古畑任三郎
(第3シーズン)

脚本/三谷幸喜

http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/furuhata/


第11話 最も危険なゲーム・後編(最後の事件)


四カ所で身代金を受け取るという犯人。
犯人達の目的に金は必要なく、一つのバッグばかりを求めて
いる。そのバッグを指定された場所に届けようとする日下光司
の車に同乗する形で古畑は彼の行動を逐一監視する。

日下光司はとても紳士的な感じを装ってはいるが、矛盾した
行動を見せる。
彼は能率且つ効率的なテロ活動を第一に考え、人に迷惑を
かけずに紳士的にテロ活動を行うことにあるという。
テロとついた時点で紳士的と形容されるには無理があるが、
一連の計画の中で一人の人間が亡くなっている事を考えれば
そんな主張が成り立たないことは明らか。
そんな彼と今回は自分が犯した罪を罪と思わない人間を最も
嫌うという古畑との対決。

ドラマとして面白いのはやはり犯人と長い時間、同じ空間を
共有していることだ。そして犯人は古畑が自分のことを犯人
として見ていることを認識している。そんな古畑の追求を
交わして、自分の計画を遂行しようと虎視眈々と隙を狙って
いる。

ただドラマとしては野球場に身代金を持って行くが、日下光司
はここで何をしようとしていたのか気になる。
敢えて囮になるために自分の身を犠牲にしたのであれば、
この勝負、本当の意味での勝利者とは言えないのではないか。

古畑が日下光司を犯人だと疑ったのは、ボールペンのノッチを
カチカチする癖に有ったというが、カチカチするのは別に
珍しい行動でもないので断定するには、やや説得力が足りない。

しかしこの一連の電車ジャック事件がフェイクで有ったことを
見破る過程を、全貌を知る西園寺に頼らずに真相を見出した
という点では良くできたドラマだった。

西園寺が犯人に縛られ、今泉が彼を助けようとする。
その時間の掛かり方が尋常ではなく彼らしさが出ていた場面。
また古畑が今泉の電話に出ずに西園寺の電話にだけでるシーン
は最高のシーンだった。

最後に野球場に金を持ってくる事を見破るシーンもやや腑に
落ちないところだが、その後古畑が去っていくシーンは、
最終回ならではのちょっぴり寂しくなる演出。
もうレギュラードラマとして戻ってくることはないのだろうか?

古畑任三郎 - 田村正和
今泉慎太郎 - 西村雅彦
西園寺守 - 石井正則
向島巡査 - 小林隆

guest
日下光司 - 江口洋介 (犯人・主犯格)
武藤田 - 佐々木功 (総合管理センター)
浅香忠夫 - 斉藤洋介 (犯人)
山本一郎 - 山崎一 (犯人・サラリーマン風)
大和田五郎 - 水道橋博士 (犯人)
江田 - 杉崎浩一 (犯人・ガタイの大きい)
神保 - 渡辺憲吾
花田 - 八嶋智人

佐藤裕一、中村由紀子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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