太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー(東宝):梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平(共同ペンネーム)
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html





第139話 墓穴を掘る

脚本/播磨幸治 監督/山本迪夫
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マンションの一室で女性が首を絞められ意識を失った後、ベッド
のシーツを体にまいて手袋をした人物は彼女の心臓にナイフを
一突きする。

警察は現場へとやってくる。七曲署の一係も現場での応援要請
を受けてカミナリ族の逮捕を手伝う。長さんはある男とすれ違う。
何か違和感を覚えるが、テキサスと長さんで容疑者を逮捕する。

そんな中現場で一人刺されて怪我をしている若者がいた。
警察官が既に若者の近くに居て救急車には知らせたという。
長さんは目の前に成木外科があるじゃないかとするが、病院に
治療を頼んだところウチは救急病院ではないとして断られた
のだという。そんな馬鹿なことはないという長さん。

警察署に戻る。
テキサスはあの若者は出血多量で死亡したことを語る。殺した
のも殺されたのも高校生だったのだろうというゴリ。
長さんはゴリにごく普通の気持ちが有れば良いんだという。
ゴリさんはもしも目の前に傷ついた人が有れば何とかしたいと
思うだろうとすると当たり前だという。しかし当たり前のこと
なので目の前の医者はそれを無視したのだという。せめて応急
措置をしてくれていたら助かっていたのかも知れない。普通の
気持ちが有れば・・・と。ボスは長さんに深く考えるのは辞めて
おけと語り考えたらきりがないという。運だと割り切るしかない
のだと。良い医者、悪い医者に巡り会うかは運だという。そう
いえば長さんの息子も高校生でしたねとゴリ。

ボスの元に電話が鳴ると殺しだという。
デンカと山村は現場にいくと遺体を見て首を絞めた上で刃物でトドメ
を刺したのだという。シーツの上から心臓を一突き。シーツを被せた
のは帰り血を気にしたのだろうとし手慣れているという。午前2時
前後で被害者の吉田カズ子は喫茶店のウェイトレスをしていたと
いう。

吉田の男性関係をマンションの管理人に尋ねると、一人だけ
殺しの当日にこっそりと出て行くのを見たという。夜中の2時
頃だったこと。階段を下りてそっと逃げたという。殺されたのは
24時から26時だとすると該当しているという。その男性
はネクタイを締めて地味な背広を着て夕べはコートを着ていた
とすると、長さんはもしかして紺系統の背広で髪型は長め、
背丈は173、174cmくらいかと問う。長さんはここで遭ったとし、
ホシに挨拶したという。当日カミナリ族を追っていたので深く
追求できなかったが、テキサスも見たのではないかと。自分は
大男と格闘中だったので分からないという。長さんは匂いを
感じたとし、病院に行くとツーンとくる臭いだという。
クレゾールではないかという。被害者の吉田カズ子は元看護師
だという。

ゴリと長さんは七曲総合病院へ。
ここは長さんとゴリに任せて、テキサスとデンカは付近の聞き
込みと凶器の発見を、山村は彼女が務めていた喫茶店で話を
聞いてきてくれというボス。
長さんの鼻にご褒美をあげないと・・と。

病院の看護師に吉田と親しい人は居たかと問うと夢中だった人が
居るとのこと。外科の阿川令二医師だという。しかしカズ子の
片思いだったとのこと。阿川先生はどの科でも人気の医師で、
この病院のホープだという。今帰宅したばかりだとし、外科部長
のお嬢様と結婚が近いので忙しいのだろうという。

ゴリと長さんは吉田と親しい男について調べていると、昔医務局
に務めていた菊地三郎がいるという。一年前に病院の金を使い
込んで首になり現在矢追町の不動産屋に勤務しているという。
菊地と吉田は同時期に辞めているという。その後外で二人が
手を組んで歩いているのを見た人が居るとのことだった。

阿川の存在をゴリに話すがまずは菊地に会おうとして不動産屋
に行く。ゴリは長さんにあの男ですか?とするとそう見えると
いう。菊地は二人の存在に気づくと突然走って逃げ出す。
追いかけると突然彼は止まってタバコを吸っていた。吉田の件
で話を聞きたいとしてゴリは署に車で参考人聴取として連れて
行く。
長さんは一人で歩いていると、交差点を渡る際に突然女性が
スピードを挙げて長さんを轢くのだった。しかし女性は直前
にブレーキをかけて、ひき逃げするのではなく応急措置をして
長さんを介抱する。その人物は奥原綾子という金融会社の社長
だった。長さんの妻子の康江と良子が病院まで駆けつけるの
だった。
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今回は長さんが主役のエピソード。

この時代から医者は目の前の命から目を背けて、受け入れを
拒否していたことがあるんだなと思うとちょっと驚く。

普通の気持ちを忘れてしまっている人が居ることへ長さんが
寂しさを覚えつつ、捜査を行っていくみま。

色々とそれぞれにキャラクターにもスキルが有るけど、長さんの
特徴は鼻がよく利くことだった。

ボスからは「運だと割り切るしかない」と言われたものの、その運は
犯人にとっても該当する所があったね。それは何と言っても長さん
という人物とすれ違ったということだ。

人を殺すことは容易なことではない。
奥原と阿川がそれぞれ15歳、8歳の時に両親を失い、父親は人格者で
篤実な開業医だったということから、恵まれない人を助けては莫大な
借金を背負って亡くなっていた。
綾子が叔母夫婦に預けられ、阿川が他人にもらわれたことから、
心を失ってしまったところがあるのか。

阿川のきな臭さは早い段階から浮上していた。
しかし菊地という人物もまた殺すには十分の動機と機会が有る。
更に不利なことに彼女の部屋に有った400万円を盗んでいったという
ことからしても、相当不利な状況だった。

長さんが奥原によって車で轢かれたことが一つのターニングポイント
になった。普通の人ならば人は容易には殺せないし、無意識に困って
いる人が居れば助けるハズだ。

奥原は追い詰められて自供するが、現場検証を通してどのように
殺害したのかを再現させる。矛盾点があるのと同時に、臭いとその目
と彼女の行動からして、殺した人物ではなく、殺した人物から当日
のことを話に聞いた人物であることは明らかだった。
被害者は妊娠していたということを話したりして、上手いこと罪悪感
を引き出した。

最終的には奥原にしても阿川にしても、刑事たちが思わせぶりな
ことを話しただけで勝手に色々と話してくれた。まさに墓穴を掘って
しまった格好だった。


藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)

奥原綾子 …… 阪口美奈子 (奥原金融社長)
阿川令二 …… 岩崎信忠 (七曲総合病院・外科医)
菊地三郎 …… 綿引洪 (矢追町の不動産屋)
金融会社社長 …… 大森義夫 (奥原の同業者)
野崎康江 …… 西朱実 (妻)
野崎良子 …… 井岡文世 (娘)
石田カズ子

杉本孝次、佐々木研、富山ゆかり、美山ゆみ、長慶子、飯倉京
小牧ゆう、三島千枝



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