気分は名探偵
(日本テレ土曜21:00 - 21:54枠/1984年10月6日から1985年3月30日)

プロデューサー:山口剛、菊池昭康
脚本:宮田雪、石原純一、岸田理生、柏原寛司、田村多津夫、金子裕
演出:高井牧人、河野和平、水島総、梅谷茂、新沢浩、中山史郎
音楽:羽田健太郎
主題歌:「人魚の誘惑」 唄:水谷豊





第20話(21) 人生の並木路
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三村信一は下校中後ろを気にしながら逃げる様にして帰宅する。
信一はある紙(作文)を落としていることに気が付く。

荒木の元に八田から電話が鳴る。
大藪が圭介と会いにいくと言ったきり戻って来ないというので
有る。昨日も同様のことが有ったという八田。荒木は圭介が
帰宅したら聞いて置くとして電話を切る。
圭介が事務所に戻ってくると、聖子は大藪と遭ってきたのかと
問う。圭介はそれを否定するとまた俺の名を語ったなと呟く。
昨日もそう言って夜まで戻って来なかったという。

そんな中圭介の元に草間先生は居ますか?という少年・信一が
現れる。圭介は緑の元に行くと男性がお前に会いに来ていると
語る。しかし実際には緑のクラス(4年3組)の生徒の信一だった。
彼は作文を提出したのを忘れたので持って来たのだという。
マスターたちは信一にジュースを入れるが、小さい姉・晴美から
知らない人から物はもらってはいけないと言われているとして
飲もうとはせず帰宅しようとする。緑たちは信一の様子がおかしい
ことに気が付き声をかけると、僕はヤバイかも知れないとし、
誰かに狙われているみたいだと語る。

信一を家まで送っていく圭介。今日は僕を狙っている男が来な
いという。きっとボディガードが居るからだとして圭介に懐く
信一。しかしそんな中、小さい姉・晴美が帰宅する。
すると晴美は圭介を見て「アンタたちいい加減にして欲しい」と
告げる。「小学生相手にビクビクさせて何が面白いのか?」と
言われたことを受けて圭介は信一の話が信憑性を帯びていること
に気が付く。

圭介は帰宅すると緑の元に持って来たという作文を読ませてもら
う。作文の課題は「家族について」のことだった。
僕の家族は大きい姉・涼子はミッキーマウスのエプロンを彼に
もらい見せびらかしてくるという。小さい姉・晴美は中学一年
だがとても生意気。でもチェッカーズの藤井フミヤがテレビに
出て歌っているのを見るとデレデレするという。母親は亡くなり
父親は居ませんと書かれていた。まさか犯罪絡みなのか。
圭介は緑に信一の父・善造のことを尋ねると、以前家庭訪問に
行った際に信一の姉・涼子から話を聞いたがハッキリとした
ことを言わないのだという。圭介は緑に対してあの子が狙われて
いるというのは本当の事かも知れないと語ると、圭介に調べて
あげてくれないかと頼む。そんな中圭介は緑がミッキーマウス
のエプロンをしていることに気が付く。作文にもそう書かれて
いることを告げると緑は偶然だと語る。

信一は下校する。
圭介は影で信一が帰宅するのを待っていた。信一は今日は
怪しい男がつけてきた事を告げる。レインコートを着ていて
黒のサングラスをしている男だという。まるで殺し屋のパターン
だなと。すると怪しい人物が通りかかる為に圭介は確認すると
なんと大藪だと分かる。あの子を尾行しているのは大藪なのか
と問い詰めるが、大藪はハッキリしたことを言わずにオレは
急ぐのだとして背を向けて行こうとする。人の名を語って仕事
をサボるなわと語る。
大藪が行った後に圭介は信一に尋ねると、あの人で間違って
いないと語る。

