太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第63話 大都会の追跡

脚本/鎌田敏夫 監督/竹林進
--------------------------------------------------------
常東信用金庫・南町支店で仕事中の前野妙子は突然脂汗を流し
て倒れる。救急車で運ばれる中、支店長の田村弘一のオフィス
には、白衣を着てマスクをかぶった男性・矢島義則が現れ、
運ばれた前野からはコレラが検出されたとして、早急に消毒す
る必要があるという。職場で働いていた人を一カ所に退避させ
るようつげる中、前野が触れたもの全てを消毒して、本日この
信用金庫を訪れた人たちを可能な限り調べて欲しいという。
更に金庫には前野が触れた金がある筈なので、それも消毒する
必要があるとつげ、田村に金庫を開けさせた後に彼は田村を
眠らせると、用意していたバッグに現金を詰め込んで逃げる。

翌日の新聞には1億2千万円が白昼堂々信用金庫から盗まれる
いう見出しで掲載される。
倒れた前野の当日の行動を調べると、喫茶店に立ち寄っており
その際、トイレに立った時に何者かが薬物をオレンジジュース
の中に混入していたことが分かる。共犯での可能性も否定出来
なかった。

そんな中、ボスは矢島義則が3ヶ月前に武蔵野刑務所から出所
していることを長さんたちに話す。一人で犯行を行えるとすれば
矢島以外にいないというボス。ジーパンは支店長の元にいって
矢島の顔写真を見せると、確かに検査官に扮した男性が矢島だっ
たと証言する。
ジーパンは長さんに対して矢島はどういう人物なのか尋ねると、
突拍子も無いことをやってのける人物であり、以前には夜間金庫
を設置して5千万円をだまし取っている事を語る。彼は誰かと
連んで犯罪を犯すのを苦手としているが、唯一の弱点は美沙子
という女性だという。服役中に山下高雄と結婚したが、服役する
5年前まで付き合っていたのだという。

ゴリと山さんは美沙子の自宅を高台から監視・ハリコミしていた。
夕べから美沙子は一切外出していないという。ジーパンは5年前
の事であり当時二人に気持ちが有っても長くは続かないのでは
ないかという。しかし山さんは、若者の5年間と中年の5年間は
違うのだとつげ、一度惚れた女を早々忘れられないものだと語る。

そんな中、美沙子の元に矢島から電話が鳴る。
矢島は美沙子と一緒に逃げたい事を告げ、今回の信用金庫を
襲ったのは自分である事を語る。美沙子は現在結婚したことを
つげるが、その生活は幸せなのか?と問うと、お前は同じ事を
繰り返すような生活に満足出来る女性ではないのではないか
問う。写真を3枚用意する様告げ、偽造パスポートを作ってくれる
人を見つけた事を語る。一生遊んで暮らせるだけの金を手に入れた
事を告げると、お前は絶対に約束の場所に来るはずだと語る。

一方ハリコミしているものたちは、あの女性が付いていくハズは
ないと考えていた。例え地味でも美沙子には今の生活が幸せ
なのではないかというもの。
そんな中美沙子が家から出てくる。

繁華街を歩いて行く美沙子は高橋写真館に入る。
スーパーで買い物をする中、親子が買い物をしている姿を見て
考え込む姿が有った。

美沙子は夫と共に夕食を取る中、夫の高雄から写真館にいった
のか?と問われ、写真屋のオヤジに美沙子がきたことを聞いた
のだという。美沙子は写真館に飾られている家族の姿を観て
いたら撮影したくなったとつげると、高雄は来年には思い切って
子供でも作ろうかとつげる。

翌日ゴリとデンカも折角掴んだ幸せを壊すはずはないと観ていた。
しかし美沙子の元には再び矢島から電話が鳴ると、美沙子は写真
は4時に出来ると語る。矢島は恐らく美沙子の周りには警察官
がハリコミしている事を告げ、警察の尾行をまくことは出来るか?
と問う。お前ならば出来るハズだと語ると、出来ると答える。

