想い出にかわるまで (1990年1月期、金曜22時枠・TBS) 1990年1月12日から3月30日 脚本：奥村俊雄(1)-(3)、内館牧子(4)-(12) 演出：大岡進(1)(2)(5)(6)、森山享(3)(4)(7)(8)(9)(12) 遠藤環(10)(11) プロデュース：遠藤環

第8話 1990年3月2日 悲しい愛への予感
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るり子が家を出てアパートを借りたことで、直也はそれがるり
子の結論だと確信すると、るり子のアパートに行き、彼女の前
で久美子と結婚することを宣言する。4年間付き合ってそんなに
簡単に崩せる物なのか、脆いものなのかと告げるが、腹をくく
ったのだという。久美子はるり子に対して、私が掴んだ幸せを
奪わないでと告げる。

父・良夫は妻の登美子が家事をしなくなった事で、色々と指摘
するが、色んな事が馬鹿らしくなったという妻。るり子の異変
に気がついていたのに、私は何の役にも立っていないという。
私は何のためにこの家にいるのかと呟く。

直也はるり子の事を、妹と何かあった男と結婚しても幸せには
なれないと感じ身をひいていた。久美子は彼に今から家に来て
両親の前で結婚すること話して欲しいと告げる。

翌日直也は出社すると、上司からN.Yの研修の話が直也に出ている
という。直也は開発室のホープだとし、商社マンの女房研修も
兼ねているのだという。

一方水口は優佳からそろそろ個展を開いたらどうかと言われる。
自分がスポンサーになるという彼女。

水口はるり子がアパート暮らしした事を知る。

直也は上司に全ての事を話す。その上で仕事人としての私は
何一つ変わることがない事を訴える。私生活にもけじめをつける
事を語る。

直也は沢村家にいくと、久美子と結婚させて欲しいと頭を下げる。
どういう事か説明してくれという良夫。るり子がいながらも
久美子と関係を持ったことを知ると、良夫は直也を殴り飛ばし
出て行くよう告げる。工場も娘もやらないとし、るり子をどう
するつもりなのかと激怒する。あらゆる事で彼女の力になる
という直也。

水口はるり子のアパートを尋ねる。何故この場所が分かったの
かという問いかけをはぐらかす水口。会社も辞めたのか?と
問う彼は、るり子の為に食料品を渡す。撮影で使ったものだと
いう彼はそれを渡すと深くは詮索せずその場を立ち去る。
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直也は婚約者・るり子の妹と関係を持ってしまったことに対し
て、これ以上るり子を苦しめたくはないと考える。そんな彼が
取ったのは久美子と結婚することだった。

るり子、久美子の酷さを見せつけられたかと思えば、今度は
直也自身の酷い態度を見せつけられたような話だった。

直也が意固地になって結婚に拘っているのも、会社や社会的
体裁の為のもので有り、決してるり子の為に行っていない事。
常識的に考えれば、久美子と結婚する選択肢などあり得ない
ものだけど、強引に押し切ってしまう所に、人間性を疑う所が
有る。

ただ今回の一件で、沢村家は家族として娘達のために何が出来る
のかを考える機会が得られたし、家族としての役割などを認識
したりして、自分にとっての存在価値がどんなもののかを
模索していく。
本音を言い始めた事で、家族としてこれまで以上に労りの心を
持って接することが出来るようになったのではなかろうか。

水口の存在が随分大きくなった。
彼女のアパートを突き止めている辺りはちょっとゾッとすると
ころが有ったけど、全てを失ったるり子の事を上手く支える
役割を果たしているし、必要以上に心に踏み込んでこないとこ
ろは、好感の持てる部分。

直也が左遷されたという事で、確実に崩壊への道を進んでいる。
会社での体裁のために久美子との結婚に踏み切ったのだとしたら
固執するものがなくなったことで、この関係の破綻も近付き、
直也としても動きやすくなったのでは無かろうか。