大捜査線
(1980年(昭和55年)1月10日〜12月25日・全42話)
(大捜査線シリーズ 追跡・31話以降)

企画:佐々木太郎、高橋久仁男、河村雄太郎
プロデューサー:山本剛正、矢島進
音楽:津島利章
選曲:山川繁
主題歌(1):「君は人のために死ねるか」
主題歌(2):「いま愛のために」

http://www.bs11.jp/drama/2073/




 

第42話 1980年12月25日 君のために死ねるか

脚本/宮下教雄 監督/木下亮
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ナンシーの店でランチを取る四機捜の面々。
水野は隊長が引退したら、加納が次期隊長になるのは確実だと
いう。加納はおだてて奢らせようなんて甘いぞと告げるが、
中林もそれに同調する。
そんな中都築から事件の連絡が有った事を聞かされる。

現場は自動車解体場だった。その車の中で遊んでいた少年が
自動車が横転したことによって負傷。しかし横転したことに
よって
50万円の現金が出て来たのである。解体屋の社長も
心当たりのない金だという
。タクシー会社から持ち込まれた
車との事でタクシー会社に話を聞きに行く。
するとそのタクシーは出会い頭にダンプにぶつかり運転手は
死亡したとの事。運転手は安斉ケンジ(25歳)。ハイヤー専門
で、当時イワタアイコという客を乗せていたのだという。

イワタに話を聞くと彼女はホステスで、単純に名前を貸して
いたのだという。普段は運転手のケンジの兄・安斉清が利用
していたのだという。普通のサラリーマンだが、彼は
五代産業
に勤めているのだという。五代産業は急速に業績を挙げた会社
で今では業界NO.3の商社だった。しかし何故そんな会社の
社員が大金をシートに隠していたのか。そして車で何を運んで
いたのか疑問に陥る。シートに金が入っている事を知って、
弟がネコババしようとしていたのでは無いかといろんな可能性を
考える。

五代産業にいくと、岡崎という社員から話を聞く。
安斉は三ヶ月前まで社長室付の参与だったが、現在同系列に
出向しているのだという。横浜にある子会社の
五代倉庫の所長
代理だという。
安斉の元に行き話を聞くと、何故事故当日に会社の車を使わず
に弟のハイヤーを使っていたのか、そして偽名を使ってハイヤー
を呼んだことについて尋ねると、弟に頼まれたからだという。
運んでいたものは何かと尋ねるが、何も運んでなど居ないとし、
単に足として利用しただけとの事だった。

一方警視庁には地検の桜木検事がやってくる。
加納たちが五代産業の事件を調べている事を聞いて、地検でも
長年五代産業をマークしていたので協力して欲しいことを
言われる。急速に業績を伸ばしてきた企業なので、最近は
手広く広げすぎて無理している所が有り、かなり生臭い噂も
後を絶たないのだという。不正の腐敗を共にしていこうと確認
し合う。

そんな中、安斉清は町中を歩いていると突然倒れて死亡して
しまう。すぐに司法解剖に回されると、検視官からは
塩化スク
シニルコリン
が使用された可能性が高いのだという。検出された
量が微量過ぎることや、体内ですぐに分解されるために後に
残らない物質であり、静脈から体内に入ると筋肉が収縮して
呼吸困難に陥るのだという。報告書には書けないのでとりあえず
伝えに来たとの事だった。

安斉の事を調べていると、
大日本経済速報社が、五代産業の
人事に関して記事を掲載していた事が分かる。
速報社に行き担当記者のイヌイから話を聞くが、彼は警察
権力を全く使用して居らず、話す事はないとして追い返される。
中林は激怒するが、加納はとりあえず今日は退散しようと
語る。

署に戻ると署員たちが暗い顔をしている事を知る。
大滝によると
本部長命令でこの件の捜査は打ち切りだとして
事件は無かったものと思えと言われる。加納は腐りきった怪物
が目の前に居るのに見逃す事など出来ないとして、辞表を
片手に本部長の下へと乗り込むが・・・

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■いよいよ最終話

最終話ということで、設定としてはちょっぴり複雑だった。
加納は辞職してでも目の前の犯罪に立ち向かう姿があり、
最後はほぼ加納ショーと化していた感じ。

■政財界の汚職

政治家周りの金の流れが複雑なので一見するとよく分からない。

関係しているのは
ツユキナツオ (アラマキの主席秘書)
アラマキシュウサク (政友党代議士)
ダントウサブロウ (政友党幹事長)

ツユキが金を受け取りアラマキに金を回していたとのこと。

■ブンヤが真相をたぐり寄せる

イヌイという大日本経済速報社の記者。
初めは加納達に対して嫌な態度を見せていたけど、意外と気骨
溢れる男なのかと思わせつつ、イヌイは不正を知ると、
ツユキに揺すろうとしている姿が有ったのかな。
暴いて記事にする事で金を得れば良かったんだろうけどね。
加納とのやりとりの中で、折り鶴メモという存在が一連の事件
に関係している事が分かる。

■ツユキは加納の元・警察学校時代の同期

10年前に東北に帰ったとのこと。そこからまた這い上がってきた
らしい。
話を聞くと、ツユキは赤城理絵と結婚していたが、彼女が
肝臓を悪くしてアメリカに渡り手術をしたとか。
その借金でツユキとは別れることになるが、理絵は夜の商売で
借金を返すことになる。

パトロンのウサミトウヨという人物が出来たことで一気に借金
は返済したとのこと。

■千羽鶴に込められた思い

千羽鶴に対する思いがあまりに濃すぎたらしい。
理絵は別れた後にも病室で夫のツユキが折ってくれた鶴を
捨てられず、それを見る度に罪悪感に襲われていたようだ。
その為にウサミから聞いた情報をツユキに流していたとか。
情報が飛び交う夜の町に、如何に金持ちの起業家が集まっている
のかって感じだね。

■本当の石ころは?

イヌイ殺しはツユキが認めていたけど、その他はどうなんだろう
か。元々のハイヤー運転手の死、そしてその兄の死はどう関与
していたのか全くの謎。
イヌイを石ころ扱いしているツユキに対して、損得でしか考えら
れず人殺しも厭わない彼に、人間のくずだとつげる。
更に裏で手を引く怪物を倒すことを誓う。

■加納は撃たれるが・・

亡くなってしまうのかと思ったけど、撃たれたことで加納の
決意なり執念なりを感じるつくり。ただ狙撃したのもイヌイ
とはまた別のものだったということなのかな。
最後に加納に接触してきた政治家は、アラマキなのかダントウ
だったのか。

加納明 …… 杉良太郎 (主任)
都築悠子 …… 本阿弥周子 (刑事)
水野誠太郎 …… 赤塚真人(刑事、16話から)
中林雅彦 …… 青木義朗(刑事12話から)
大滝修造 …… 山内明 (警視庁刑事部第四機動捜査隊・隊長)

南城タクヤ …… 大村波彦 (刑事、元神奈川県警)
新田エイイチ …… 光田昌弘 (刑事、父は検事)
ナンシー …… ナンシー・チェニー (元モデル、喫茶店"フラミンゴ
"経営)
モコ …… 棟里佳 (ナンシーの姪)

予告ナレーター:中江真司

中島正二、村上豪、柳沢紀子

森次晃嗣、田島令子、井上昭文、平田昭彦、河村弘二
冨田浩太郎、中井啓輔、水村泰三、剣持伴紀、潤ますみ
江幡高志、河野弘

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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