太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第107話 光のなかを歩め

脚本/柏倉 敏之 監督/木下亮
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デンカは夜中車で走行していると突然フラフラっと車道に出て
きた男をはねてしまう。
翌日の新聞の見出しには「刑事、歩行者をはねる。信号無視か?」
と書かれ、マスコミは出社するデンカにマイクを向ける。
デンカは交通課に行って来た事を語る。
被害者側の大坪修治はお前が信号無視で走って来たと証言して
いるというが、デンカは青信号を確認した事を語る。
山村はそのことを証明出来るかと問う。また制限速度は守ってい
たかと問われ、守っていたし、そもそもスレスレのところで
大坪とは当たってもいないハズだと言う。どうしてそんな嘘を
付くのか・・。みんなもデンカの話を聞いて怪しいと思い始める。
いずれにしても実証出来なければダメだと長さんは語る。
デンカは大坪が運ばれた小宮病院に行って話を聞くという。
ボスは他の捜査官たちには目撃者を捜してデンカの言葉の裏付け
を取る様命じる。

いざ病院にいくが看護師によるとかすり傷で脳にも問題は無い
ので退院したという。
デンカは彼の住所・アパートを尋ねていく。
すると中からは女性・大坪由紀が出てくる。由紀はデンカに
対して兄・修治の友達なのかと問うと、もうすぐ帰宅するハズ
だという。私は目が悪いので上がって待っていて欲しいと語る。
デンカは断る事が出来ずアパートの部屋に上がって待つことに。
警察だということも名乗ることは出来なかった。
彼女は目が見えなくても何でも出来るとし、コーヒーを淹れる
と語る。コーヒー、砂糖、カップ、スプーンなど位置を覚えて
おり、手際よく入れてくれる。兄さんとは二人きりなのかと
問うと両親がもう居ないので二人だという。兄とは急ぎの用事
なのか?と問われ、会社に電話しましょうかと言われる。何処に
務めているのかと問うと、マルナン産業だとし、兄は会社では
大事にされているのだという。デンカは部屋にギターがあるの
を見て誰のものかを問うと、由紀のもので、近くのスナックで
弾き語りをしているのだという。私だってちゃんと働けるのだ
という。
デンカは彼女に2杯の砂糖を入れてもらうが、カップにはきちん
と入らずに、こぼすのだった。デンカは気を使って静かに
片付けようとするが、彼女にバレてしまう。由紀は目が悪くな
ったのは高校の時であり授業が足りないと語る。しかし兄が
手術費を会社から借りてきてくれるので手術をして目が見える
ようになるのだと語る。何が一番最初に見たいと思うかと問う
と、兄の顔を見たいこと。私の知っている兄の顔は20歳のままだ
という。他にも見たいものは沢山あり、日の光、バラの花、
私のカナリア、島さんの顔もみたいという。優しい顔をしている
気がすると。

捜査官たちは聞き込みして回る。長さんは鑑識から話を聞いてくる
と、デンカの車には大坪修治とぶつかったとする痕跡はなかった
と報告する。ゴリは目撃者を発見し、当時青信号だったことを
確認したという。久美は島が人をはねるわけがないと語る。
記録によると大坪は2年前にも交通事故に遭っていて、当時の
ドライバーとも信号を巡り水掛け論を繰り返した後、示談金が
払われている事を知る。大坪は現在パチンコ屋に勤務している
とのことだった。
デンカが署に戻ってくるとゴリは嬉しそうに彼に近づき、デンカ
の無実が証明されたことを話す。大坪は当たり屋だったこと。
するとデンカは彼の妹は目が不自由だと語り、事故ならば保険金が
下りると言い出す。もしかしたらオレが信号を見間違えたのか
も知れないと。ボスは本気で言っているのかと問うと、それなら
ば刑事をやめなければならなくなるぞというボス。それにそんな
金で手術しても見えるのは当たり屋という犯人の顔であり、
彼女がそんなものを見たいと思うかと問う。これは犯罪であり
こんなことが通れば大坪はまた犯罪を繰り返し、換えって破滅
させるのだと語る。
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デンカが夜道を車で走行中に男性が車道に出てきてぶつかって
くる。男性・大坪修治は運転手が信号を無視したものだとして
訴えてくる。新聞も警察官による不祥事だとして捉える中、
デンカが無実なことを証明する為に署内では目撃者捜しと同時
に被害者だとされる大坪のことを調べていく。すると過去にも
同様の事故を起こして相手から示談金を得ている人物だと分かる。
しかしその金の目的は目の見えない妹・由紀に対する手術費用の
捻出の為だった。

この手のエピソードは過去にも描かれた感じがする。
犯罪の種、犯罪者と入り口に立っている人物を抑制せずに、
放置していると大変な事態を起こしてしまうということを描いた
ものだった。

なんと言っても犯罪者の家庭の事情がどうであれ、情けをかけた
ことによるデンカの思いやりがアダとなるエピソード。
犯罪が起きてからでないと警察は動けないとするけど、近年では
寧ろ犯罪を抑止する為の行動を求めることが唱えられている部分も
有ったりするよね。

デンカの優しさは優しさと言えるのかということはさておき、
医療費の問題なども含めて、貧富の差によって違いが出てしまう
ところはやはり辛い。
ここ数日で5話くらいこのドラマを見た気がするのだけど、
設定は似ているところも有り、先日のデンカの後輩警察官の
エピソードでも親の居ない兄弟の物語が有ったし、この時代には
兄弟・家族の絆というものが深く描かれることが多いな。

小さな犯罪を逃した結果、結果的に大変な事態に発展してしまった。

捜査の流れが相当ガサツで、タバコの吸い殻にしても現場の近く
に落ちていたというだけで、デンカは大坪のものだと疑ってしまう
ものが有ったので、実はデンカもまた偏見を持って大坪を見て
しまうという流れを形成するのかなと思って見ていた。

大坪がデンカと会話する流れの中で、
「マジメに働いて稼ぐべき」
「少年院上がりの男を雇ってくれる所はない」

というように世間は彼を色眼鏡で見ていること。デンカは自分は
違うということを誇示しようとしている流れなのかなと思っていた
けど、ドラマ自体は額面通りの流れが有る。

二人きりで遭わせてくれなかったから兄を死なせてしまったのだ
という妹の主張も強引で、二人きりでちゃんと遭わせているのに
それ以上どう譲歩しろというのかと小一時間だった。

兄が殺されたと知り、デンカよりも早く妹が現場に到着している
流れもやや不自然に移ったかな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
内田伸子 …… 関根恵子 (シンコ)
柴田純 …… 松田優作 (ジーパン)
永井久美 …… 青木英美 (七曲署の庶務係)

大坪由紀 …… 柏木由紀子 (妹、視力が無い、スナックで弾き語り)
大坪修治 …… 柴田p彦 (兄、未成年の時ヤンチャして少年院入り)
矢部 …… (犯人)
高木 …… (犯人)

中沢啓輔、片山滉、橋本恵美子、金井進二



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