティを催していた。
 妖しげな男は、このパーティに出席している者がエレベーターに乗るのを見計らって、エレベーターシャフトの
 ワイヤーを断ち切ってそれを停止させる。そして犯人は爆弾を設置し300万ドルを要求。
 これをいち早く察知したL.A市警のマクマホン警部(ジョー・モートン)率いるSWATチームが、その処理を行う
 ためこのビルに潜入した。犯人の要求する時刻・タイムリミットは残り1時間30分。SWATの中でも優秀な
 能力を持つ若者のジャック(キアヌ・リーブス)ハリー(ジェフ・ダニエルズ)は、その最前線へと近づき、状況を確認
 するためにエレベーターシャフトを伝って停止しているエレベーターに近づいた。そこには、13人の乗客と爆弾
 が設置され時間が来るとエレベーターの残りのワイヤーが切れて落下する仕組みになっていた。
 この一連の作業を犯人であるハワード(デニス・ホッパー)は隣のエレベーター内で息を潜めて監視(盗聴)してい
 た。
 ジャックは、この状況を打破するために一つの案が浮かぶ。屋上のクレーンを利用しエレベーターを支える
 ためのワイヤーをここから供給しようというのである。
 犯人はこの作業を敏感に察知し予告していた時間よりも早く爆発させ、エレベーターを落下させようとした。
 間一髪、最悪の状態は逃れたものの、ワイヤーを支えるクレーンは長くは持ちそうになかった。
 そこでエレベーターのドアを無理矢理に開け、乗客を救出した。
 犯人がこちらの行動を見通していることを疑問に思い、近くの作業用エレベーターにワイヤーを伝って近づくと
 中から発砲してきた。その突然の状況にハリーは相手の乗るエレベーター内に落下し、ジャックもエレベーター
 が上昇し、上に押しつぶされる寸で相手の乗るエレベーターに落下していった。
 ハリーを人質に取られ、ハワードは上手く脱出していった。
 そんな事件から数ヶ月後、またいつもの生活が戻りつつあった。朝の喫茶店でジャックはバス運転手の
 ボブ(John Capodice)と挨拶を交わし、ボブの出勤を見守るのだが、突然バスが爆発炎上する。すると近くに
 あった公衆電話のベルがなり、あのときの犯人ハワードからバス爆破の予告、現金要求の電話が・・・
 そのバスが一度出発してから時速80Kmを下回ると自動的に爆発するように仕組まれているという・・・
 果たして、ジャックはこの爆破・乗客を救出出来るのか!?
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   決して80Kmを下回れないスピードで走り続けなければならないバス、そして犯人はこのバスから
    一人でも乗客を外に出せば、すぐに爆破をさせるという条件を突きつけるという状況下で果たして
    どのようにして爆破を止め、乗客を救出するのか!!これは犯人からの挑戦でもある。
   うーん、怖い映画ですね。特に80Kmを保つため高速道路から一般道へと降りる際
   に、いろいろと表札やら車やらを薙ぎ倒して進むバスのシーンは、先の見えない展開
   にゾッとする思いがしました。暴走特急ならそんな状況でも取りあえずルートの確保は
   いくらでも出来そうな気がするけど(実際はダイヤグラムがぎっしりでそう簡単には出
   来ないかな・・)、車の場合、信号や渋滞に捕まれば速度なんて一発で落ちますから
   ね。(まえにTOKIOの番組で、車を止めずに何処まで走らせる事が出来るか・・なんて
   企画が行われていましたが、あれは面白かった(^^;)

