新空港物語
(1994年度1月期・テレ朝・木曜21時枠)
1994年1月6日〜3月17日

脚本:塙五郎、中村勝行、ちゃき克彰
演出:山口和彦、田中秀夫ほか
プロデューサー:五十嵐文郎、高橋勝、南條記良、力武敏彦
音楽:本多俊之
主題歌:「Don't Leave Me」B'z
テーマ曲:「あの時のように」山根康広




 

第2話 シドニー便を待つ女!殺人容疑者の点と線
--------------------------------------------------------
今日も一番機を無事に定刻通り離陸させる。

一息つく中で、突然JALカウンターから乗客の一人が搭乗して
いない事を受けて、純平は急いで現場に行く。
チェックインは済んでいるが客が現れないのだという。
平成商事岩崎社長だと知り何処に居るのか探そうとする中で
秘書の男性から現在VIPルームで電話しているので
飛行機の
出発を10分遅らせてくれないか
と頼まれる。しかし純平は
個人的な理由でフライトプランは変えられない事を語ると、
岩崎は日本の経済を動かしている人なのだという。しかし私は
責任を持って飛行機を動かしているのだとして、純平は搭乗
させないまま出発することを告げる。

立花は岩崎の秘書からクリーム対応に行ってきた事を語る。
篠崎は相手は財界の大物でファーストクラスの常連なので
クレームを言ってくるのも仕方がないだろうが、純平も少し
は融通を利かせれば良いのになと語る。ただ篠崎は決して純平
の判断は間違えていない事を指摘する。立花もまた
判断は
正しくても対応の仕方が間違っている
とし、急いで客が搭乗
するように説得すべきだと語る。

今日は特に朝から空港には人で溢れていた。
純平は久美子の姿を見かけるとコーヒーを一緒に飲まないか
と誘う。谷川は仕事中だとして自制を求める中で、突然トイレ
から出て来た女性・沢野裕子は、泥棒だとして叫び出す。
すぐに沢野の元に駆け付けると、事情を聞く。トイレの洗面所
に荷物を置いておいたら突然男性が盗んでいったのだという。
黒の手提げカバンだという。
空港管理センターに連れて行き詳しく話を聞く事に。
カバンに入って居たのはビデオカメラと着替えの洋服で、
自分は名古屋在住でブティックに勤務しているという。
友達を見送る為に今朝成田にやってきたのだという。盗難に
有ったのは
9時30分頃とのこと。
事情を聞いていると更に置き引き事件が発生したとして、栗山
が報告に来る。永田という女性は買い物中に
ベージュ色の
セカンドバッグ
を盗まれたとし、中にはパスポートなどが入って
いたとのこと。とりあえずまだその辺に不審者が居るかも
知れないのでみんなで捜そうと言う事になる。

そんな中、一人の女性(内田江利子)が突然谷川に話しかけてく
る。先ほど女子トイレで女性が叫んでいたが、私は盗んでいく
不審者を見たのだという。年齢は31、2歳で黒いコート、ヒゲ面
背の高い男だったと。

一方室長の元に一人の男性が尋ねてくる。
愛知県警・名古屋東署の刑事・工藤昭一が尋ねてくる。
かつて成田空港勤務だった彼は現在名古屋に異動して10年が
経ち、もうすぐ定年だという。
篠崎は空港を案内するとして一緒に工藤と歩く。
勤務していた時とは大違いだと驚く工藤。現在世界最大の空港に
なったのだという。不審者を捜していた純平が現れると、
篠崎は工藤のことを紹介する。空港のオープン以来防犯警備で
お世話になった人だと。

カフェでお茶しながら話を聞く。
工藤が成田に来たのには理由が有った。名古屋で
6時30分頃
引き逃げ事件
があり、容疑者は車を乗り捨てて逃げてしまった
のだという。ブティックを経営している女性で、店員から話し
を聞くと、成田に友人を見送りに来た序でに東京に二・三泊
してくると言っていた人物だという。名前は沢野裕子だと聞く
と、先ほど置き引きにあったとして空港管理センターに来た
人物だという。

