大捜査線
(1980年(昭和55年)1月10日〜12月25日・全42話)
(大捜査線シリーズ 追跡・31話以降)

企画:佐々木太郎、高橋久仁男、河村雄太郎
プロデューサー:山本剛正、矢島進
音楽:津島利章
選曲:山川繁
主題歌(1):「君は人のために死ねるか」
主題歌(2):「いま愛のために」

http://www.bs11.jp/drama/2073/





第37話 朝日のあたる愛

脚本/宮下教雄 監督/小俣暁
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奥多摩の湖に転落した車をクレーン車で引き上げる。
中からは男性の遺体が発見され、
奥多摩中央署広尾警察官
すぐに現場検証を行う。第四機動捜査隊も合流すると遺体に
ついて調べる。すると遺体の頭に傷があるが単なる裂傷で、
致命傷ではないという。肺に含まれる水から
死因は溺死だろう
という判断だった。広尾警察官によると、この場所は
魔のカーブ
と言われている場所で、今までには数多くの車がここから転落
しているのだという。免許証から遺体は石本弘(32歳)だと判明。
住所を調べるとパチンコ店になっており、住み込み店員である
事が判明する。車の登録から本人の車であることも確認する。

司法解剖の結果、死因は溺死で、死後36時間前後経過している
という。つまり
死亡推定時刻は11月10日の午後22時頃とのこと。
泥酔状態で奥多摩湖に車ごと突っ込んだ事が分かる。
事故死案件だとするが、加納はまだ事故死と決めつけるのは
早いと待ったをかける。昔から
木を隠すならば森の中だという
様に殺人の遺体を処理するにはもってこいの場所だと語る。

石本が勤務していたパチンコ店に話を聞きに行く。
店長によるとアルコール中毒に近いほど飲むのが好きだった
という。この場所に勤め始めたのは6ヶ月前からで、現在店員
用の独身寮(パチンコ屋2階)に住んでいるとのこと。
採用した際の履歴書はあるが、詳しい話を聞くならば同僚の
土屋に聞いた方が良いという。

独身寮・土屋の部屋を尋ねると、土屋は警察が来たと知ると
窓から逃走を図る。南城、水野、新田は三人で土屋を追いかけ
るが、水野は体力が続かず追跡途中で体力がバテる。
最後まで追いかけた南城も土屋の足の早さに逃がしてしまう。
しかし水野がバテて座っている場所にひょっこりと土屋が
現れ、タイミングよく逮捕する。
何と土屋は
博多の雑貨店員殺しの容疑で全国指名手配されてい
る被疑者だった。翌日福岡署に引き渡しになる事が決定する。
土屋から石本について尋ねると、石本は10日に女に逢いに行く
と言って出かけたという。午後7時頃でかけたとのことで、
いつもよりもめかし込んでいたとのこと。
最近金回りがよくな
ったとし、一勝金のなる木を見つけたと言っていた
のだという。
恐らく金を貢いでくれる有閑マダムでも見つけたのではないか
との事だった。

しかし石本には奥多摩には何の繋がりも無く土地勘はないこと
が判明する。石本が逢っていたという女性の方が奥多摩に関係
しているのではないかという。パチンコ店には女性従業員が
4名勤めており、石本の女性関係を調べろという。
聞き込みの結果、水野は嫌みな男だという証言を得たという。
しかし南城と新田は石本の事をカワイイと言っていた女性もい
ると報告する。水野はそんな二人に対して敏感に反論するが・・

加納たちは夕食を兼ねてナンシーの店にいく。
するとナンシーやモコは、ダメ男の方が意外と女性の母性本能
を擽ることもあるのだという。中林は男性から見た良い男と
女性から見た良い男は違うものだと語る。

石本の事を調べていると、彼は今のパチンコ店に勤める前には
調布の
緑川総合病院の事務員をしていた経歴がある事が判明す
る。とても大きな病院だった。
事務長に逢うと、石本が辞めた理由は
公金の使い込みだという。
バクチに使ったのではなく
女性関係が激しかったのだという。
看護師からも話を聞くと、石本はかなりシツコク言い寄って
いたのだとし、それが良いという人も居れば嫌悪感を示す人も
板という。看護師の中でも岩崎冴子は相当追いかけられていて
大変だったみたいだという。しかし冴子は現在院長の一人息子
で副院長の緑川と一週間後に結婚する事が決まっているのだと
いう。石本はそれ以前に西野ユミと付き合いがあったとの事だ
った。

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■事故か殺人か

冒頭の展開を見ていると明らかに事故だと思わせる案件。
加納一人の嗅覚によって事故が事件化してしまった側面が
強いけど、まぁその辺は仕方がないのかな。

せめて車に細工の痕跡でもあって疑うべき余地があること
が提示されると良かったんだけどね。

■被害者の女性関係

被害者の石本が何故女性にもてたのかまるで説得力はなかっ
たけど、ある程度もてるという設定にしないとドラマとして
成立しない所が有るからね。相当シツコイ性格をしていたとの
事で、最終的には冴子と付き合っていた期間があると聞いて
ビックリ。冴子は相当上昇志向が強くて、貧乏生活には嫌気
が指していた感じなので、石本が病院の金を横領してまで
も大金を貢いでくれたというところなのかな。

水野が変な所でスイッチが入っていたけど、確かに石本は
モテない。

■アリバイトリックとしては面白い

ただ非常にドラマの展開が雑でもったいない感じのするシナリオ
だった。
乳母車を使って運んだみたいだけど、どう考えて目撃者は居る
よなぁ。
溺死が何処で起きたのか。
隊長が薬を飲む水にヒントを得て発覚した流れだったけど、
風呂の水をいっぱいにするまで奥多摩湖の水を運ぶとしたら
一体何度往復する必要があるんだろうね。

■全てのことに理由があった

冒頭から色々と意味ありげにネタが仕込まれている。
アリバイ工作の為に隣人の風呂を借りていること。
被害者の羽振りが良くなっているということ。
新品の乳母車が捨てられているということ。
スクーターが盗まれているということ。

スクーターが盗まれた事は偶発的なことなので、その流れから
アリバイが崩れるトリックだと完璧なんだけどね。

■風呂から証拠が出る

最後に決定打とも言うべき血痕が発見されたとの事だけど、
泥酔して溺死させたのに血なんて出たのかな。

■田舎に嫌悪感

住めば都というけれど、そう思えない人も当然居る。
中学を卒業して以降一度も帰省していないとの事だけど、
あんなに大変な思いをしなければならない場所っていうのが
ある意味凄かった。
最後に田舎の母の映像が結構な尺で流れたのは印象的だった。
傷だらけの天使なんかでもこういうエピソードが
有ったよね。

加納明 …… 杉良太郎 (主任)
都築悠子 …… 本阿弥周子 (刑事)
水野誠太郎 …… 赤塚真人(刑事、16話から)
中林雅彦 …… 青木義朗(刑事12話から)
大滝修造 …… 山内明 (警視庁刑事部第四機動捜査隊・隊長)

南城タクヤ …… 大村波彦 (刑事、元神奈川県警)
新田エイイチ …… 光田昌弘 (刑事、父は検事)
ナンシー …… ナンシー・チェニー (元モデル、喫茶店"フラミンゴ"
経営)
モコ …… 棟里佳 (ナンシーの姪)

予告ナレーター:中江真司

中島正二、村上豪、柳沢紀子

高沢順子、武内文平、鹿沼エリ、加藤和夫、三崎奈美
大森不二香、信実一徳、池田道枝、久遠利三、中島元
鹿島研、吉田大門

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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