太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第105話 この仕事が好きだから

脚本/長野洋 監督/竹林進
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午後1時30分頃、新宿区矢追町の田川銃砲店に若い男が強盗に
入り、店主の沢村カズオを人質に取り立て籠もりをして2時間
が経過していた。現在もにらみ合いが続いている状況だとして
マスコミはテレビやラジオで事件を報道する。
中から男が出てきて無差別に発砲をしまくっていた。銃砲店
に立て籠もっているだけに銃弾だけは唸るほどあるというデンカ。
ジーパンに対して今は焦るなと告げ、今突っ込めば一発で
アウトだと語る。店の窓が開いてはいるが、そこから逃げる
には相当の勇気が要るだろうと山村は語る。
そんな中、長さんは署に残っているボスに対して現状を報告
する。するとボスの方から犯人の身元が割れたという。川原
ゲン、夕べ神奈川の少年院から脱走した男で未成年だという。
状況はどうかと問われ長さんは興奮状態がエスカレートして
いる状況でかなり危ない事を語る。人質は無事だというが・・
ボスはゴリに対して、出来る事ならば殺したくはないがその
位置から犯人に対して急所をハズして発砲出来るかと問う。
ゴリはやってみるとしてライフル銃を構えて、犯人に照準を
合わせる。
しかしそんな状況の中人質が隙をついて逃げた為に、犯人も
一瞬虚を突かれる。弾を入れ替えしている時に突然近くで
様子を伺っていた警察官の一人が犯人に飛びかかり銃を奪って
なんとか制圧するのだった。
デンカはその警察官を見て森山タイチだと分かる。デンカの
後輩だった。

新聞紙面には「白昼の逮捕劇、若い警察官、捨て身の突進か?」
として派手に書かれていた。久美はその捕り物劇を是非見たか
ったとし格好良かったのでしょというと、ジーパンは流石に
あの行動には参ったと語る。ゴリはアイツがデンカの後輩とはね
として、勇気ある行動に驚くが、デンカ自身は馬鹿なヤツだとし
あんなムチャをしたら命が幾らあっても足りないという。

デンカは森山家を尋ねると、そこには姉のあや子の姿が有った。
デンカは久しぶりだとしてあや子とは面識が有った。
今日は弟が迷惑をかけたとしてデンカに謝罪する。いつまで
立っても向こう見ずなところがあるというが、デンカは今日は
彼のお手柄だと語る。弟は一度は帰宅したが、再度出かけて
しまったのだという。デンカに対して家にあがってくれとして
強引に上がらせるあや子。
弟はデートに行ったのだという。相手は保険会社の女性・加藤
チアキで、民間会社と警察官の合同ピクニックをするイベント
の時に知り遭ったみたいだと語る。
あや子はデンカに対して弟は本当に刑事になれるのかと問う。
あの子は島さんに憧れて一日も早く刑事になりたいと言っている
のだという。あや子さんは反対なのか?と問うと、それを否定
し、弟の望みなので叶えてあげたいが、今日のような事件がある
とやはり心配だという。女性は安全な道ばかりを選ぶのでダメ
よねと語る。

その頃喫茶店でチアキのくるのを待っていた森山。
なかなか来ないために森山家に電話すると、母親が電話口に出て
娘は具合が悪いとして家で休んでいるのだという。電話に出して
くれないかとし、遭う約束をしているのだという。しかし母は
既にチアキは休んでいるのでとして電話を切ってしまう。
母はチアキに対して警察なんて危ない仕事の人とは付き合わない
様語る。森山自身何故なんだと告げ、母が反対しているのだろう
と考えるのだった。
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銃砲店に少年院を脱走した川原が店主の沢村を人質にして
立て籠もる事件が発生する。相手は錯乱状態で取り囲む
警察官に向けて狂ったように発砲してくる。このままだと
危険だとして、ボスとしては急所を逸らして犯人に銃弾を喰らわし
その隙に人質を助けて犯人を検挙しようと考えていた。
しかし計画の直前に人質が犯人の隙をついて逃げた為に、
一人警察官・森山が犯人めがけて突進する。危険な行動だった
が、自らの命を向こう見ずに突っ込んだことが功を奏して、
上手い事犯人を検挙し、結果として誰も傷つけずに捕らえること
に成功する。森山の姿を見ると、デンカの後輩であることを知る
が、デンカは周りの評価とは別に無謀な行動だとして非難する。
デンカは森山が警察官になった頃からの知り合いで、森山の
姉・あや子とも顔なじみだった。久しぶりに森山家を尋ねて
森山と話をしようとするが、デンカの前に現れたのはあや子
だった。