早速沢野から話を聞く事に。
すると自分はマンションの駐車場に車を置いて、名古屋発
6時20分の新幹線で来たのだという。事故の有った時間には
車には乗っていないとのこと。成田に着いた時刻を見る限りで
は確かにアリバイは成立していた。
交通事故を起こしてから名古屋に向かったとなると、
名古屋駅
発7時07分の新幹線に乗ることになり、東京には8時56分。
成田エクスプレスで空港に来ると到着するのは9時56分になる
のだという。9時30分には純平たちも彼女の姿を見ていること
からアリバイは成立している
のだった。

--------------------------------------------------------

空港では権力を楯に飛行機の出発を遅らせろと要求するものが
居る中で、突然空港内で二件連続して置き引き事件が発生する。
それと同じくして愛知県警の工藤が、ひき逃げ事件の捜査で
空港を訪ねてくる。なんと置き引きの被害にあったとする女性
がひき逃げ事件に於ける車の所有者だということで疑いの目
を向けていくが・・・

アリバイ事件の捜査と言うことでなかなか面白く出来ていた。
一つの犯罪の流れが別の思惑に使われてしまうという
何とも皮肉な話で、ちょっぴり空港管理センターの枠を超えた
刑事事件捜査として描かれすぎている所もあるのだけど、
この手のドラマならばこういう内容になってしまうのはある意味
仕方が無いのかも。


一方の事件は、男女関係の思惑の違いがあぶり出される
事件だった。この男性も一体どういうつもりなのかという感じ
で妊娠中の女性を置いて夢を追いかけに行こうとするし、連絡
を取らず出て行ってしまうという辺りの行動があまりに唐突。
しかも殴って出て行くのだからただ事ではない。
説明しても無駄だと感じて話さないのだろうか?

この流れの嘘が上手い事もう一つの事件の疑問点の着眼点
に繋がっていく。当初なんでこの女性は逃げずにずっと
空港に居るのかなと思って見ていた。すぐにこの女性の嘘
なんてばれるわけだし、なんとしてでもアメリカ行きを阻止
したいが為の行動だったのか。

もう一方の事件は本当に殺人が絡んでいるということで、
ただ事ではない案件だった。
どうしてもアリバイが崩せないということで、駄目かと思わせる
も裏技として存在する海外旅行者向けの名古屋発成田行きの
飛行機があるというところが興味深く利用された感じ。

時刻表好きにはたまらないトリックだったのかも知れない
けどね。

篠崎潤三 …… 植木等 (空港管理センター室長)
新道純平 …… 東幹久 (空港管理センター勤務)
藤沢久美子 …… 鈴木杏樹 (航空管制官)
立花洋子 …… かとうかずこ (空港管理センターチーフ)
宗方克也 …… 布施博 (空港管理センター主任)
香山康二 …… 布川敏和 (空港管理センター勤務)
谷川銀次郎 …… 勝村政信 (空港管理センター勤務)
栗山荘子 …… 鈴木蘭々 (空港管理センター勤務)
高田豊 …… 菊池孝典 (パイロット。久美子の恋人)
八巻澄子 …… 川嶋朋子 (空港管理センター)
中野克子 …… 吉村美紀 (空港管理センター)
下田昌代 …… 松井祐未 (空港管理センター)
山村秀子 …… 中村裕美 (空港管理センター)

内田江利子 …… 立花麻衣 (銀座のホステス、片岡の彼女)
沢野裕子 …… 野田善子 (室井の不倫相手、名古屋のブティック勤
務)
室井正己 …… 山本紀彦 (伸拓商事・貿易部部長)
片岡良二 …… 阿川藤太 (ミュージシャン、N.Yへ)
工藤昭一 …… 左右田一平 (愛知県警・名古屋東署の刑事)

村田則男、今村公一、松永祐美、辻祐介

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system