大捜査線
(1980年(昭和55年)1月10日〜12月25日・全42話)
(大捜査線シリーズ 追跡・31話以降)

企画:佐々木太郎、高橋久仁男、河村雄太郎
プロデューサー:山本剛正、矢島進
音楽:津島利章
選曲:山川繁
主題歌(1):「君は人のために死ねるか」
主題歌(2):「いま愛のために」

http://www.bs11.jp/drama/2073/





第36話 殺意

脚本/山野四郎 監督/山下亮
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逮捕した被疑者は48時間以内に取り調べを行い検察庁に送る。
送検できないので有れば刑事訴訟法203条、ただちに釈放する

ことになってていた


小野沢ナツキ(3歳)
多摩川で溺死する。外傷は無く、現場に
いた男から話を聞くと犯行を自供した為にホシを一人あげる。
加納はこの日裁判のために捜査から外れていたが、戻ってくる
と同時に部下たちからその事実を聞かされる。
全面的に自供したという津村俊三(50歳)が逮捕され、現在
拘置所に居る事。町工場に勤めており、半月前に辞めるとして
退職金を求めたが、不景気故に退職金が出ず、工場長の子を
殺害したというのである。大滝はすぐに
送致書を作成するよう
告げるが、加納は調書を見て明日までちょっと待って欲しいと
いう。容疑者の顔をみたいのだという。

加納は留置されている滝村の元へ。
話を聞くとなかなか答えなかったが、退職金を出さない社長を
恨んだこと。社長が一番大切にしている娘を殺そうとした事。
多摩川の土手から突き落とした事を語る。
どうしてそんな大それたことをしたのか自分にも分からないと
告げる。加納は滝村に明日改めて話を聞くと告げ出て行く。

刑事たちは行きつけの
ナンシーの店で事件が一段落したことで
談笑していた。ポコは誘拐して金を脅し取ろうとしていたので
はないかとするが、脅迫しても町工場に金が無いことは知って
いるハズ。怨恨なのではないかと。そんな中、上司の大滝が元気
無さそうにしているのを目にする水野。都築によると、明日の
期限までに送致出来るかどうか心配しているのだという。

加納は中林に対してこの調書を見て何か引っかからなかったの
かと問う。しかし中林は間違いなくホンボシだという。その
根拠は何かと問うと、子供を殺せば無期懲役か死刑になることは
明らかになのに自分から自供したからだという。加納はだから
こそ引っかかるのだという。普通犯罪を犯せば否定するものだ
ろうと。

翌日加納は滝村を取り調べすることに。
大滝は加納に対して
送致の期限は16時までだぞと忠告する。
加納は滝村に対して川に落ちたときの状態を教えてくれない
かと問う。
調書は疑問だらけなので改めて聞いているのだとい
う。私なりの真実を追究したいという加納。みんな自供を鵜呑み
にし過ぎているところが有り、何故犯罪から逃れようとしなかっ
たのかも気になるという。どうして殺害したのか?と問うと、
子供が憎かったからだという。すると加納はナツキの母からの
証言テープを再生する。そこには
ナツキは私たちよりも滝村の
方に懐いていた
と語っていた。気難しい人だが、ナツキの事を
良く可愛がってくれていたのだという。加納は殺害された母親
でさえ正直に話しているのだとし、滝村にも正直になる様告げる。

加納は水野に対してメモ紙を渡して指示する。
そのメモを部下達に見せると、改めて滝村の過去、そして生活を
洗えと書かれていた。

滝村の部屋を調べると、何も無い部屋だった。
暇さえ有れば川を見に行っていたのだという。滝村はこの部屋で
10年暮らしていたとのこと。
前歴などを調べようとする都築。更に住民票を調べようとするが
役場には過去5年間の記録しか残っていない事を知る。
11年前には別の場所に住んでいた事が分かるが・・・

