想い出にかわるまで
(1990年1月期、金曜22時枠・TBS)
1990年1月12日から3月30日

脚本:奥村俊雄(1)-(3)、内館牧子(4)-(12)
演出:大岡進(1)(2)(5)(6)、森山享(3)(4)(7)(8)(9)(12)
遠藤環(10)(11)
プロデュース:遠藤環



第10話 1990年3月16日 離れていても…
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沢村の家の妻・登美子が家出したことを受けて、みんなが実家
に集結。その帰りに直也は来るまでるり子を送る。外は雨が
降っていたこともあって、直也は傘代わりに自分の着ていた
背広を彼女にかぶせる。
帰宅すると不安になった久美子は直也に抱きつく。

翌日、良夫の印刷事務所では登美子が出て行ったことで仕事に
支障を来していた。
るり子のアパートに突然登美子が現れる。
昨日は箱根の友人の旅館に泊まったという妻。るり子は心配する
でしょうと母を責めるが離婚はしないと聞いてホッとする。
登美子はこんな所にいないで一緒に実家に帰らないか?とるり子
を誘う。登美子は娘の部屋に掛けられていた直也の背広に気が
つく。るり子は昨日傘代わりに借りた事を告げる。
登美子は自分の結婚話を娘に聞かせる。
学生時代に結婚したい人がいたが、両親から若すぎることを
理由に反対されたという。その後お見合いで今の良夫と出会った
が、当時から印刷会社をしており、待ち合わせの際にはとても
臭いがしたという。デートの時にも、一時間も風呂に入って
来たという良夫の一生懸命な姿を見て、こんなに自分のために
一生懸命になってくれる人ならば一緒にやっていこうと決めた
のだという。初めは辛かったが、結婚しようとしていた彼のこと
を忘れることも多かったとの事だった。
るり子は背広を直接渡さず、宅急便で送る事にする。中には
一言、ありがとうと書いたメッセージを添えていた。
しかしそれを受け取った久美子は密かに手紙を抜き取ってしまう。

一方るり子と自宅で仕事をする兄に対してさやかは、るり子と
優佳のどちらが好きなのか?と尋ねる。みんな好きだという水口。
それを聞いたるり子は、同時に色んな人を好きになれるのか?
と問う。好きなのに無理にブレーキをかけようとする方が余程
不自然だとし、好きならば逢いたいときに逢えばいいのだと語る。

清治はさやかに呼び出されて逢う。
さやかは清治の姉の事は嫌いだという。優佳の方がマシだった
という彼女。清治は姉には好きな人がいるのだから大丈夫だと
し、兄貴に妬いてどうするのか?と問う。すると清治は突然
さやかにキスをすると、兄とはキスも出来ないとし、そういう
相手を好きになってはダメだと語る。

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雨の日に背広を掛けて貰った事を受け、るり子は改めて直也
の事が好きだと気付く。
一方水口の事を手伝っていたるり子だが、優佳は個展のスポン
サーを継続する変わりに彼女を辞めさせる様水口に告げる。

近くに居すぎると相手との関係が自然になりすぎて良さという
ものを実感出来なくなる。

るり子と直也、離れてみて互いの存在の大切さや偉大さを改めて
感じるものだったのではなかろうか。

面白いのは良夫と登美子の関係も、それを実感させる様な
流れである点だ。

男親というのは普段、如何に妻に任せっきりであり、こういう
時になって初めて妻の偉大さが分かるというもの。

気がついた時には離婚した後なんて事にならないためにも
それを確認する為の機会というものが必要なのかも知れない。

るり子と直也は、突発的に久美子と結婚してしまったけれど、
そんな婚姻関係が今後足かせとなって二人の関係がなかなか
円滑には進まなそうだ。

個展の件は優佳の捨て身の攻撃だった感じだけど、逆効果に
なってしまうところが何とも皮肉。
直也は会社で保有する交際費を水口に渡すけれど、直也自身
だけが問題ではなく、開発推進派の企業から金を貰えば、
反対派からも総スカンを食らうことは明らかで、ちょっと安易
な感じもする。
ただこういう所を見ても、直也の人間性というものは浮かび
上がってくるのかな。

最後は昔のトレンティドラマを彷彿とさせる再会シーン。
7時待ち合わせの所、9時まで待っていたるり子。
直也の誕生日だという事を知って抜けられないかと考えてくれる
辺り、例えあの場所に直也が行けなくても最悪の展開にだけは
ならない感じだったね。

沢村るり子 …… 今井美樹 (長女)
高原直也 …… 石田純一 (るり子の婚約者)
沢村久美子 …… 松下由樹 (次女、三流銀行に内定)
沢村良夫 …… 伊東四朗 (父、印刷会社経営)
沢村登美子 …… 佐藤オリエ (母)
沢村清治 …… 大沢樹生 (長男、予備校生、さやかが好き)
水口浩二 …… 財津和夫 (兄、水中カメラマン)
水口さやか …… 高樹沙耶 (妹、エアロビインストラクター)
富永優佳 …… 響野夏子 (直也の関係者)

ユミコ …… あめくみちこ (るり子の同僚)
ナオコ …… 青山美恵子 (るり子の同僚)

仁科扶紀、大森博


小宮健吾、池田政典、野添義弘、山崎大輔


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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