振り返れば奴がいる
(1993年1月期・水曜21時枠・フジTV)

企画:石原隆、鈴木吉弘(2話より)
プロデューサー:関口静夫
脚本:三谷幸喜
演出:若松節朗、河野圭太、木下高男


第4話 死にたがる患者

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司馬は石川とのすれ違い様に挑発し石川に頬を殴られた傷が
生々しく残る中、峰とすれ違う司馬は彼女に石川との関係は
上手く行っているのかと尋ねる。

石川は中川の前でああいう結果になった以上はここには居られ
ずカンザスに戻るという。司馬のやり方を見ていられないだけ
でなく、そんなやり方を容認する病院の体質自体にもついて
行けないというのである。しかし中川は今回の一件は気にする
必要なく、理想は司馬と石川がぶつかり合いながらも技術の
向上・発展である事を告げる。

そんな中腹部大動脈瘤の患者が運ばれてくる。
患者は会社の社長で明日は会社の存続を揺るがす大事な会合が
有るという。手術する事だけは避けてくれと言う。それを聞い
た平賀は司馬に相談。彼に手術することを説得して欲しいとい
う。司馬は相手が大物だということを聞いて秘書らに会う。
話しを聞いた司馬は秘書から、21時には戻ってくるのでそれか
ら手術ではダメかと言われる。金を積まれた彼は了承するが、
平賀はカンファレンスの時に患者のことをどう告げるのかと
いう。司馬は椎間板ヘルニアの患者のレントゲン写真をすり替
えそれを見せる事にするのだが・・・
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またしても一人の患者の対応を巡り意見が分かれる。

すぐに手術すれば良くなる病気だが、それが出来ないという
患者の事情を巡って医師の間で意見が分かれる。

司馬先生は患者の事情を優先させようとする側の人間だ。
勿論患者の事よりも金を得ることが目的。
金を集めなければならない事情が存在するようだが、目的の
為に医師としての倫理を逸脱していくところがとてもスリリン
グに描かれる。特に今回はお金が出てきたのでとても生々しさ
が有ったね。

一方石川は患者の命を考え、患者の事情などお構いなしに先ずは
命を優先させるべきだと考える医師の一人だ。

司馬と石川が互いに語り合うときの距離感がこのドラマの特徴で
本当に相手に息が掛かるほど接近して語り合う。

カンファレンスに使うレントゲンを探す時に看護師の内村が
言われる前に手を貸してしまう所や、彼女が要所で会話を聞いて
居る所など面白い使い方。

石川の鋭い勘によってレントゲンがすり替えられた事が分かる
辺りの展開と、それを悟って司馬が先んじて対処する辺りの
顛末がとても良くできている。

会社の経営者としての使命を全うする社長の決断が最後は
石川の熱意を上回るが、一応大動脈瘤が破裂したにもかかわらず
助かったようなので良かった。

峰が石川と沢子の関係を遠くから不安そうに見ている辺りも
今後面白い要素として存在していきそうだ。

司馬 江太郎 …… 織田裕二 (医者)
石川 玄 …… 石黒賢 (医者・アメリカ・カンザス大学から帰国)
大槻 沢子 …… 千堂あきほ (麻酔医)
峰 春美 …… 松下由樹 (研修医)
平賀 友一 …… 西村雅彦 (天真楼病院の主任医師)
山村 忠光 …… 宮沢風太郎 (天真楼病院の放射線科医師)
笹岡 繁三郎 …… 坂本あきら (患者、麻雀に呼び出される)
稲村 寛 …… 佐藤B作 (ケースワーカー)
看護婦・田村 …… 相原勇
看護婦・内村 …… 宮地雅子
看護婦・中井 …… 貴島サリオ
前野健二 …… 川上たけし (外科医・マージャン仲間)
患者・柏木 …… 梶原善 (胆石の患者)
患者・志村 …… 小林隆 (麻雀に呼び出される)
救急隊員 …… 甲本雅裕
上野こうじ …… 伊藤俊人
役名不明 …… 浅野和之
星野 良子 …… 中村あずさ (製薬会社・オットー製薬)
中川 淳一 …… 鹿賀丈史 (外科部長)
理事長 …… 林昭夫

木原みずえ、建部和美、木村智良、桐林美枝、小松恵子
山田玲奈、曽根いづみ、高倉江美、井手直樹、小宮三郎
海谷公二、樺沢雅樹

中丸新将、内山雅史、槙野淳、渥美国泰

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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