太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第57話 蒸発

脚本/鴨井達比古 監督/斉藤光正
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久美はジーパンの為に湯飲みを購入してくる。
それを見た七曲署の署員たちは久美がジーパンを贔屓している
ことに嫉妬してなのか、甘やかしすぎだとするが、久美はジー
パンは体は大きいが心が幼いのだという。

そんな中、ボスの元に殺しがあったとの報告が入る。
現場に駆けつけると、鑑識の高田からは、殺人が起きたのは
午後11時頃で、至近距離から3発撃たれているという。目撃者は
今の所なかった。被害者に特徴的なイレズミが有ったことから
山さんは遺体の顔を見て何処かで見た顔だという。調べて見ると
竜神会幹部花巻である事を知る。寺林組の敷地内で殺されて
いたという事はヤクザの縄張り争いなのか。
そんな中再び七曲署に電話が鳴ると、それは事件を目撃したと
するタレコミの通報だと知る。犯人は寺林組の石岡であること。
この目でハッキリみた事を告げ、午後11時頃に被害者に3発
銃で発砲していたという。すぐに逮捕して欲しい事を告げ、
俺が見られた事を相手も知っているのだという。
ボスは石岡のことを別件で逮捕して、その間に目撃者を探そうと
語る。

寺林組に行くと長さんとゴリさんで石岡を連れてくる。
激しい抵抗が有るが・・・

取調室で石岡に昨晩のアリバイを尋ねる。
鑑識によると使用された銃は38口径SWであり前科はないものだ
という。また石岡のアリバイに関しては成立している事を告げ、
石岡のアパートを調べたが特に事件と関連するものは見つから
なかったという。恐らく事件現場で来ていた服は既に処分済み
なのだろうと語る。アイツらは目撃者捜しに躍起になっている
筈であり、俺たちが先に見つけなければならないとしてボスは
みんなを鼓舞する。

近くで聞き込みをしていると、ボケヤスと呼ばれている通いの
労務者が一人いなくなっている事を知る。話では前日に金を
貸していた人物から取り立てた後に慌てて消えたのだという。
住所と本名についてはまるで分からないとの事だった。
山さんはボスに報告の電話をする中で山さんの動きを監視している
人物が居た。

山さんとジーパンはパチンコ屋にいくと、情報屋と接触する。
するとボケヤスが住んでいたと思われるボロアパートが分かった
として、情報料と引き替えに紙を受け取る。
ジーパンと山さんはアパートを調べると、そこに2年前に失効して
いる免許証が落ちていた。そこには江原行夫と書かれていたので
有る。

早速江原家にいくと、きちんとした邸宅があるのに何故ボロの
アパートに住んでいるのか気になる。
留守かと思いきや、江原の妻・邦子と息子のガスオが戻ってくる。
カズオによるとパパは死んでしまったのだという。
邦子から話を聞くと先日夫の一周忌を済ませたばかりだという。
妻に免許証を見せると確かに夫のものだという。山さんたち
は何故夫は亡くなったのかと問うと、多分転落死だろうとの事
だった。元々3年前から行方不明で警察にも捜索願いは届けている
が、1年前に信州の山で白骨遺体が発見されたとし、持ち物
や体格的特徴から夫の遺体で間違いないのではないかとされた
のだという。
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    ■殺人事件の目撃者

殺人が発生するが被害者が竜神会の幹部の男だという事で
対立する寺林組による犯行に思われた事件。
目撃者によると、寺林組の石岡が犯人との事だけど、ヤクザの
男のことなどよく目撃者も精通している感じがするね。

■別件逮捕

石岡をヤクザの事務所から引っ張ってきたゴリさんと長さん。
ゴリさんとかジーパンならば大丈夫だけど、もしも逆上して
襲って来たら長さんは大丈夫なのかな。

証拠からは38口径SWが射殺に使用されていた。
今時の捜査・鑑識ならば発射残渣で簡単に発砲したことが分かる
のだろうけどね。
アリバイは有ると言っても身内で勝手にアリバイを作っている
のだろうし、それでも追い詰めるだけの証拠がないという事で、
辛い立場だった。

■山さんの情報屋

パチンコ店で山さんは情報屋と接触。
太陽にほえろ!では情報屋の存在は欠かせない。
今回は山さんの情報屋が利用されたけど、一体どんな方法で
情報を見つけてくるのだかね。蛇の道は蛇ってところなのか。

■ボケヤスという名の労務者

日雇い労働者だと現在でもなかなか身元が判明しないケースが
有る。近所の労働現場からボケヤスが居なくなったということで
その人物を捜すことになる。
上述した情報屋からボケヤスの住んでいた場所が判明する。

■ボケヤス邸から発見された免許証

彼は免許証から江原行夫だと判明する。
とても立派な家を持っていて妻子がいるのに何故居なくなって
いるのか。
二年前に身元不明遺体が発見され、特徴が似ていたことから
既に亡くなっているものとして妻の邦子と息子のカズオも認識
していたようだ。
ジーパンが尾行した結果、妻には新しい恋人・小阪がいること。
そして二人は夫が生きていたとする事実は知らなかった様だ。
3年間生死が分からねば離婚は成立すると思うし、亡くなったと
判定されているのであれば離婚も認められている筈で重婚にも
ならないとは思うのだけど、問題は亡くなったとされたものが
戸籍の回復が出来ず辛い人生を送るということか。

■一年間に2万人の身元不明者の遺体

そんな事実がまた切ない現実として描かれた。

■しつこい殺し屋たち

目撃者も警察にタレコミしなければ狙われなかったのではないか
という感じもする。
殺し屋の凄いのは、病院には医師として潜入。
警察には刑事に扮して潜入してくること。
なかなか逮捕出来ないもどかしさを感じる流れではあった。
しかしこんなにあっさりと警察署内に容疑者を侵入させて、
相当問題がある警察署だよなぁ。

■江原が失踪した理由

もうこの時代から訳も分からず知り合いの前から消えたいと
願う願望の人はいたのね。会社の歯車になりたくないという
ことは分かるし、毎日の生活から逃げたい気持ちも分からない
でもないけど、なんだかもったいないね。

■刑事に大切なのは逮捕よりも人命の尊重だ

山さんがジーパンに語るシーン。
山さんは自分も一度蒸発したいと思った事があることを吐露して
いた。今回はジーパンも江原家の事情に深く立ち入っていたし、
感情移入する部署だね。
この先は警察が介入すべき問題じゃないと線引きしたところも
また印象的だった。



藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

署長 …… 南原宏治(署長)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)

江原邦子 …… 長内美那子 (32歳、妻)
江原行夫 …… 山本耕一 (夫、3年前に失踪、殺人の目撃者)
小阪 …… 松本朝夫 (邦子の恋人)
石岡輝次 …… 仙波和之 (犯人・寺林組、顔に傷)
タレコミ屋 …… 鮎川浩 (山さんの抱えるパチンコ屋にて)
倉田 …… 木村博人 (容疑者)

北川陽一郎、川野耕司、都家歌六、石川隆昭
常陸雅史、平田昭彦

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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