    しかもどういう形であれ、バスの爆弾を処理・解決したシーンをエンディングに持ってくるかと思いきや
    意外とあっさり、爆発させたりして・・なんとなく虚をつかれた感じがしないでもないです。
    でも、最初のエレベーターシーン・・エレベーターって落下しても大丈夫なように構造的にも設計
    されている筈ですよね(^^; 爆破っていうから、『ダイハード』(’88原題Die Hard)でウィリスが爆弾をテ
    レビにくくりつけてエレベーター内に放り込んだことがありましたが、あれくらいの爆破を予測していたの
    だけど・・あれはエレベーターが落下したことが起爆となる予定だったのでしょうか?(^^;
    実はTVでみたので、数々のカットがあるかと思うのですが、綿密に計画して犯行を起こす犯人で
    あるだけに、そんなシーンが準備段階でも観られると良かったですね。バスシーンなどは犯行に
    向けてなんどか試乗したりするカットを挿入したりして・・
    でも最後は意外と強気な犯人も弱い一面を見せるんですね。しつこく電車にまで追いかけてきた
    ジャックに金を突きつけようとしたりして・・・最後は自ら逆上し、ジャックをたたき落とすため電車の
    屋根にまで上っていくという。犯人役はデニス・ホッパー(Dennis Hopper)なんだけど、人相的にはか
    なり合っていると思うのですが、エレベーターから人質を取って逃げるシーンなどを見た限りでは、なんと
    なく若い頃の素早さ俊敏さが欠けていたので、この後も大丈夫かな・・と心配して観ていました。ま、結局
    走って逃げるというシーンは、ラストの電車のシーンでちょこっとあるだけだったので、そういう点では
    良かったなーと思ったのですが。映画の役者さんも大変ですね(^^;『ザ・ロック』(’96原題The Rock)
    ショーン・コネリー(Sean Connery)といい、若い頃とは違うはずなので役柄も相応に変えるべきなのに、
    やはり観客が求めるものは全盛期の頃の役柄なんですね。うーむ。
    そうそう、ラストの電車シーン(屋根の上での格闘シーン)は、『ミッション:インポッシブル』(’96原題
    Mission:Impossible)を思い出してしまいました。あれよりは現実的かもしれないけど(^^; でも最初に
    キアヌ・リーブス(Keanu Reeves)が頭上の照明を避けたときにあれでエンディングのオチ(犯人をどの
    ように倒すのか)は分かりますね。

    アカデミー音響賞、音響効果賞受賞!

*****

2度目の視聴

 追加) 2回目を視聴してしまいました〜祝2000年。

 思わず、お正月にまたしてもTVで放送していたので視聴してしまいました。一度前に書きましたが、追加という
 形で、少し違うところから書いてみたいと思います。
 サンドラ・プロックのキャラクターが実にチャーミングで、スピード違反で免停を受けている
 女性が運転を任されて走行していくという設定も面白ければ、彼女が話す言葉/会話も
 シャレが聞いていて楽しいです。
 彼女の性格が非常に良く描かれている事の一つ。バスに乗り合わせた乗客やバスの運転
 手とみんな知り合いでいて、気さくに声を掛けあったりするんですよね。朝から遅刻してしま
 う彼女。当たり前の事ながら、定時にやってくるバスは既に停留所を過ぎていて、それを元
 気に走って追いかける。町中で大声を張り上げてそのバスを止めて乗り込む。それだけで、
 なんかどれほどの肝が座っていて明るい女性なのか、想像できますね。
 アリゾナ大学ではアメリカン・フットボール/ワイルド・キャッツが有名な事から、彼女が着て
 いる服を見たデニス・ホッパーから”ワイルド・キャット”と勝手にあだ名が付いてしまいます。
 しかし強ちそんな所からついたあだ名でなく、寧ろ的確に彼女の行動を見てからつけたの
 ではないかとさえ思えてきます。こんな所からも犯人の有能さが伺えます(笑)

 どんな危険な状況下であっても、バスに乗り合わせたお客さんはユーモアを忘れたりはしません。勿論中には
 怖くて震え上がっている人も居ますけど、危険なシーンでも一つ一つ 目の前の難所を越えた所で、皆が団結
 して困難に立ち向かい、一緒になって手を取って喜び合います。まだ危機的状況から一切セーフティな場面へ
 移り変わった訳でもないのに、バスの中で喜び合っている姿は非常に印象に残りました。決して現状を忘れて
 いる訳ではないのですが、先の展開を心配をするよりも助かるために今何をすべきなのかをよく把握している
 乗客たちでしたね。
 そんな中、アニーが乗客の一人に言った言葉がかなりツボを得た笑いを誘います。運転しているアニーの元
 に一人の乗客が近づいてくるのですが、運転席に近づかないように ”その線から前に出ないで!”と制止させ
 るのです。普段は絶対運転手がそんな事を言っても、聞き入れないような事でも、何故かそんな状況下では
 律儀にそれを守ってしまうのです。こんなシーンが会話のやりとりで聞かれるので、よく注目して見ていてくだ
 さいね。

