太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第138話 愛こそすべて

脚本/長野洋 監督/竹林進
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レース場でスポーツカーがコースを走るのを観客席から見て居
る男がいた。男の指には婚約指輪。ドライバーがピットに戻る
と男性は近づく。女性はそんな彼にA級ライセンスは取れるか
と問うと合格間違い無しだと語る。

ボスは仕事を終えると宿直のゴリに後を頼むとして帰宅する。
デンカはゴリに今夜は何もないと良いですねとし、明日は
デートでしょと、店屋物で夕食を食べているゴリに語る。
テキサスはゴリに明日は雨じゃないかとからかう。

加納の妻・真知子は帰宅する。
部屋の灯りを付けて着替えていると、突然革靴の男が真知子に
襲いかかり首を絞める。
一方加納三郎は部下の伊藤と共に飲み屋をハシゴして泥酔状態
で帰宅する。伊藤は介抱すると、マンションの部屋まで社長を
送る。オレが婿養子だと思って妻の尻に敷かれていると思って
いるのかと絡む。伊藤が社長の鍵でドアを開けると電灯を付ける。
思わず何かに躓いて倒れると、そこに倒れていたのは首を絞め
られて気絶している真知子だった。しかし真知子だけでなく、
男性が倒れているのを知る。しかも置物で頭を殴られ男性の方は
亡くなっていた。三郎は伊藤に対してすぐに110番と救急車に
連絡するよう告げると、彼は妻をソファーに眠らせる。

部屋には鑑識がやってくる中、宿直のゴリが真っ先に現場に
駆けつけ、後から山村やテキサスがやってくる。状況からすると
忍び込んだ男が人妻に乱暴しようとして逆に鈍器で頭を殴られ死亡
し、殴った妻は失神して倒れたのだろうという。男性は身元を示す
手がかりがないとのこと。指紋から割り出されるのを待つしかない
という。夫の三郎は妻に付き添い病院に行っているとし、伊藤から
話を聞くと、三郎とはずっと一緒だった事を語る。本来は午後から
大阪出張だったという。

真知子は加納コンツェルンの一人娘で、三郎の方は元カーレーサー
だという。現在ではKG企画の社長をしているというゴリ。
病室にゴリや山村はやってくるが、当分妻から話を聞くのは無理だ
という。錯乱状態で運ばれて来たので鎮静剤を打ってもらったこと。
少なくとも明日の朝までは話を聞くのは無理だという。
山村は死んだ男に心当たりはないかとするが、全く知らないと
いう。奥さんは運ばれる時に何か言っていなかったかと尋ねると、
怖い、助けてと魘されていたとのこと。
出張が取りやめになった時に真っ直ぐに帰宅すれば良かったと語る。
これは正当防衛が認められるのでしょと尋ねる。
そんな中病室では真知子が目覚めると、錯乱していた為にゴリたち
も流石に今は話を聞くのは無理だと感じていた。
可哀想に当分ショックからは立ち直れないだろうと。正当防衛だと
しても相手を殺してしまったのだという。

山村はあの犯人の男はどうやって部屋に入ったのかとしてボス
に報告。侵入経路が分からないという。ドアの鍵は壊されておらず
テラスにも侵入した形跡はなかった。男は合鍵を使って中に
入ったのか。しかし男の持ち物の中に鍵はなかったという。彼女が
かけ忘れた可能性とか、自分で開けた可能性はないのかというテキ
サス。

そんな中、長さんは被害者/犯人の身元が判明したという。
木塚アキオ、横川町の繊維問屋の跡取りだという。

店で主人から話を聞くと、経営状態が火の車で明後日には手形の
決算日であること。若社長は必ず何とかすると言っていたと山村と
ゴリに語る。真知子のことを尋ねると、アキオとは学生時代の知り
合いだと分かる。
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元レーサーの加納三郎の妻・真知子が帰宅した際に暴漢・強盗
によって襲われる。真知子が抵抗して近くに有った像を使って
強盗の頭を殴り飛ばしたことから彼女は助かり、犯人は死亡する。
亡くなったのは繊維問屋の若旦那の木塚アキオだった。調べて
いくウチに真知子とアキオは学生時代の同級生だということが
判明する。繊維問屋の経営は火の車で、真知子とは10日以上前に
接触してきて借金の申し入れをしてきたというが・・・

今回は恋愛関係にあるゴリさんが主役のエピソード。
ゴリさんにとって目の前でいたわり合う加納夫妻が理想的のように
思えて、とても殺しをするような人物たちではないとのことから、
この件でも当事者間に事件性はないかに思われた。
ボスも一度は正当防衛で片付けようとした案件だったけれど、
山村が唱える2つの疑惑がどうしても解せないということで捜査は
継続して行われることになる。その2つとは、

1) 木塚はどのようにして部屋に入ったのか。合鍵で入ったならば
どうやって手に入れ、そして何故被害者の遺体から鍵が発見されな
かったのか。

2) 木塚の目的は明らかに殺意を持っていたこと。恋の恨みか借金
を断られて自暴自棄なのか。しかし数日後には金が入ると断言
していたことが有る。

更に追加した疑問として、夫が妻の殺害を依頼したのであればその
動機が何なのかということになる。三郎は妻の七光りでのうのうと
暮らしているのに妻を殺して何の得があるのかと。

まぁ他にも自分としては疑問は多い事件だった。
そもそも人を殺すというのは並大抵のものではない。
例え金の為でも例えプライドの為でも、顔見知りの人物をそれだけの
理由で殺せるのかという点が有ったな。

一度の事件だけならばともかく二度も殺されかけたとすれば、
当然容疑が夫側に向けられることが分かっても犯行を行っている。
今回は状況証拠は揃っているが、直接殺害したとする証拠自体は
まるでなく、ゴリの説得によって自白の形でそれを証明したこと。
その流れに恋に盲目になっている妻の男を傷つける「パパ」発言の
お陰も有って自白することになったけれど、この夫が普通の人物なら
ばそんなプライドも押さえられたのだろうけど、やはりカーレーサー
として活躍していたという人物だけあって、プライドが人以上に高かっ
たのかな。

心理学的に男のプライドの象徴は車とも言われているけれど、冒頭では
彼の十八番であるスポーツカーにも乗ってレースに興じる姿が有った
しね。

しかしまぁ自分で鍵を作るというのは正直素人では難しくないのか?

それにしても当時の峰岸徹さん、格好良いですね。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)

加納三郎 …… 峰岸隆之介 (元レーサー、KG企画社長)
加納真知子 …… 平本晶子 (加納コンツェルンの娘)
木塚 …… 笹川恵三 (繊維問屋先代)
伊藤 …… 小坂生男 (三郎の部下)
メカニック …… 亀井三郎 (レース場)
ドライブイン"ピット"のよし子? …… 芝さなえ

古能成二



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