美沙子がついに動く。
無線でも本部にいるボスにその事が伝えられる。
写真館に写真を取りに行くと、美沙子は裏口から出て行くが
ゴリが上手くデンカからバトンタッチして美沙子を尾行する。
駅から電車に乗る美沙子は次々と電車を乗り換え、出発直後
に電車から降りたりして、尾行をまいていくが・・・
--------------------------------------------------------
■常東信用金庫で金が盗まれる

大抵このタイミングで盗まれるとなれば、気分を害した女性行員
と金を盗んだ犯人が共犯関係にあると考えるのが普通だよね。
しかし直前にクスリを混入していたようで、直接的繋がりは
なかった。
犯人役を演じた矢島役は、江守徹さんだったけど、ドラマを
観ているとどう見ても鹿賀丈史さんにしか見えない。

■ジーパンが否定することは悉く外れる

ジーパンは若手の代表という立場の人間なので仕方がないのかも
知れないけど、まだまだ犯罪者心理だったり、人間の心を掴めない
所もある。時々彼の思い込みが捜査に於いて役に立つけど、
それ以外は悉く彼の意見とは逆の心理行動の元で事件が回っている
感じ。

■5年間離れたカップル

犯罪者の矢島は武蔵野刑務所で5年間服役。
その間に彼女だった山下美沙子は別人と結婚して、質素ながらも
家庭を持つ主婦として慎ましく暮らしている。
そんな中突然出所した矢島からの電話で事態が一変してしまう
のだから皮肉だ。
問題は美沙子自身には矢島と付いていくかどうかで自らに選択権
が有った。

■ハリコミ、尾行

今回は尾行シーンが多かった。
というか「太陽にほえろ」を観ていると基本は尾行シーンか
ハリコミシーンが多い。刑事ドラマなので当たり前では有るの
だろうけど、今回の尾行シーンは相当長い時間割いて描かれて
いた。
矢島が一人で犯罪を犯すとしていたけど、美沙子も尾行をまく
スキルが高い。
女性しか入れないような美容院とか化粧室なんかに入られると
流石に男性捜査員たちでは限界が来る。
今回はシンコも加わっていたけど、そういうシーンではシンコ
は何処か雲隠れしていたので、取り逃がすことになった。
しかし連携しての尾行シーンはこのドラマの面白さの一つだね。

■野球場でのシーン

駅前とかで普通に撮影されるのがこのドラマの凄いところだけど
今回は野球場で撮影されていた。
昔の後楽園スタヂアムだったけど、1987年に解体された。
そんな球場から地下の下水道にいけるというのが凄い。
国立競技場には誰にも知られていない地下室があるというのは
よく語られているけど、野球場からもいけるのかな。
下水道から逃げられたと分かるのがデンカが神がかり的を見つけた
容疑者のイヤリングからだった。7年前に矢島がプレゼントした
ものらしい。物への執着が良い面でも悪い面でも働いたことになる。

■ライフル銃で脅される

ヤクザの戸川組が意地悪く矢島の金を狙っていた。
戸川組もハイエナのようで相当セコイ(笑)
あんなライフルを持っていたら相当騒ぎになると思うが・・

■香港に逃げようとしていた

下水道から船に乗り、そしてヘリコプターを使って日本海側に
行って日本脱出ルートを考えていたようだ。
最後は美沙子だけを失うということで、寂しい別れになってしま
ったけど、「自分で選んだ道」「俺たちは犯人を捕まえるだけ」
というボスの突き放したような台詞の中にも切なさが光っていた。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

署長 …… 南原宏治(署長)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
高田鑑識員 …… 北川陽一郎

矢島義則 …… 江守徹 (武蔵野刑務所を出所、群れない犯罪者)
山下美沙子 …… 夏純子 (高雄の妻)
大杉 …… 田中浩(戸川組)
前野妙子 …… 皆川妙子 (常東信用金庫行員)
山下高雄 …… 宗近晴見 (美沙子の夫)
田村弘一 …… 石井宏明(常東信用金庫・南町支店長)
高橋 …… 今井和雄(高橋写真館店主)

友田順子、宮田弘子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


inserted by FC2 system