太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第81話 おやじバンザイ!

脚本/小川英、今村明男 監督/澤田幸弘
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犯人の小野を追いかける長さんとジーパン。
マンションの建築現場に踏み込むと小野を追い詰めたかに思わ
れた。しかし相手は銃で威嚇してくる。長さんは例えケンカの
弾みとはいえお前は人を一人殺しているのだとして、逃げて
どうなることでもないと語る。
小野は近くに有ったオイルを体全身に浴びると、それ以上近づく
と火を付けると脅す。その間に小野は二人の元から消え去る
のだった。長さんは足を負傷してしまう。

ボスに小野を逃がしたことを報告し謝罪する。
前回小野を逮捕した時にも真っ先に駆けつけたのは長さんだっ
たという。この前のケンカの時には傷害だけで済んだが今回は
相手が銃を持っていたことが災いし、相手の銃を奪って射殺
してしまったのである。長さんはアイツはカッとなると見境が
つかなくなる男だという。更生したと思った人が犯罪を犯すの
は辛いことだと山さんは心情を吐露する。ボスはこれを機会
に次の犠牲者を出してしまうかもしれないとして急いで足取り
を探す様告げる。

しかしそんな中七曲署に電話が鳴る。
相手は緑川署から電話してきたもので、自らを野崎と名乗って
いたことから電話に出たジーパンは長さんの妻だということを
知る。長さんに電話を替わると、息子の俊一が友達とケンカを
して怪我をさせてしまい補導されたのだという。担当の警察官
の平井によると、怪我自体は大したことがないが、とても頑固
なお子さんだと語る。コッチも手が離せない状況で、お手数を
かけたとして謝罪する。
ボスたちから息子は何歳になったのかと問われると中3だという。
それを聞いたジーパンはそろそろ父親とは断絶の時期だとからか
われる。

聞き込みして回る署員たち。
小野のアパートを調べるも駐車場に車はなく、妻の夏子も帰宅
している様子がなかった。デンカは妻の実家が伊豆・下田の
小さな漁師町に有るのでそこに潜伏している可能性があるという。
ボスは長さんに無線で連絡すると、今日は早くに仕事を終え、
明日ジーパンと共に小野の妻の実家の方で張り込みしてくれと
語る。徹夜明けの出張は仕事にならないので早く帰るよう命令
される。

長さんは帰宅する。
野崎家は妻・康江、長女・良子、長男・俊一だった。
俊一は受験勉強の為にカリカリ気味。良子に対してテレビの
音量を下げろと語る。長さんに対して妻は息子のことを少しは
考えてと言われるが、長さんは明日の朝5時30分には出張が
あるのだという。
俊一のことを呼んでケンカの理由を聞こうとするが、勉強中
だとして部屋から出てこようとしなかった。妻は反抗期だから
あまり強くはいわないでというが、長さんは甘やかすから駄目
になるのだとして部屋に乗り込んで行く。
何故ケンカをしたのか・・・やましいことがあるから言えない
のか?と問うが、男ならばケンカくらいしろと言ったのは父さん
だとして俊一は語る。しかし長さんはそれは正当な理由が有った
場合の話だと語る。俊一は刑事の息子の俺が警察沙汰になった
ことを怒っているのだろうとし、下手したら辞職に追い込まれて
恩給がぶっとぶからだという。それを聞いた長さんは激怒して
息子を殴り飛ばすと、妻が仲裁に入ってくる。俊一は出て行って
しまう。長さんはキッチンにいた娘と顔を合わすと、娘もまた
長さんの元から立ち去ってしまう。

下田に向かう長さんとジーパン。
到着するまでの間長さんは、家族4人で夕陽の中歩いて行った
時のことを思い浮かべていた。とても幸せで家族が一致団結
していたときのことだった。ジーパンは長さんが楽しそうにして
いるのを見て何か有ったのかと問うが、夕べ息子を殴ってしま
ったのだという。ジーパンの言っていたことにも一理あると
して、いつの間にかアイツも大人になっていて言う事が一人前
になってきたという。断絶状態であるというジーパンの言葉も
間違いないかもしれないという。俺は頭が固すぎると反省する。

タクシーに乗り小野の実家の民宿・宮川荘の近くに向かう。
南伊豆署の田中刑事と連絡を取り合い、この辺は民宿が多い
ので身を隠すのには良い場所なのだという。釣り客に紛れて
張り込みする中、妻が車を運転して、小野と接触するを待つの
だった。
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長さんとジーパンはケンカの弾みでケンカ相手を銃殺して
しまった男性・小野の追跡を行う。過去に一度長さんは
彼を傷害で逮捕した事が有るがその時は傷害で済み比較的
軽い刑で済んだ。そんな彼は結婚する際に長さんにも報告
に来るほど心を打ち解けたかに思われたが、彼はまたして
も傷害によって罪を重ね、そして今回は更に最悪なことに
殺人を犯して逃走を図る。
そんな彼を実家まで追跡する中で、長さんの息子の俊一は
反抗期まっただ中で、学校の友人とケンカして補導される
という状況だった。

長さんの家庭・親子関係を描いたエピソード。
これまでにも長さんの妻のことが描かれたことはあるような
気がするけど、息子と娘がいるというのは驚きだった。

自分が過去に改心させたと思っていた犯罪者の小野。
またしても犯罪を繰り返し、山さんが語る様に更生させたと
思っていたものが罪を犯すことの悲しさというのは計り
知れないものが有るのだろう。

自分が担当した犯罪者のその後のケアのことなど刑事が
担当すべきものがあるのかどうかの問題が有るにせよ、
一度関わった以上は最後まで面倒を見るという昔気質の
刑事の姿があり、彼の愛情の形が、例え今の時代にそぐわなく
ともビンタによる痛みというものに包含されているところ
が何とも言えないところである。

現在TBSが日曜日に放送している「おやじの背中」とテーマ
が被るけれど、一見すると家庭を犠牲にしている姿があるに
せよ、現場での活躍を目の辺りにすることで、父親のしている
ことの難儀さを通して、かっこうよさというものを実感させる
辺りはなかなかの物語だった。

ジーパンという刑事が長さんと息子の間に立って、二人
の橋渡しをするところなどもまた、このドラマに於ける
ファミリー感を表しているし、またまた言葉で伝えられない
不器用な昭和の父に対して、上手い形でファローの手をさしの
べている感じだったね。

それにしても長さん、最後のシーンでは目に熊を作って顔色
も悪くなり凄い状態だったぞ。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)
西山隆行 …… 平田昭彦 (署長)
柏木麻江 …… 有吉ひとみ (デンカの恋人)

小野ツメオ …… 松平健 (27歳、前科一犯)
野崎俊一 …… 石垣恵三郎 (中学三年生、息子)
野崎康江 …… 西朱実 (長さんの妻)
野崎良子 …… 井岡文世 (長さんの娘)
小野夏子 …… 右京千晶 (ツメオの妻、実家は南伊豆で民宿"宮川荘")

川野耕司、石井宏明、小川光明、小泉博孝、根本清和
佐山泰三



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