太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html






第65話 マカロニを殺したやつ

脚本/長野洋、小川英 監督/山本迪夫
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ゴリさんは七曲署で仮眠を取る中、マカロニが殺害された日
のことを夢で見る。遅刻してきたマカロニ・・・事件解決した
時の事・・・そして暴漢に刺されて死亡したマカロニの苦しそう
な顔。

山さんは毎日日課にしていることが有った。
マカロニが殺された現場近辺を聞き込みして回ることだった。
工事現場で関係者に話を聞く。マカロニが殺害された当時、
空き地だったところも今では大きなビルが建とうとしていた
である。工事現場の責任者は、事件のことを覚えていたが、
もう捜査本部も解散したのに調べているのかと問う。

ゴリは署員仲間に対して先ほどマカロニの夢を見たことを語る。
刺された時の顔が何故か見えたこと。相当痛かったであろう事
を語る中、マカロニの事を知らないジーパンは随分好かれて
いた人の様だと語る。

そんな中、山さんは署長の西山隆行に呼び出されて署長室に
いくとそこにはボスもいた。署長によると山さんは本庁の
捜査一課に栄転しそうだと語り、一課長から山さんの引き抜き
に関する打診が有ったのだという。ボスにも話を通した所、
快く了承したのだという。

ボスは山さんがあまり嬉しそうな顔をしていないことに気が付く。
屋上でボスは山さんとその辺の事情について語り合う。
その後奥さんの心臓の具合はどうかと尋ねると、幸い安定して
いる事を語る。ボスは山さんが結婚する際、妻側の両親から
激しい反対が有ったことを引き合いに出すと、奥さんは相当
苦労してきただろう事を告げ、本庁への栄転が体を楽にするもの
ではないかも知れないが、その知らせは奥さんへのプレゼント
となるものではないかと告げる。しかしまだ正式に決まった
訳ではない事を語る。

そんな中、町では若者を中心とした事件が多発していた。
「高校生が恐喝された事件」「ケンカが発生」「コインロッカー
に赤ちゃんが捨てられ死亡」「愚連隊が大立ち回りして一人が
刺された事」「駅のホームで高校生同士のケンカ」「オートバイ
で自損事故」・・・また若者が死んでいく・・・。

山さんとジーパンは恐喝事件での調査に向かった帰りに、
山さんだけは寄り道をするとして別行動を取る。
その報告を受けた七曲署員は"例のコースだろう"と語る。
山さんは日課としてタバコ屋でタバコを買いながらオバちゃん
と会話し、工事現場に行っては新しい情報がないかを尋ねて
回る。マカロニが死んだ場所がもうすぐ無くなるとして山さん
は焦りを感じていた。本庁勤務になれば、もう毎日は来られない
と呟く。

そんな中、ゴリの元に情報屋のロクから電話がなる。
バーで飲んでいたら三人組のチンピラが会話しているウチに
刑事殺しを語っているものがいるということだった。
すぐにゴリさんたちはみんなを連れてそのバーへと駆けつける
と、男・糸山譲は裏口から逃走する。
ゴリさんやジーパンは止めようとするチンピラの子分たちを
殴り飛ばす中、デンカとジーパンは糸山を追いかける。
デンカは容疑者に対して止まらなければ撃つとして投降を
呼びかけるが、それでも逃げようとした糸山に向けて威嚇
発砲する。なんとかそれで腰を抜かした糸山を重要参考人と
して連行する。

マスコミも刑事殺しの有力容疑者を確保したと大々的に報道
する中、七曲署ではゴリと山さんが糸山を取り調べする。
糸山は単純にチンピラたちに舐められないようにハッタリを
かます意味で殺したと話したが事実ではないと語る。
犯人にしたいのであれば証拠を見せろと語り、事件当時の彼は
まだ九州の博多に居た事を語る。長さんは裏取りを行うと、
確かに博多にいたことを確認する。東京の人間に舐められない
為に言ったであろう可能性が高いことを認める。現在の状況では
起訴も拘束も出来ないとして、釈放されることになる。彼が
所持しているナイフもまた何処にでもあるものだとして引き留め
て置くわけにも行かないと語る。
糸山は俺を殺そうとしたデカに一言お礼を言いたいと皮肉ると
ゴリさんは激怒して胸ぐらを掴むが山さんはそれを止める。
ここは暴力警察かと糸山は告げ、二人の舎弟が迎えにくる中
糸山は再び町の雑踏の中に消えていく。
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■52話で殺害されたマカロニの影