大滝にこの町工場に来る前の事を聞くと、妻は生活に疲れて
10年前に逃げたという。子供は居なかったとのこと。
死刑になるというのにまだ本当の事を話さないのか?と問うと、
名にも自分にはないが命だけは自分の物だという。しかし命は
世の中みんなの物だという加納は貴方の為に大勢の人が
掛けづり回っているのだと語る。私はずっと一人だったという
大滝に対して、社長の証言を聞かせる。するといつも寂しそうで
何度も誘ったが自分で一人で痛がったのだという。それを聞く
と俺の気持ちなんて警察に分かるハズがないと語る。

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■BS11の再放送

35話が飛びました。昔のドラマは放送が出来ないみたいなもの
が多いね。単純に編成の関係だったりするのかな。


■供述調書の重み

被害者は3歳の女児。
多摩川で溺死した事件で、現場にいた容疑者の男性・滝村が
自供した為に、検察庁までに送致するまでの48時間を描いた
もの。
昔「48時間」という映画が有ったけど、あれとは内容はまるで
違えど時間的概念を意識するものが切迫感を感じる内容だった。

■裏付け捜査無しの自供頼みの展開

自供するにも二つの側面がある。
今回の取調室で自供を取った捜査官たちは極刑もあり得る事件
に対して自供するくらいだから自分で犯した罪だと捉えた。
しかし加納だけは逆に寧ろ潔すぎると捉えた様子。
彼の人間性を知るものたちから滝村の事を聞くと、とても
女児との関係に於いては実の親子以上に可愛がっていた
事を知る。

■11年前の出来事

調べていく内に11年前に起きたことがドラマのポイントと
なってる事が分かる。妻との離婚の事実だけが明らかにされた
かその離婚が何故起きたいのかについての言及が無い。
調べていく内に3歳の息子を川で溺れさせて死なせていた事が
判明。
子供の事を紐で繋いでおくというシーンがちょっぴり滑稽でも
有り、今ならば虐待に見られそうな感じだけどね。
結局この子供は何故亡くなってしまったのだろうか?

■刑事部長の暴論

大滝が今回送致するまでの時間を気にしていたけど、部長から
の通達ではシロの立証が出来ない限りは容疑のあるものを釈放
は出来ないということ。
逆に裏付けしていない状況の中で立件していたらそっちの方が
問題になる気がする。疑わしき者は罰せずではないのか。

ただ調書を作成したのは調査官本人たち。
大滝の台詞にあるように、今のこの時点では殺人は滝村であり
それを証明しているのは、お前ら自身が作成したという資料
とのこと。

■目撃者あり

都合良く投網している人物が目撃し、滝村のことを助けていた
けど、あの時点で水の中に入っていたのであれば、現場に
捜査官が居た際には相当服が水で濡れているのではないか
という気がする。
その辺の時間の関係もあやふやだったし、何故亡くなったのか
も正直分からない物が有った。

■他人の幸せへの妬み

うらやましいと思う気持ちが他人に対する殺意として転換
されてしまうというのはちょっぴり寂しい感じ。

加納明 …… 杉良太郎 (主任)
都築悠子 …… 本阿弥周子 (刑事)
水野誠太郎 …… 赤塚真人(刑事、16話から)
中林雅彦 …… 青木義朗(刑事12話から)
大滝修造 …… 山内明 (警視庁刑事部第四機動捜査隊・隊長)

南城タクヤ …… 大村波彦 (刑事、元神奈川県警)
新田エイイチ …… 光田昌弘 (刑事、父は検事)
ナンシー …… ナンシー・チェニー (元モデル、喫茶店"フラミンゴ"
経営)
モコ …… 棟里佳 (ナンシーの姪)

予告ナレーター:中江真司

中島正二、村上豪、柳沢紀子

梅野泰靖、大木正司、三好智子、矢野間啓二、飯田和平
山崎猛、岸野一彦、三間康二、鳴海剛、福井教夫
山口和宏、国松恵一、浅野民蔵、中島正二、


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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