大捜査線
(1980年(昭和55年)1月10日〜12月25日・全42話)
(大捜査線シリーズ 追跡・31話以降)

企画:佐々木太郎、高橋久仁男、河村雄太郎
プロデューサー:山本剛正、矢島進
音楽:津島利章
選曲:山川繁
主題歌(1):「君は人のために死ねるか」
主題歌(2):「いま愛のために」

http://www.bs11.jp/drama/2073/





第31話 1980年9月25日 暴走デカ!原宿エレジー

脚本/宮下教雄 監督/手銭弘喜
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日曜日の原宿は歩行者天国になり、若者たちが街に繰り出し
奇抜な格好で踊り出す。原宿族・タケノコ族と言われるもの
たちが、代々木公園を中心として好き勝手に踊る中で、
一人の若者が顔色悪く原宿の駅前通りを歩きついには倒れて
しまう。背中からは大量の血が流れ出ていた。

警視庁刑事部第四機動捜査隊では原宿で最近起きている暴力事件
について懸念を示す。
被害者は中山テツオ(シルバのテツ)と呼ばれる原宿の主で、竹下
通り裏のアパートに住んでいる無職の男だった。鋭利な刃物で
一突きされて亡くなったものだが、これだけの人通りが多い
場所で目撃者がなく、何処で刺されたのか第一現場が分からず
にいた。しかし傷跡からそう遠くは歩けないハズだと推察する。
事件捜査は所轄の代々木中央署だが、大滝は中央署の署長に
許可を取り捜査に加わる。しかしウチの捜査班が突っ込むほどの
捜査なのか?という異論も出る中で、加納はこの事件は偶発的な
ものではない気がする事を告げ、都内の高校生を相手にマリファ
ナが出回っている事に関して、出所は原宿との噂も有るのだと
し捜査を開始する。

一方その頃人気モデルのナンシーが突然車で轢かれそうになる
事件が発生する。

加納たちは捜査本部のある代々木中央署にいくと、事件の現状
について尋ねる。署長は事件が多いので代々木公園での若者
たちの踊りを全面的に禁止する可能性に言及する。しかし反響
も多い事は予想されるので様子見状況だった。普通の若者たち
は青春をただ謳歌するためだけに来ているのに、一部の暴力事件
によって禁止するというのも辛い事だった。加納はこの事件に
は若者と言うよりも大人の欲と金の思惑が動いている気がする
と口にする。署長からはこの界隈の若者たちは大人のことを
人類だと思っていないので捜査は難航することを示唆される。
中央署ではこの界隈に詳しい若手検事の小泉を捜査に貸し出す
事を告げる。

バイクの暴走集団"ブラックシャドーズ"が原宿の通りを暴走する
中で、一人の若者がバイクで挑発的態度を取る。
リーダーの黒木リュウジはその男を止めると今にも殴りかかりそ
うになるが、男は本牧のタクと呼ばれる本牧ブラザーズのボス
で顔見知りだった。浜から消えて2年間何をしていたんだ?と
リュウジは尋ねると、全国を走り回っていたのだという。

加納や水野、中林、小泉は色々と町中で聞き込みする中で、
ファッションモデルのナンシーを目にすると、水野は興奮する。
またファッションデザイナーの赤川シュウスケの姿も有った。
ナンシーはオートクチュール黒木のオフィスを尋ねると、
デザイナー・黒木ヨウスケの元で今度の野外ショーの為の
ドレスの仮縫いに参加する。今回は自分にとって初の檜舞台なの
でナンシーが参加してくれることは心強いという黒木。
モデルだけでなくセンスが問われるとの事だった。
そんな中、オフィスには赤川もやってくる。黒木にとって赤川
は若者ファッションデザイナーとしての師匠で赤川の姿を見る
と先生と呼ぶ。ナンシーが私のお気に入りだと知って無断で
起用するとは義理に欠いているとして赤川は黒木を叱責する。
いずれ正式に挨拶に行く所だったというが、ナンシーを使うなど
10年早いという赤川。黒木は初めての本格的チャンスだと告げる
と、赤川はお前が汚い事をして売り出していることは知って
いるという。黒木の弟は暴走族ブラックシャドーズのリーダー
であり、彼に色々と吹聴させて流行を作っているという事だった。
黒木は宣伝の世の中だとするが、詐欺師呼ばわりする赤川は、
代々木公園での野外ショーなどマスコミばかり狙うお前らしい
発想だとして、辞めろという。同じ若者ファッションを売る
私の立場も無くなるのだと語る。

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大捜査線というシンプルな名前のドラマ。

実は申し訳ないのだけど、出てくる俳優さんたちを殆ど知らな
かったりする。勿論杉良太郎さんはよく理解しているのだけど、
それ以外の人は、自分の世代ではないので殆ど知らなかった。

冒頭から原宿のタケノコ族とか、衝撃的若者文化の歴史を見た
感じがする。ヤマンバとかコギャルとか歴史的に見ていくと
相当奇異な存在に写るのだろうけど、その発想には驚かされるな。
タケノコ族の衣装を見ていると、アイドルの追っかけの人って
感じ。踊りは目を覆いたくなるどダサイのだけど、当時にして
見れば、やはりこれがヨシとされていた時代なのだろう。
今の時代の人の尺度ではなかなか測れないものがある。
ドラマの中では歩行者天国の禁止を唱えていたけど、実際には
原宿のホコ天が禁止されたのは、1998年のことだ。

事件自体はそれなりに面白かった感じがする。

何故視聴率がそれ程伸びなかったのかは分からなかったけど、
やはり杉良太郎さんのインパクトばかりが目立ちすぎたのか。
大立ち回りをするのも杉さんが格好良かったけど、他のキャラは
確かに目立っていない。ちょっぴりニヒルさを備えつつ、実際
には熱いという役柄は興味の示すところかも。

事件は若者文化には切っても切れないドラッグ問題を絡めたもの
が合ったり、競合するデザイナーの師弟関係のもつれから、嫉妬
心なりが犯行に一癖も二癖も与えるものだった。

南城という刑事が囮捜査の形で上手い事手土産とばかりに
警視庁の捜査官になるまでに一つ大きな手柄を得たというところ
だけど、何故彼がの本牧タクと呼ばれて居て暴走族と精通して
いるのかはよく分からない。神奈川県警にいた頃から潜入して
いたというところなのだろうか?

犯行現場の特定に関してもちょっぴり理由付けとしては弱く、
殆ど説得力は感じなかった。

ドラマに出て来た新鋭のデザイナー黒木という男性は、最初
顔を見たら村上弘明さんが演じているのかなと思ったけど、
クレジットを見たら別人だったのか、名前が無かった。

加納明 …… 杉良太郎 (主任)
都築悠子 …… 本阿弥周子 (刑事)
水野誠太郎 …… 赤塚真人(刑事、16話から)
中林雅彦 …… 青木義朗(刑事12話から)
大滝修造 …… 山内明 (警視庁刑事部第四機動捜査隊・隊長)

南城タクヤ …… 大村波彦 (刑事、元神奈川県警)
新田 …… 光田昌弘 (刑事)
ナンシー …… ナンシー・チェニー (元モデル、喫茶店経営)

予告ナレーター:中江真司

滝田祐介、古沢一朗、西田健、江原正士、武藤英司、早川研吉
内山清次、大谷一夫、司英二、吉田真弓、吉田友子、ドニー
ラリー、中島正二、村上豪、柳沢紀子


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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