帰宅すると大藪はマリーの喫茶店のみんなに団子を買って
持ってくる。圭介はそんな大藪にオレは騙されないとして
二人きりで話そうと語る。あの子が怖がっている事を告げると
彼の父・善造は犯罪者なのかと問うと、せこい不動産詐欺師
だという。ここ2、3日の間に東京に戻ってくるという情報を
得て、勝負の時なんだという。逮捕するには子供を尾行するの
が一番だと思ったのか?と問うと、大藪はこの件は八田には
今の所内緒にしていて欲しいと告げる。今、八田に色々と
知られると困るのだという。それが何なのか言ってみろと
圭介は問い詰めるが、俺たち親友だろうと語ると、圭介は
取りあえず貸しだと告げ大藪が話すのを信じて待つことにする
のだった。
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圭介の前に緑の生徒だとする少年の信一が現れる。
不幸なことに彼の母は他界しており、肝心の父親も不動産詐欺
を犯して逃走中。子供たちは何処までその事実を把握している
か分からない状況の中、長女の涼子が一家を支えていた。
そんな中、信一は緑の元に作文を届けに来た際に、自分は
誰かに狙われているとしてそのことを口にしたことから、
圭介は調べていく。
最近大藪の様子がおかしいとのことだが、信一のことを監視・
尾行しているものを調べていくと、大藪に繋がっていくことが
分かる。

なかなかの名作的臭いのするエピソードだった。
20話も過ぎたのでそろそろ色んな面に於いて熟成期に突入して
いる感じ。気になるのは新しく所長になって以降殆ど所長が
出てこない(笑)

大藪と圭介の友情物語を見せられるものの、今時の
「相棒」の内村完爾刑事部長と右京の関係を見ると、なんと
なく切ない気分にさせてくれる。この頃の屋台で酒を飲み交わ
していた頃の友情は何処に行ったのかと。

大藪のレザースーツ姿はなかなか様になっていて格好良さが
有ったけど如何にも妖しい人って姿が目に余る。サングラスは
冒頭ではキザっぽさがあるけど最後にかけたところき涙を隠し
て居るであろう流れが有り切なさを感じさせる。

捜査の対象と成っているのは子供たちばかりで生活している家庭
で、長女が家計を支えている様だ。母は亡くなり父親は不動産
詐欺で逃亡中とはなんとも無責任で非情な状況で有り、そんな
長女に大藪は父親を自首させる為と称して協力しているウチに
感情移入していくというもの。

犯人の家庭にあまり深く関わり過ぎることは、刑事にとっては
大変なことで、いずれ逮捕しなければならない父親に対して
その娘と付き合うことでどんな影響があるのか。
刑事としての出世は絶たれてしまうだろうし、世間からの非難
も有るのだろう。
関係者となることで最も懸念すべきは捜査妨害を疑われてしま
うことなのだろうけど、そのことにはあんまり言及されなかった
な。


夢野圭介 …… 水谷豊 (吉原野探偵事務所)
吉原聖子 …… 朝丘雪路 (妻、夫を心臓発作で亡くす)
草間緑 …… 岡江久美子 (渋谷東小学校・教師)
八田利男 …… ケーシー高峰 (万年坂警察・刑事)
加納礼 …… 草野大悟 (喫茶店"占い喫茶マリーのオーナー)
マリー池田 …… 順みつき (占い師)
荒木紀信 …… 船越栄一郎 (23歳、喫茶店"占い喫茶マリー"でアルバイト)
大藪邦彦 …… 片桐竜次 (万年坂警察・刑事)
吉原かおり …… 佐野量子 (娘、高校2年生)
津村明子 …… 一氏多佳美 (浩三の娘)
吉原良平 …… 財津一郎 (弁護士・東大を首席で卒業、聖子の義弟)
津村浩三 …… 藤岡琢也 (元刑事)

三村信一 …… 岩瀬威司 (4年三組)
三村晴美 …… 岩立絵美 (次女、中学1年生、チェッカーズのファン)
三村善造 …… 三谷昇 (父親・不動産詐欺で逃亡中)
三村涼子 …… 竹井みどり (長女、大藪と良い感じに・・)
木村刑事 …… 田辺洋 (大藪と張り込み)
ウェイトレス …… 小沢春美



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