太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第95話 愛のシルクロード

脚本/長野洋 監督/木下亮
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線路脇の工事現場で遺体が発見され、凶器と思われる血の付い
たナイフが現場に落ちていた。聞き込みによるとチンピラ同士
のケンカだとしてジーパンは山村に告げる。ゴリは定期入れと
学生証が現場に落ちていたとして調べると、持ち主は伊藤啓一
(21歳)、昭南大学・文学部・史学科の3年生だった。
被害者は中村マサオ、通称マーボーと呼ばれる新宿区矢追町
界隈を根城にしている強請たかりの常習犯・愚連隊だった。
中村は学生街に多く屯ろしていたことも有り、学生とは面識も
多いハズで、聞き込みをすれば伊藤との繋がりが見つかるかも
知れないとして捜査していく。

そんな中シンコは、伊藤の免許証は2年前に取得されたもので
凶器のナイフの指紋と免許証の指紋を鑑識が照合した結果、
一致したものだと判明したという。
第一容疑者を伊藤として本格的に捜査をしていく。
伊藤の本籍地は青森県で、彼の親は実母の再婚相手・山森ケイゾウ。
東京での彼の住所は新宿区矢追町3丁目のタイラ荘だった。

ゴリとジーパンは部屋を調べるが帰宅した形跡はなかった。
高飛びしてしまったのではないかとするが、室内を見る限り
高飛びする程の金を持ってはいなさそうだという。
山村とシンコもまたアパートへとやってくる。
山村によると今の所伊藤と被害者のマーボーの間に繋がりは見つか
らないという。聞き込みした結果、伊藤はとてもマジメでチンピラ
と付き合うような人物ではないとのことだった。しかし伊藤は
矢追町のスナックでアルバイトしていたことも有るので、その
流れから顔くらいは互いに知り合う関係だったかも知れないことを
語る。
シンコは室内の破れたポスターに目をやると、きちんと張り直して
見る。するとそこには中央アジア・シルクロードの一部の地形
が撮影されたものだと分かる。関連図書も沢山有るのでシルクロード
に興味が有るのだろうと。そんな本の中からは一枚の女性の写真
が出てくる。

写真の女性は及川弥生という昭南大学の学生だと判明する。
ジーパンとシンコは学校から出てくる彼女と接触して、喫茶店
で伊藤のことを尋ねる。彼とは一年前まで付き合っていたが
昨年の5月に別れたとのこと。何故別れたのかと問うジーパンに
対してそんなことも答えなければならないのかと言われる。
彼はまだ君の事を愛していたようだとするが、弥生は逆に全く
関心がないという感じで私には関係がないことだという。
席を立って出て行こうとする彼女にシンコは伊藤が何をしたのか
気にならないのか?と問う。弥生はオウム返しのように何をしたの
かと問うと「殺人だ」と語る。しかしそれでも弥生は関係が
ないとして出て行ってしまう。

ジーパンはシンコに対して幾ら別れたからと言っても気にならない
ものなのかと問うと、シンコはもしかしたら彼が殺人を犯した
ことを知っていたのかも知れないと語る。
ボスにもそのことを告げると、ボスもシンコの意見に賛同する。
普通の人間ならば顔見知り程度の相手でも殺人を犯したと知れば
それなりにショックを受けるはずで、ましてやかつての恋人が
殺人を犯したと聞いて動揺しない訳がないという。
ゴリさんはカツ丼を食べ終わる中、ボスはゴリに対してその女性
が何処かで伊藤と連絡を取っている可能性が有るのでジーパン
と共に張り込みするよう告げる。
山村にはマーボーの側面からの捜査を、シンコは伊藤の交友関係
を、デンカと長さんは伊藤が実家に帰省していないか青森に
いくことになる。

ゴリとジーパンは弥生のアパートの向かいに有る建設途中のア
パートの一室から見張ることになる。
ゴリが学校からずっと弥生を尾行してアパートのジーパンと
合流する。彼女はマジメに講義を受けた後、女友達とお茶して
本屋に寄り、スーパーで買い物をしてきただけだという。
帰宅してすぐに彼女は洗濯物を取り込む姿を見てゴリは女子高生
ならばもっと派手に遊ぶかと思ったという。ジーパンは週刊誌
の読み過ぎだとしてゴリに告げる。今夜は何を食べようか
というゴリに対してたまにはウナギでもどうか?とジーパン。
しかし結局注文したのはラーメンだった。
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愚連隊の一人、中村マサオこと通称マーボーが刺殺されて
発見される。現場には伊藤啓一という大学生の身分証などが
落ちていたことから彼の消息を追うと同時に被害者の中村
との繋がりを調べていく。伊藤は大学生で話を聞くととても
マジメな男で、シルクロードを車で旅する夢を持っていたと
される。そんな彼と一年前まで付き合っていたという女性・
及川弥生のことをマークしていくが・・・

今回は相当根気の要った捜査だったね。
ボス自身が久美の疑問に答えていたことが全てだったのかも知れない。

「捜査は100の内、99は無駄なこと。その無駄が最後の一つを残す。
それが捜査ってものだ」と。

ボスが捜査日数をカレンダーに印を付けていたけど、
1974年5月3日から9日に及んでいた。ゴールデンウィークって当時
も有ったんでしたっけ?

シンコさんが久しぶりに登場した気がする。
このドラマで関根恵子さんはメインクレジットされているけど、
全くでない日が多くなってきた。
当時の事情は分からないけどやっぱり人気が有ったのだろうな。
毎回出演するごとにシンコさんも久美ちゃんも可愛くなっている
光景が有るし。
見ていると今の女子高生ブームとは違い、当時は女子学生ブームだっ
たという辺りの事情もなんとなく察することが出来るものが有る。

なんと今回の犯人役は山西道広さんだった。
正直70年代、80年代の日本の俳優さんと言われてもピンと来ない
世代なのでドラマを見ていても、分からない人が多いのだけど、
「探偵物語」「あぶない刑事」を見ているのでよく知っている顔
だった。

この時代の男女の価値感はまだ、一つの愛に対する固執した感じ
の中に昭和感を漂わせている気がするし、犯行を冒す流れの中に
地方出身者ということも加味されている。

大学生を思い描く夢がチンピラによって崩されるという辺りの
切なさを感じるものが有ったな。

ジーパンが潜入・密着捜査とばかりに容疑者の関係者とデートする
シーンを演出してシンコさんの気持ちというのを確かめたような
ところに繋がって居る。弥生によって傷口をハンカチで手当され
ていたけど、最後はシンコが変わって手当するところなど、献身さ
をもって女性同士の静かな戦いが行われていた感じ。
毎回思うけど、デートシーンに於ける雑多な町中でのカットって
どうやって撮影しているんですかね。当時のこのドラマの事情から
すると恐らく相当関係者がいるだけでもみくちゃにされると思う
のだけど・・。

ゴリさんがカツ丼を食べているシーンとか絵になるな。



藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

及川弥生 …… 杉田景子 (昭南大学)
伊藤啓一 …… 山西道広 (昭南大学・文学部・史学科の3年生)

青木敏夫、森本三郎、尾崎八重、佐藤勝貫
荒井一雄、小坂育男



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