想い出にかわるまで
(1990年1月期、金曜22時枠・TBS)
1990年1月12日から3月30日

脚本:奥村俊雄(1)-(3)、内館牧子(4)-(12)
演出:大岡進(1)(2)(5)(6)、森山享(3)(4)(7)(8)(9)(12)
遠藤環(10)(11)
プロデュース:遠藤環



第12話 1990年3月30日 そして二人は…
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印刷工場が火事になる。良夫は目の前の事実に愕然となり、
工場の機械を運びだそうとするが、直也や清治に止められる。
良夫と登美子は直也たちのマンションに身を寄せる。
直也は僕は家族の一人なのだから気を遣わないで欲しいと告げ
る。

るり子と清治は水口家に身を寄せる。
直也はるり子の元に駆けつける。今日は私の引っ越しもしたから
疲れたでしょうと彼を気遣うるり子。良夫はようやく落ち着きを
取り戻して眠ったことを告げ、両親のことは心配しないでと
るり子に語る。
直也は二人のことを水口に任せると、心配するなと声を掛けら
れる。いずれ彼女とやり直したいと直也は水口に語る。

印刷会社では二人の従業員に退職金を渡して不本意な形で解雇
することになった事を謝罪する。

良夫は火災のあった工場跡地へ。火事は隣の森山不動産のタバコ
の不始末が原因だった。るり子は清治に対して先のことを考え
ようと告げると、清治は融資してくれる銀行を探すという。
しかし清治は銀行を回るも誰も金を貸してくれるところはなく
無力感を感じる。清治は久美子に対して、お前が直也と結婚
するから色々と歯車が狂ったのだと告げる。登美子は小さな
町工場ならばまた建てることが出来るので心配するなと語る。

良夫は家族全員を集合させる。
工場は畳むし、土地は売るという父。少し予定よりも早くなった
だけでちょうど良い潮時だという。どうせ俺の代で終わる予定
だったという父。すると清治は俺が継ぐといい始める。父は
情けなんかかけるなとするが、元々考えていたことだとし、
しかし今の自分では融資してくれる銀行はないので、直也に
名前だけ社長になってくれないか?と問う。立て直すためには
ちゃんとしたものにしたいという。表向き引き継いだことに
して欲しいとするが、それは無理だと直也は語る。

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良夫が一代/40年で築き上げてきた印刷工場が、火災によって
一夜にして崩れ落ちる。最悪の状況の中、清治は再建するために
自分が工場を引き継ぐとし、親にも本音をぶつけていく。

前半は大したドラマではなかったけど、後半は右肩上がりで
ドラマが盛り上がる内容だった。

工場の存在が親子関係を曇らせ、そして最終的にはつなぎ止める
為の役割を果たしたという事で象徴的な存在になった事はいう
までもなく、皮肉にも火災になって初めて息子に自覚が生まれ
たり、親子関係が円滑に話し合うだけの土台が整った。

前半部では女性の姉妹の関係性に主に焦点が当たっていたけど、
後半は男親と息子の関係の気むずかしさがドラマとして
面白い要素として存在していた。

もらい火で火災を起こしたのならば、相手からお金が請求でき
たり保険金によって有る程度再建は可能ではないのかな。
途中でこの土地の評価額が3億円とか言っていたので、取りあえ
ず一家が路頭に迷うことだけはなさそうだけどね。

別れたくはないがどうしても上手く行かないるり子と直也の関係。

僅かな掛け違いが大きく運命を分けてしまう所などとても
面白い演出されていたし、典型的なドラマの結末ではなく、
別れを演出する辺りも面白いものだった。

優佳の役割もようやく最後に来て大きな役目を果たしたなと
言う感じがする。

自由に生きるとは言うは易しだけど、なかなか実行するのは
難しい事だね。

沢村るり子 …… 今井美樹 (長女)
高原直也 …… 石田純一 (るり子の婚約者)
沢村久美子 …… 松下由樹 (次女、三流銀行に内定)
沢村良夫 …… 伊東四朗 (父、印刷会社経営)
沢村登美子 …… 佐藤オリエ (母)
沢村清治 …… 大沢樹生 (長男、予備校生、さやかが好き)
水口浩二 …… 財津和夫 (兄、水中カメラマン)
水口さやか …… 高樹沙耶 (妹、エアロビインストラクター)
富永優佳 …… 響野夏子 (直也の関係者)

ユミコ …… あめくみちこ (るり子の同僚)
ナオコ …… 青山美恵子 (るり子の同僚)

印刷工場の従業員 …… 仁科扶紀、大森博


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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