太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html




第99話 金で買えないものがある

脚本/田波靖男 監督/野村孝
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ジーパンは容疑者を追っている最中、歩道橋で老人・及川とみ
と接触してしまう。とみが手にしていたハンドバッグからは
銀行から下ろしたばかりの金・100万円が入っていて、その金
が歩道橋の上から下へとばらまかれる格好となってしまう。
ジーパンは容疑者追走中だった為に、とみの無事を確認すると
再び容疑者を追っていきようやく逮捕する。
歩道橋の下では我先に・・と、落下する金を取っていく姿が
有った。

七曲署・一係のボスの元にとみは被害届けを出しに来る。
100万円を落としてそれを拾われネコババされてしまったこと。
どうしてそんな大金を下ろしたのかと問うが、理由を話そうと
はしなかった。結局老人が回収出来た金は14万円だけだという。
ボスはとみを突き飛ばしたという男性の情報を聞き出すと、
化け物みたいな大男で、髪の毛がボーボーだったという。

そんな中一係に殺人が発生したとの知らせを受ける。
被害者は建築請負業者の石山夫婦。
みんなが出払う中、とみはボスに対して私の件はどうなるのかと
問う。
そんな折りジーパンがチンピラを捕まえてきたとして署に戻って
くると、とみは自分を突き飛ばしたのはこの男だと指さす。
ボスはジーパンに対して、歩道橋でこの人がぶつかったと証言して
いるがその事実が有ったのかと尋ねると、確かに逃走中の容疑者
を追っている時にぶつかったことを認める。
「善良な市民を守る警察が逆に害を与えるとは何事だ」とし、
ボスはジーパンに老人から言い分を聞いて金を取り戻してこいと
指示する。ボスはとみに対して見かけはああだけど仕事は熱心だ
と語る。

ジーパンはとみを連れて現場に行こうと告げる。話はそこで聞く
とのことだった。
久美はボスに対して私がお婆ちゃんの立場ならば100万円も失い
自殺したくもなると語る。それではジーパンの立場もないという
ボスは、援護射撃の準備として新聞社に電話をする。

殺害の有った北名建設へ。
山村と長さんは、現場に落ちているバッドが凶器であることを
告げ、遺体の状態から相当滅多打ちにしている事を告げる。
被害者の時計が壊れているので恐らく襲われた正確な時間であろう
ことは容易に推測が立つ。時計の針は1時10分で止まっていた。
白昼堂々大胆な犯行だが、動機は一体何なのか。ゴリは金庫が
破られている事を告げると、デンカは強盗殺人なのか?と問う。
長さんは強盗ならば一撃を加えて逃げれば良いだけのことだとし、
金庫を開けるよりも殺しに手間をかけていることからも、
強盗に見せかけた計画的殺人の可能性も示唆するものが有った。
むごい殺され方をしているところを見れば、恨みのある人物だ
ろうとのこと。

ジーパンととみは現場に着く。
当時のことでどんなことでも思い出して欲しいと告げるジーパン。
すると最初に拾ったのは子供であり母親に連れられていたという。
子供はマスクをしていたとのこと。ジーパンはこの時期に風邪を
引くなど珍しいことを告げ、近くに有る石川病院へと足を運ぶと
該当する親子が判明する。
その人物だと思われる女性のアパートに行き、今日の一時頃、
新宿で病院の帰りに歩道橋の下を歩いていなかったかを問う。
そこで歩道橋の上から巻かれた金を拾わなかったかと問うと彼女
はそれを認めようとはしなかった。しかし少年が帰宅するのを
見るととみはその少年に金を拾わなかったのかを尋ねると、
拾った事を認める。するとすぐに母親もそれを認めて謝罪し
返金する。ジーパンは子供を誘導尋問しているようで違和感が
ある事を告げると、とみは泥棒の味方をするのか?と問う。

次はソバ屋の出前持ちの人だったという。
ジーパンは近くのソバ屋にいくまでの間、とみからどうして
100万円を引き出したのかと問う。その金の必要性を訴えれば
戻してくれる人も居るかも知れない事を語る。するととみは
息子夫婦に渡す為の金だったことを語り始めるのだった。
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逃走中の容疑者を追っていたジーパンは歩道橋ですれ違う
老人・とみと接触したことで彼女が所持していたハンドバッグ
の中から100万円が飛び出してしまう。下に歩いていたものたち
はその金を持ち去ってしまい手持ちとして残ったのは14万円
だけ。なんとかジーパンはとみの情報を元にネコババしたもの
たちから金を返してもらう為に調べていく。

流石に無理が有るだろうみたいな捜査の連続だった。
拾っている人を特定して金を回収していくという途方もない
捜査が行われようとしている。
ただ100万円に込められた息子夫婦への複雑な思いを通して、
興味深い流れが存在していたし、その金を使ってアリバイ
工作に使うものが出たりして、色々とドラマが絡み合って
いるところは面白く出来ていた。

世知辛い世の中で、息子は母親を捨てようとしていると
考えている母・さち。しかし捜査をしているウチに赤の他人
のジーパンが親身になってくれたり、また新聞に掲載された
ことで善意の金が集まるところなど、この世の中も捨てたもの
ではないというところに行き着くところはドラマとしても
ほっこりさせる。
ただこんなことに紙面を割けるものなのかというところも
有るし、都合良くマスコミを利用してしまった感じがして
同情するほどの事情が有ったのかどうかは謎だった。

つい先日香港で現金の詰まった輸送車から7億円の金が
路上にばらまかれたことで、2億円が持ち去られてしまった
とするニュースが飛び込んできたけど、日本でもばらまか
れてしまうと同様のことが起きるのだろうか。今の時代
ならば携帯で撮影されている可能性が有り、持ち去れば犯罪
だと立証されやすいので抑止力として働きそうだけど。

金を使ってアリバイを買うというアイディアは良かったけど、
あの場所をトラックが通ったかどうか立証するものはないし、
一万円の誤差くらいはどうにでも言い訳が立ちそうで
殺人事件の検挙するには少々証拠としては不十分過ぎたかも。

取り調べ室で息子夫婦の気持ちを聞かせるという辺りの展開は
ちょっと邪道って感じにも思えたけど、気の強さと立場の弱さ
の因果関係が絡み合ってしまうところがなんとも言えないね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

及川とみ …… 一の宮あつ子 (姑)

桜田千枝子、うたた賢、田中力、田川恒夫
九重ひろ子、天理淳、安田泰三、上沢知子



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