太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

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第20話 1972年12月1日 そして、愛は終った

脚本/市川森一 監督/金谷稔
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清坂貞文は射撃練習をした後、黄色いスポーツカーに乗ると
寝袋を手にしたまま川村キヨのアパートを尋ねる。祈祷して
いるキヨは貞文が来たのを知ると室内に入れる。金を持ってき
たと言う貞文に対して、とりあえず続きのお経を唱えてから
受け取るとして手を合わせ始める。そんなキヨの事を貞文は
後ろから
細いロープで首を絞め絞殺する。貞文はキヨと争った
際にかけていた
近視用のメガネのレンズの片方を割ってしまう。
キヨの家には着物を着た女性(クジョウキヌコ)のドアを叩くと、
貞文は息を潜めて立ち去るのを待った後、遺体を寝袋に入れて
アパートから運び出し、そして黄色いスポーツカーで走り出す。
メガネの修理に出した後、遺体を捨てるために埼玉県方面へ
と走り出す貞文。しかしそんな中、別の殺人事件で捜査中の
マカロニや長さんらが貞文の乗った車を止め、容疑者を車で
追いかけるのに協力して欲しいと頼む。相手は指名手配中の
殺人犯・桑田で目の前に有る車を追いかけて欲しいとのこと。

埼玉・川越の辺りで容疑者・桑田の車を追い詰めると車に近づこ
うとする。しかし相手は発砲してきた為に、容易には近づけな
かった。貞文も外に避難しようとするが、
イワキ山の崖から
足を滑らせ落ちてしまう。マカロニは貞文の救出を優先するた
めに崖から貞文を引き上げる。乗ってきた車はパンクしていた
為にマカロニは貞文をかついで麓の
産婦人科・黒木病院へと
運んで休ませてもらう。

マカロニはボスに電話して報告。民間人の車に同乗してホシを
追いかける奴が居るかと怒られる。現在川越の病院にいること
を説明し、貞文は軽い脳震盪で休んでいるところだと告げる。
桑田の件は県警に連絡して捜査を引き継いでもらったので、
迷惑をかけた人物をちゃんと都内まで連れて帰れと言われる。

桑田の実家にまで張り込んでいたのに逮捕出来なかったのは
自分のせいでも有るとして長さんはボスに謝罪する。ボスは
桑田には東京に女が居るので必ず戻ってくるハズであり、現在
その女性を張り込ませているという。
追い込まれたホシは必ず
女か親の元に戻ってくる法則があるとし、必ず捕まると分かって
戻ってくるのだから不思議だ
と告げる。

貞文が入院している産科医・黒木病院にはカツ子という看護師
が居た。カツ子は今晩は病院長からここに居ろと言付かってい
る事を告げる。自分はこの病院を辞めて東京に行くのだとし、
私が付いているのでマカロニに対して看病は任せて欲しいと
告げる。
そんな中、貞文の目が覚める。
貞文はマカロニが本当に刑事なのか疑問に感じて色々と詮索する。
貞文は看護師たちに酒でも一緒に飲まないか?とすると、カツ子
も睡眠薬代わりに飲もうと告げ、院長の酒を取りに行く。
貞文はその間マカロニから色々と話を聞く。
犯人は捕まった際に、
動機を自白し無ければならないものなのか?
という疑問に対して、マカロニは犯行事実がハッキリすれば
刑事は動機を問わないとするが、起訴された後、裁判では動機
を明確にする必要が有るという。犯罪に興味が有るかのか?
と問う。マカロニが追っていた犯人は一体どんな犯罪を犯したの
か?という問いかけに、女房殺しだと告げると、
夫婦は所詮他人
であり一緒に住めば憎しみあう事もある
のだという。しかし
そうじゃない人も居るというマカロニに対して、そういう人は
自分を誤魔化しているのだと告げる貞文。あんた愛情を信じて
いないのか?という問いかけに他人同士でない親子や兄弟、親戚
など血で繋がっている愛情ならば信じていると貞文は語る。

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■ジュリー vs マカロニ

自分の世代ではないのでちょっと二人の人気がどの程度だった
のかというのは伝聞的にしか聞いた事がないのだけど、いずれ
にせよ相当な組み合わせだったであろう事は伺える。

どっちも若者代表っぽい感じだけど、役柄としては一切チャラ
さが無い所が凄い。

■川越はそんなに田舎か。

ハンチョウ64話でも川越が舞台になったのだけど、
このドラマの中で描かれている川越は、何処か秩父の山奥みたい
な扱い。埼玉の川越ではなく別のロケーションの事を言って
いたのだろうか?
東京に出るとの事だけど、電車で僅か30分程度なのに。

■マカロニが初めて発砲する事件

今まで太陽にほえろの中では刑事達が銃についての思いを述べる
ところが有る。ゴリさんも14話「そして拳銃に弾をこめた」の中で
銃の件で言及が有った。

刑事ならば誰もが一度は通る道だとするけど、今回マカロニは
その道を通ってしまったという事になる。
相手の男性がまた殺意はなく自殺するが為にわざとマカロニに
殺させようとしていたのではないかとする辺りの妙が何とも
言えない味となっているし、マカロニにしてみれば良い迷惑
なんだけどね。

マカロニが発砲した後に子供のように泣きじゃくる姿がまた
印象的だった。

■殺人事件追跡中に殺人事件を発見

ドラマではこういうシチュエーションを時々見せる。
皮肉と言えば皮肉だし、相棒ならばごく当たり前のような
感じにも思えてしまうけどね。

容疑者・清坂貞文は田園美術大4年生で、元陸軍参謀の清坂少将
の息子だという。長さんはその名前を聞いてピンと来ていたみた
いで、年齢がバレるぞと突っ込まれていたけど、果たして何故
彼が老女を殺害したのか。

■被害者は女中の川村きよ

なんと彼女の口座には1000千万円が貯まっていた。
普通の家政婦ではそんな金など手に入らないであろうことを
考えると、金の流れを捜査することが殺人の動機を知る上でも
一番なのかに思える。

川村は、ホクト商事の専務・カツイチロウの家で10年前に女中
奉公しており、その頃貞文も遊びに来ていたとのこと。

■スナック・箱舟

一緒に東京に出て行った看護師のカツ子からの連絡で、貞文が
自殺しようとしている事を知る。東京に憧れ一緒に田舎から
出てくるというシチュエーションも昔は多かったのだろうけど
今の時代にはあんまりこういうシチュエーションが成り立たなく
なっている感じだね。

■ボスの推測

全ての事件の真相は闇で、ボスの推測で語られることが全て
だった。ただもちろん視聴者にはその過程は描かれているの
だけどね。
家政婦は見た!リアル版のようで、なんとも言えないものが有る。
冒頭から壁の曇りガラス越しに貞文がキヌ子を見る光景は
禁断の恋を象徴している感じがして何とも言えない。
結果的にキヌ子も自殺してしまったようで、関係者はみんな
亡くなってしまい真相は闇の中だ。

しかし金を脅し取っていた老婆も調子に乗りすぎ。
自分の方が金を強請って悪い事をしているのにね。
そんな老婆役を演じた千石規子さんは今年残念ながらお亡くなりに
なってしまいました。脚本家の市川森一さんも一昨年亡くなってしま
ったよなぁ。

藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (ボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
内田宗吉 …… ハナ肇 (めし屋「宗吉」の主人、シンコの父)
武田ウタ …… 賀原夏子 (タバコ屋、早見の下宿先の大家)

沢田研二、千石規子、神島ひろ子、木田三千雄、有川兼光
増田元男、三条泰子

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