時代性を反映しているのかどうかは分からないけど、結構銃を
使った犯行とか銃絡みの内容が多くなってきたね。
前回のエピソードがジーパンの向こう見ずなところが有り、
事件の当事者となったことにより刑事としての自制心を失う
のではないかとする内容だっただけに、今回は少し形を変えて
感情的なオン・オフの使い方を通して、デンカのその刑事として
の信条なり、姿勢というものを描いたものだった。

不思議な繋がりだけど、今回は警察官側と犯人側の両方の立場から
不測の事態を発生させて、人は誰でも予想外のことが起きると
パニクって自制心を失ってしまうところが描かれた。
そんな状況に対して、刑事としての姿勢はより冷静なものを求めら
れるけれども、それが出来るか出来ないかの心の強さが、刑事と
しての資質なり資格というところに繋がって居る感じ。

若さ故に無鉄砲なところは冒頭での未成年の脱走した少年や
警察官の森山共に一緒。少し広義に捉えればジーパンもこれに
該当する。若さは無敵だと思っている人たちが、一度の功績での
脚光を浴びることで調子に乗ってしまうところがあるのだろうし、
功績を焦るあまりに出過ぎた行動を取ってしまうところに繋がる
のだろう。

前回と同様に事件関係者であるデンカはボスから捜査をハズされ
そうになるも、事件解決後に自分のことを評価して欲しいとして
懇願し捜査を継続するデンカ。

デンカはモテるからこそデンカというアダ名がついているにも
関わらずなかなか相手が見つからないのは、ゴリやボス、ジーパン
らにも精通するところが有るね。そんなデンカに取って森山の姉
はちょっぴり良い感じの関係になるも、残念ながら今回の流れを
通しても結ばれるような展開には至らなかった。

恋愛に関して、この時代の風潮なのか、異性と付き合うことに
対する考え方も反映されていて、気軽に付き合うけれども結婚とは
また別だというものたちが多くなっている様だ。森山として見れば
結婚を意識しているだけに、その意識の違いがまたストーカーの
ような状態を作ってしまった。

ドラマでは上述した警察官に対する恋愛事情と共に、一つの強盗
事件に居合わせたことで、天国にも地獄にもなる森山の運命が
描かれた感じ。
ただ現在の倫理からすれば十分に森山の行動は正当防衛にも写る。
オモチャの拳銃だという見極めに関しては、正直緊迫した状況では
難しいので、先に発砲したことで咎められないものがあると思う。
現場で証言していた男は、「明らかにオモチャの銃だった」として
いたけど、なんだか白々しい証言での登場だったな。

「自分の夫がいつ殺されるか分からない。そんな生活は耐える自信
がない。」ということで、森山と付き合っていたチアキは語っていた
けど、現実には事件捜査上で殺害される警察官の数というのは
年間で見ても20人前後だそうだ。まぁそれでも怪我をする人は
多そうだし、逮捕したことで逆恨みする人はいるかも知れないので
難儀な仕事ということにはなりそうだけどね。

そういえば久美ちゃんの髪型が変わっていた。
ロングだった頃の久美ちゃんの方が個人的には好きだったな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

森山あや子 …… 松木路子 (姉、叔父は仙台)
森山タイチ …… 池田秀一 (派出所勤務の巡査、デンカの後輩)

八代るみ子、槙ひろ子、石川敏、
鳴海吾郎、兼松隆、関虎実



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