65話で解決させるというのは意外と短いスパンでの解決って
感じもする。マカロニの死に関して、誰かも分からない
行きずりの男に殺害されるということで終わらせるのかと思った。
映画「セーラー服と機関銃」での渡瀬さんがヤクザを辞めてから
全うになった際に、町中でのケンカを止めて刺されてしまって
亡くなる・・みたいな無情なものを感じていたけど、今回ようやく
解決することになった。

■マカロニの生きた証

マカロニが亡くなった現場にビルが建つということ。
マカロニの殺人事件の捜査本部が解散になること。
そしてマカロニの死に関して毎日のように気に掛けていた山さん
が本庁への栄転話が出ることによって、マカロニを気に掛ける
人がいなくなりつつある。
特にビルが建つという辺りは時代の流れというものを感じさせる
演出と切なさも有るし、また人が亡くなっても時間の流れは
決して止まらないかんじがなんとも言えないね。

■凄い勢いで若者たちの事件が発生

元々事件自体は起きていたのだけど、これ程言論を引用した形
で世論の事情を語る演出は珍しいね。
無責任な若者の行動に対して、その被害者の一人という形で
マカロニの存在を抽出した格好だった。

■仲間

ジーパンはマカロニを知らないけど、明らかにマカロニを意識
したような人物像での登場だ。
速見(マカロニ)という人を知らないけど随分愛されていた様だ
として、ジーパンは死んだ後にも悲しむ人がいることに羨ましさ
を感じていたけど、安易に死という言葉を発したことで、みんな
から非難されていた。
これ以上仲間が死ぬことには耐えられないとする切実なる訴え
が響いてくるものが有ったね。「死んじゃいかんのだ」と告げる
長さんが熱かった。


■どのようにして未解決事件を解決していくのか

当然マカロニが殺害された当時、警察官が殺害されたことで
相当な捜査機関が人数を割いて動いていたハズ。
それでも見つからなかった未解決事件をどのようにして新しい
証言を見つけ出していくのか。

バーでのチンピラの発言を耳にした情報屋からの告発によって
事件捜査が動き出すかと思ったけど、結果としてシロだった。

■デンカの銃の使用の是非

若者は傍若無人に振る舞う中、刑事たちへのマスコミの視線も
不条理に思える程に厳しいものがある。ただまぁ人がいるのに確か
に町中で発砲するというのは言語道断だけどね。

署長は冒頭では嬉しそうな顔をしていたのに、今度は一気にいつも
のお叱りモードに投入してしまった。

ただみんながマカロニの件で感情的になっている為にこんな
行動に出てしまっていることも否定出来ない事実が有るからね。

■どぶ川から発見された血の付いたシャツ

アイロンに結びつけられて川の中に沈められていた。

当時はDNA検査が確立していないので、血液型を調べるのが
精一杯のようで、マカロニが暴漢と争った際に掴んだ一本の髪の毛
と、Tシャツの血液型が一致するというだけで逮捕が同一人物
ということになってしまう。
掴んだ情報は身長160cmの小柄の男性だということ。
返り血を浴びていることを考えれば、目撃している人がいるはず
なのにその証言を無いという事を考える、現場近くに棲んでいる
人物が容疑者だということになる。
そしてアイロンにくくりつけられていたTシャツを考えると女性の
影があることに気が付く。

■松が根荘

このアパートに空き巣がよく入るということで疑いを持つ。
事件当時に空き巣が入り、木村夏子という人物を捜して当時の
ことを聞くとTシャツ、ジーパン、アイロンが盗まれていて、
部屋中が泥だらけになっていたという。
160cmという体型を考えると、犯人は誰から構わず家に押し入った
のではなく木村の知り合いということになり、当時木村が
付き合っていた井沢義男が疑われていく。
タバコの吸い殻から血液型が一致して逮捕状を請求する中で、
先日事情聴取した糸山譲とのケンカで彼が所持していたナイフ
によって井沢は亡くなる。被疑者死亡で結局マカロニの死の
真相は分からなくなってしまった。

「甘ったれるな若造!!」。山さんの言葉は染みいりますね。
ボスとの山さんの屋上での会話も良かったな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
西山隆行 …… 平田昭彦 (署長)

木村夏子 …… 津田京子 (空き巣に入られた松が根荘の女性)
糸山譲 …… 松山達也 (博多から出てきたチンピラ)
井沢義男 …… 水谷邦久 (23才、工場勤務、内気だが時にカッとなる)
タレコミ屋のロク …… 沢村いき雄 (ゴリさんのタレコミ屋)
煙草屋のおばさん …… 戸田春子 (山さんが巡回している道のタバコ屋)
松が根荘の主婦 …… 田畑ゆり (空き巣が入ったと)

池田生二、藤田漸、亀井三郎、山西道広、桜井克明 島もとき


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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