太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第101話 愛の殺意

脚本/鎌田敏夫 監督/竹林進
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デンカは買い物袋を抱える女性・今井紀子と歩道橋で接触し、
紙袋に入った夏みかんは歩道橋の階段から落ちてしまう。
それを全て抱えて彼女の元に運ぶが、紙袋が破けていた為に
彼女のマンションまで運ぶことを告げる。
玄関までみかんを運びみかんを置こうとするが、そこでも
みかんを落としてしまう。入り口には赤いハイヒールの靴。
デンカは室内から水が出ている音が聞こえる事を告げると、
紀子は風呂場に行き水を止める。浴槽には女性(西村ミヤ子)の
遺体が浮かんでいた。しかし紀子は全く気にする様子もなく
蛇口の水を止めると、遺体の浮かぶ浴槽に手ぬぐいを浸し、
デンカに手渡すと手を拭いてくれと語る。みかんを運んでくれた
ことに感謝する。

その日の夜は雨が降っていた。
紀子は車を走らせるとトランクの中にミヤ子の遺体を積み、
多摩川まで運ぶと遺体を引きずり河川敷に放置する。

今井経理事務所。
紀子の兄・今井は遅くまで一人で働いていた。
紀子は兄の元に何度も電話したが出ないことに不満を述べ、
ミヤ子さんはやっぱり言えに来なかった事を語る。ミヤ子が
来るというから早退して待っていたのに・・という紀子。
兄に対して仕事が終わるのであれば待っていると語る。
その間紀子は浴槽にミヤ子の髪の毛を仕込んでいく。

多摩川の河川敷で遺体が発見される。
被害者は西村ミヤ子(23歳)、湘南大学の4年生で、西村ケミカル
という2部上場企業の社長の娘だというゴリ。被害者から検出
された水は川の水ではなく水道水のもので、風呂で溺死させられ
た後に捨てられた可能性が高いとの鑑識の見立てだという。

山村とジーパンは今井の事務所にいくと、ミヤ子が殺害された
ことを語り、昨日のアリバイを尋ねる。24時までずっとここで
仕事をしていたという今井。ジーパンは山村が今井から話を聞い
て居る間にトイレを借りるという名目で浴槽を調べ、女性の
髪の毛が落ちているのを発見し、証拠品として押収する。
今井は一度食事に出た際に事務所を離れたがそれ以外は部屋に
いたと主張する。しかし山村はジーパンの合図をもって、今井
に対して任意で署で話が聞きたいと語る。

ゴリとデンカは紀子の職場を尋ねると、デンカは紀子が昨日の
みかんの女性だということを知る。君の兄のことで聞きたい事が
あるとし、アリバイについて尋ねると、夕べは兄が働いている
個人事務所にいて一緒に帰宅したことを語る。今井の恋人が
殺害されたことを語り、ミヤ子が最も親しい人物は君の兄である
事を語る。しかし紀子は兄が人を殺せるような人物ではないと
主張する。

取り調べ室で長さんと山村で今井の話を聞く。
恋人のミヤ子は実家を出てウチのマンションに来てくれること
になっていたという。山村はミヤ子のことよりも西村ケミカル
に興味が有ったのではないかと問い詰めると、当初はその目的で
近づいた事を認め、その件ではミヤ子にも正直に話したのだと
いう。その後恋に落ちて真剣に付き合っていたということ。
昨日のミヤ子は5時過ぎに僕の事務所を出て、僕の妹のマンション
に居ててもらうことになっていたというが、長さんはそんな日
に深夜まで仕事をしているものかと問う。君の妹は事務所に何度も
電話したと言っているが電話が繋がらなかったと語っていること
を告げる。またミヤ子は事務所の風呂に入ったかと尋ねると、
それを否定する今井。ミヤ子の髪の毛が事務所の排水溝から出て
きたと告げると、それは嘘だとして、警察が罠を仕掛けようと
していると反論する。
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デンカは歩道橋でぶつかった女性・紀子に関して、彼女が
手にしていた夏みかんが道端に散乱してしまった為に、デンカ
は責任を感じて家までそれを運ぶ。その際は事件が発生して
いなかったことも有り深く言及されることもなかったが、
翌日多摩川の河川敷で発見された遺体の関係者として紀子の
兄の今井の恋人だと知り、状況を見極めていく。
話を聞くと二人は幼少期に両親と4人の子の家庭で育っていた
が、父親の目が見えなくなると工場を退職させられ、貧乏生活
を強いられたことによって一家心中を図っていたことが分かる。
しかし6人の家庭のウチ、紀子と兄の今井だけが生き残っていた
ことが分かる。そんな今井と恋愛関係に有った女性。西村ミヤ子
の死に当日の足跡を追うと共に彼らの家から証拠品を採取していく。

デンカは前回腹部を撃たれて殺されかけたのに二話連続で重傷
をおわされるとか、あり得ない度が高い流れがある。
デンカは厄年なのか?
デンカは女運が悪いとか、引きの弱さがあるのか。

シンコさんは今回まるで登場せず。

壮絶な人生を送ってきた兄と妹。
とても苦労してきたであろうことも分かるものが有るし、
家族が一家心中を図る中で自分達だけが生きてしまったことに
対する罪悪感なり、兄に対する固執した気持ちというものも
生まれてしまう環境は整っている。

正直兄嫁を殺したとして、あのアパートから運び出す際に
常に出入り口にいた管理人に見つかることなく女性が一人
で運べるのかという感じにも思えるし、あれだけ雨が降っている
と証拠は流されてしまうような感じ。
正直デンカに罪を負わせるために冒頭での手ぬぐいを渡したのか
なと思ったけど、その流れはとくには重要ではなかった。

デンカは紀子に特別に肩入れすることになり、名刺を手渡していた。
久美ちゃんはデンカが紀子に対して肩入れしていることに
鋭い突っ込みを入れていたけど、女性ならではの視線で、
ファッションはセンスがあるのに彼女のバッグの荷物はぐちゃぐちゃ
だったと語るものが有った。

兄が妹の犯行だと分かる際の流れがもう少し何かを象徴していれば
分かりやすかったのだけどね。自供した際に、以前にも山村が突然
犯行を自供した容疑者の態度に対して引っかかるということを
口にしていたけど、この辺の見極めは流石かな。過去にも突然に犯行を
否定していたものが理由もなく自白することで、山村が嘘を見極めた
エピソードが有った。

自分だけの兄にして置きたいとする中で、牢獄に入ってしまえば
そう簡単には会えないわけだし、ちょっぴり不便そうだな。

紀子の猟奇さ加減が見られたのは、向かいのビルに住んでいて
紀子を脅しにかける男さえも操ろうとしていること。
そしてデンカと出かける際に、誘拐されたように装う中、
車の中では常軌を逸したような笑い方をしているところがなんとも
不気味だった。

次々と不都合な人物を殺している辺り、相当な心の傷から精神に
異常を来しており、ボスは亡くなった方が良かったことを口に
するも、デンカが最後にそれを否定している辺りもなんとも言えな
かったね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

今井紀子 …… 酒井和歌子 (妹)
今井 …… 村井国夫 (兄)

田利之、佐々木敬子、五月晴子



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