太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第85話 おやじに負けるな

脚本/田波靖男 監督/竹林進
--------------------------------------------------------
ジーパンは昼食中の久美に対して、トイレの紙が切れているの
で庶務課でもらってきて欲しいという。久美によると庶務課も
ケチになり、請求書を出しても出してくれない事が有るのだと
いう。ジーパンはそれでも出るものを待ってくれないぞと語る
と、弁当を食べる前にそんな話をしないでよと久美は激怒。
そもそもその弁当だって結局は・・・と言いかけたところで、
ゴリがやってきてその発言を止める。皆まで言うな・・と。

山さんはボスにアジアルートの覚醒剤が最近出回っていると
報告する。麻薬が下火になったかと思えば、今度は覚醒剤
なのかとしてため息を見せる。
そんな一係の元に、坂下町のひかりスーパーで倉庫で盗難が
有ったとの通報が有り、ジーパンに事件捜査を担当させる。
それ以外の署員は全て覚醒剤ルートの解明に回されることに
なる。

スーパーにいくと、トイレットペーパーや砂糖など、目玉と
なるものがごっそり盗まれたという。これだけ盗まれたとなる
と車で乗り付けたであろうことを店長は語る。しかし店長は
鍵をこじ開けた跡もなく、鍵はかかっている状態であること。
また倉庫内は決して荒らされた形跡もなく目的のものだけが
盗まれていた。
ジーパンは夜中に車で商品を運び出す事にでもなればそれなりの
音がして気が付くのではないかと問うが、ここは深夜営業もして
いて倉庫は駐車場に近いこともあるので多少の音では周りは
気にしない環境にある事を聞かされる。
そんな中ジーパンは箱の一つが破れていることに気が付く。
中を見てみるとマッチが入って居た。
店長によると4月にこのスーパーが3周年になるので客に配布する
為に注文しておいたものだという。

ジーパンはボスの元に戻ると、倉庫の盗難の件は狂言ではないか
と語る。買い占めたものを隠す為に行ったものではないかという。
このスーパーは噂では相当あくどいことをしているのだという。
しかしそうなると寧ろわざと倉庫を荒らしたり鍵を壊すのではない
かというボスの意見ももっともだった。
ボスは長さんに対して、この手の犯行はなかったかと尋ねる。
犯行現場に入り、何もなかったかのように元通りの状態に戻して
立ち去る犯行手口。長さんは山吉のオヤジの手口だろうとし、
通称:留守番小僧だと言われているものの犯行だという。
空き巣に入っても留守番がいたみたいにキチッとしていくので
そう名付けられたというものだった。ジーパンの父も何度が捕まえ
たことがあると初めてそのことを聞く。

ジーパンは山本吉三の家を訪ねる。
何者なのかと問われ、先に名乗るのが筋だろうと言われると
ジーパンは柴田だとして手帳を見せると、山吉はお前のオヤジの
ことを知っているという。ジーパンを見ていつの間にか大きくな
ったなと呟く。旦那が亡くなってからご無沙汰していたという
彼。そんな中ジーパンは夕べスーパーの倉庫が荒らされた件で
調べている事を告げ、手口が山吉と類似しているという。
アリバイを尋ねるとここにいた事を告げる。18年前に旦那に
捕まったのを機会に手を洗ったのだという。前科者なので
何か有ると疑われるのは仕方がないとして、家宅捜索でもなん
でもしてくれと言われる。そんな中トイレットペーパーも砂糖
もなく、トイレは水洗ではない為に新聞紙が紙として置かれて
いた。
旦那とはよく飲んだとして山吉はお茶と称して酒を出してくる。
オヤジさんは幾ら飲んでも捜査の目に狂いはなかったとし、
飲んでいて話した内容で捕まられたこともあるのだという。

ジーパンはオフィスに戻ると山吉がホンボシだとは思えない
ところが有るとして報告。しかしボスはジーパンが口元を隠し
ながら話しかけることに違和感を覚える。するとお茶の中に酒
を入れられて飲んでしまったことを告白する。被疑者の家で酒を
飲むヤツがいるかとしてボスは激怒するが、オヤジもそうだと
言われてつい同じことをしてしまったという。しかし長さんと
山さんはジーパンの父はそんなことは決してしなかったとして
出された水一杯も飲むことはなかったと聞かされる。

そんな中ゴリとデンスは覚醒剤の売人の二人を捕まえてくる。
サルガク町のドヤで売るのを捕まえたとのこと。そんなゴリは
ジーパンが口からいい匂いをさせているのを知って嫉妬すると、
ジーパンは今夜のゴリの張り込みにはスコッチを差し入れする
として取引するのだった。
--------------------------------------------------------

アジアルートの覚醒剤が市場に出回り始める中、近所のスーパー
から倉庫から大量にトイレットペーパーと砂糖が盗まれた
という通報を受け、ジーパンは倉庫の盗難を調べる。
盗まれたと被害者ぶっているが、このスーパーは悪評が高く、
実際には狂言ではないのかとジーパンは疑う。その根拠として
強盗が入ったとしているが荒らされた形跡がないこと。
ボスと長さんは過去に侵入した形跡を一切残さずに出て行く犯行
手口の男・山吉のオヤジがいたことを告げ捜査を行わせていく。

昔の刑事ドラマによくある感じの、逮捕した刑事に恩義を感じた
前科者がその恩に報いている為に、事件解決に協力していくという
もの。

ジーパンの父親にお世話になったという山吉のオヤジが息子の
ジーパンの為に手を貸すというのだから、どれだけ人情深い頃の
日本があったのかという話ですね。

刑事と泥棒の関係が家族ぐるみにまで及んでいるのか、ジーパン
の母・たきさんは、山吉のことを知っているようだった。

水洗ではないトイレがあるという時代性はともかく、昔は新聞紙
で用を足した後拭いていたんだね。
その新聞紙がある意味視聴者としてもヒントとして繋がり、
ジーパンの家に届いた新聞の切り抜き文字を使った犯罪取引き現場
を知らせる密告の手紙が事件の打開点として使われていく。

しかしまぁ麻薬の受け渡しはあからさまだし、尾行はそのまんま
刑事が尾行してますよと言っているような状況の中で、貿易会社
の社長と戸川組の幹部が接触している姿は安っぽく感じられた。

トイレットペーパーと砂糖が狙われるなんて・・と思ったけど、
日本はオイルショックというものを70年代に経験しているのね。

自らの身を犠牲にして成長を促すというのも悪くは無いけど、
ちょっと格好良すぎるというか、犯罪者には見えない犯罪者だ
ったね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
早見淳 …… 萩原健一 (マカロニ)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)

永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)
柴田たき …… 菅井きん (ジーパンの母、夫は殉職)

山本吉三 …… 有島一郎 (山吉のオヤジ、"留守電小僧")
田中 …… 森塚敏 (中光貿易)
中川 …… 外山高士 (戸川組幹部)

芹川洋、黒田清子、渡辺ふさ子、山本三郎
加藤寿、大宮幸悦、新井一夫、浅井哲男



inserted by FC2 system