太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第123話 孤独のゲーム

脚本/鎌田敏夫 監督/竹林進
--------------------------------------------------------
テキサスは署に来るとボスが居ないことに気がつく。何処に
行ったのかと問うとチャコは墓に行ったという。ゴリや長さん
から詳しい話を聞くと、昨年ヤクザの巻き添えを喰らって亡く
なったじぃさんが居て身寄りがないので今日無縁仏に埋葬され
るのだという。ボスにも身寄りがなく身につまされる思いなの
だろうと。
テキサスは墓にいくとボスが墓の前で神妙な面持ちをしている
のを目にする。

テキサスは署に戻るとカメラを持ってボスにちょっと立って
欲しいと頼む。すると突然理由も言わずに写真を撮る。
そんな中、一係に殺人課はここなのかとして電話してくるもの
が居た、電話を取ったボスに対して、電話口の男は、今、人を
殺した。場所は矢追町2-3-7・「常南荘2号室」だという。
ゴリとテキサスはアパートにいくと、管理人の男性に2号室の
住民のことを尋ねる。深沢トミ子さんが一人で住んでいるとし、
夕べ頭が痛いとして語っていたという。ドアをノックしても
中から応答がない為に管理人に鍵を開けてもらい中に入る。
布団にくるまれた遺体が有ったかに思われたが、布団を開ける
とまだ生きたままの女性の姿が有り、悲鳴を上げられるのだ
った。

ボスにイタズラだったとして報告。人騒がせだと憤るゴリたち
に事件じゃなくて良かったと語る。そんなゴリとテキサスに
ボスは一杯奢るというが、ゴリは今日は宿直だとして、テキサス
は自分が奢るのでボスに付き合って欲しいという。
テキサスがボスを連れて行ったのは「スナック・レイン」。
中に入ると人が混雑していた。
ママのゆみ子さんだとしてテキサスはボスとママを紹介すると、
テキサスは自分のボトルと家庭料理を出して欲しいと頼む。
ママさんとても美人でしょとテキサスはボスに告げるが、ボス
はテキサスが何かを企んでいることを知る。ボスは先ほど
署内で撮影したボスの写真がカウンターの奥に置かれているの
を知ると、テキサスを外に連れ出す。一体何のマネなのか。
オレの写真を見たことを語ると、ボスとママさんはちょうど良い
感じだと思ったという。ボスは帰ろうとするが、ママさんが
気を悪くするので付き合って欲しいと頼む。いざゆみ子から
接待されるとボスも悪い気はしなかった。

深沢のことを尾行する男が居た。
突然人気のない家屋に彼女を引っ張り込むとヒモ状のもので
首を絞めて殺害する。
ボスの元に電話が鳴り、オレは今人を殺したという電話だった。
警察をからかうのは辞めろというボスに対して、見に来れば
分かるとして、住所は矢追町3-6-7の取り壊し中の建物の中だ
と語る。

ゴリとデンカは現場に行くと、ゴリは殺害されたのが先日の
アパートの女性・深沢だという事を知る。そのことをボスに
連絡すると、今度は本当に殺されていたという。
寝間着のヒモが凶器だったこと。
山村は何で二度も電話したのかという。デンカは聞き込みした
結果、深沢には交友関係がないという。印刷会社に勤務していて、
毎日会社とアパートにいくだけの毎日で、彼女は北海道から
東京に出てきて8年目だと語る。内向的で一人で住んでいたこと。
アパートに人が来たことはないという情報だった。
しかし電話してきたのは男性だという。友達・恋人も無くたった
一人で何を楽しみにしていたのか。意外と多いとして都会に出て
友達が出来ずにひっそり暮らす人の存在があることを語る。

更に犯人から電話が鳴り、オレの言うことが冗談じゃないこと
は分かっただろうという。彼女との関係は?なぜ殺したのか?
と問うとたった一人で生きて居ても人生に楽しみはないので
楽にしてやったのだという。お前達はオレを探さないとまた死人が
出るぞと。
由真村は逆探知をしていたが、ジョウフク内に住んでいること
しか掴めなかったという。テキサスは凶器に使われていたヒモ
はタネオカ製法の会社のもので、主に伊豆方面の旅館に卸して
いたもので一年前から製造されているという。ボスはテキサス
に宿泊者名簿からじょうふく内に住んでいる男性を探すよう
告げる。
--------------------------------------------------------

今回は都会に暮らす一人暮らしの男がその境遇に悲観して、
同様に一人で暮らすものを殺害していくというとんでもない
殺人事件。

ボスが独り者だということで完全に彼も巻き込まれてしまった
感じだけど、彼は他の人が不幸せなウチには自分だけ幸せに
なる気にはなれないとしていたけれど、寧ろ今回のケースを
見ると一人の女性を幸せに出来るのに、それを破棄したように
も見えてしまうところもあってなかなか気難しい心境が働いた。

ただ刑事である限り、山村家にしても野崎家にしても、苦労
している現実が有るところを見ると、結婚すれば必ずしも
幸せを提供できるとは思えないけどね。

こんなに前から都会で暮らす孤独な人の話を抽出するとは思わなか
った。昔の人たちの方が、色々と繋がりが深くて、身近に
いる人が結婚相手を世話したり、色々と声を掛けてはコミュニティ
を築き上げると思っているだけに、テキサスのした行動は、
自分から見ると70年代の典型的な人情的描写な感じで微笑ましい。

ゴリさんもデンカも結婚はしていないけど、ゴリさんは先日良い
感じの女性とデートしていたし、デンカはいつ女性と家庭を
築くのだろうか。

自分が独り身で寂しいからと言って他人がそうだとは決して
言えないモノがある。内向的だけど人と関係を持ちたいのか、
今のご時世のように他人を養うことの出来ないが為に最初から
諦めているのかもよく分からない。

自分が犯人となってでも構って欲しいという心理。
そして死ぬときには自分一人でなく一緒に死にたいとして、
周りを巻き込んでいくという恐ろしい心情の働いた事件だった
けど、なんとなくその気持ちが分かるという微妙な感じも
有って、それを別の方法で状況を補えないのかと思うところ
だね。

それにしてもボスはもうすぐ40歳という役だったね。
スナックのママはボスに最後の望みみたいなものを託していた
のかな。ボスとの関係の成就を否定された途端に九州に帰郷する
ことを語っていた。

東京が地元の人と地方から出てきた人の心情の差なんかも
現れているのかな。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
長山久子 …… 浅野ゆう子 (チャコ)

ゆみ子 …… 佐藤友美 (スナックレインのママ)
河村宏治 …… 井上博一 (40歳、心臓が悪い、独り身)
山中さち子 …… 西恵子 (印刷会社勤務・とみ子の同僚)
水野マリ子 …… 高橋ひとみ (印刷会社勤務・とみ子の同僚)
深沢とみ子 …… 安藤純子 (印刷会社勤務・北海道出身)
ダンスで銃発砲 …… 黒部進 (とみ子と踊っていた)

榛俊一、伊藤豪、都家歌六



inserted by FC2 system