 映画の展開について少々。
 かなり強引な展開を見せるのは事実なのですが、全て派手な演出と息も詰まるような迫力のシーンで、そんな
 細かい事は忘れてしまいます。冒頭で起こる、”エレベーター爆破予告”から”バス爆破予告”、そしてこれで
 終わることなくラストを演出した ”地下鉄脱線”。バスを止めることは決して許されない事でしたが、逆にその
 スピードを利用して、工事中の道路が15m程切断された地点を飛び越えてしまいます。ブルースブラザーズ
 ならそんな事許されますが、普通に考えたら全然可笑しいですよね。そしてバスの終着などは、必要以上に
 最後は見せ場を作って、ラストは飛行機にぶつけて(ぶつかって)止めてしまうのです。地下鉄でも、都合良く
 ブレーキが利かず(デニス・ホッパーが運転手を殺したときに、コントロールボックスに銃弾を浴びせてショー
 ト)、アクセルだけは利く事を利用し、ここでもスピードを利用した展開で強引に止めてしまいます。
 なんだか実際映画で起こった事よりも、その後処理の方が大変なんじゃないかというくらいの展開。あれだけ
 災難にあった乗り物たちを派手に壊してくれると、もう綺麗サッパリ。身も心も洗い流してくれたかのようです。

 エレベーター事件の時に、キアヌ・リーブスが前ふりで言った言葉を有言実行し、同僚を撃って相手から助け
 た事になりましたが、2度目に再び同じシーンが現れます。なかなかこんな反復が楽しい映画ですが、1回目
 と違ってデニス・ホッパーは、彼が人質を撃つことを知っているのですから、相手を怯ませて動揺させる事に
 は、ならないのでは無いでしょうか? キアヌの作戦とはそんな隙をついた救出劇/現状打破だと思うので
 すが・・・
 それとも足を撃ったことで人質を連れて歩くのは不可能だと言うことで、犯人は連れていくことを諦めるといっ
 た展開を期待した行動なのでしょうか。なんにしても故意に人質を撃つなんて大胆な展開ですよね。

 ヤン・デ・ボン監督も撮影監督からの出身ということで、長いこと培ってきた経験を生かし、無駄なシナリオを
 削ってツボを抑えた出来の映画だと思います。是非お奨めです!


    キアヌ・リーブス     (ジャック・トラベル/SWAT隊員)  有能な隊員。しかし少し暴力的。
    デニス・ホッパー      (ハワード・ペイン/犯人)       元警察官。指を切断した為に殉職。
    サンドラ・ブロック     (アニー/運転した女)         スピード違反で免停中。たまたまバスに乗っていただけ。
    ジェフ・ダニエルズ    (ハリー・テンプル/ジャック相棒)  ジャックに足を撃たれる。しかし最後は爆発で・・
    ジョー・モートン       (マクマホン警部補/ジャック上司) 黒人の警察官。いろいろとジャックに指示する。
    グレン・プラマー     (ジャガーの運転手)          高速道路でジャックに車をジャックされる(笑)
    アラン・ラック       (スティーブンス)
    Hawthorne James  (サム/バス運転手)         爆弾が仕掛けられたバスの運転手。
    ベス・グラント       (バスの乗客)              抜け駆けしようとして亡くなる。
    Carlos Carrasco   (オーティス/バスの乗客)      インディアン系の人。頼りになるジャックのサポート。
    John Capodice    (ボブ/バス運転手)          爆発で死亡してしまう。
    リチャード・ラインバック (ノーウッド/SWAT隊員)      マクマホンの部下。
    リチャード・ダノ      (SWAT隊員)
    デビッド・クリーゲル   (テリー)
    オオハマ ナツコ     (カミノ夫人)
    Daniel Villarreal    (レイ)
    マーガレット・メディナ   (ロビン)
    ジョーダン・ランド     (バグウェル)
    Beau Starr       (市長)                  エレベーター事件解決後、ジャックらに勲章を与える。
    Richard Schiff     (列車の運転手)            ハワードに撃たれて死亡。
    Thomas Rosales Jr.(ビンス)
    サンディ・マーティン   (バーテン)
    Michael Sottile    (SWAT隊員)
    Jane Crawley     (乳母車)                バスに乳母車をはじき飛ばされる。
    Anne O’Sullivan   (乳母車)


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