世にも奇妙な物語
(第1シーズン)

企画:河野雄一、清水賢治
監修:土屋斗紀雄
プロデューサー:塩沢浩二

■■9話 屋上風景 / 坂道の女 / だれかに似た人





第1話 屋上風景

脚本/小中千昭
--------------------------------------------------------
大学生の西原は水井商事のゼミの5期先輩に当たる野の元を
尋ねる。会議が終わらなくてもう暫く時間がかかるとし、地下
に社員食堂があるのでそこで1時まで時間を潰していて欲しい
と言われる。先輩とは名ばかりで会ったこともない人・・待た
されることくらいは仕方ないと呟く。
エレベーターに乗るとそこに居た社員たちが全員が同じように
行動を取っており、個性のない人間に思われた。あこがれの会社
だが自分も入社したら個性が無くなるのかとちょっぴり心配す
る。1階で西原以外の全員が下りる中、B(地下)ボタンを押して
エレベーターの扉が開くと何故かそこは屋上だった。
まぁ別に良いかという西原に対して、何をしているのかとして
市井稔という社員が声を掛けてくる。会社訪問にしては早くな
いかとすると、先輩に会社の様子を聞きたいと思い尋ねて来た
という。先輩の名前は野だとすると、彼はやり手だよねと
語る市井。しかし西原は実は今日初めて逢ったばかりだと語る。
すると突然市井は屋上のフェンスから下を眺めると、あそこに
植え込みがあるだろうとし、自殺する人も思うものなんだとして
墜ちていく途中にコンクリートに墜ちると痛いので植え込みの方に
墜ちたいと。メシをまだ食べていないのでしょというと、自分が
奢るので一緒に食べに行こうと誘う。
うなぎの店にいくが客は一人もいなかった。
市井は僕はウチの会社は勧めないという。社員の中でも成功する
のは1/5でそれ以外は下積みや地方に送られ厳しいノルマを課せら
れるだけだという。会社の雰囲気も冷たいという。商社の中でも
マシだとされてるが、商社には考え方が2通りあるのだという。

1) 売り手と買い手が 50 / 50とすること。
2) 相手だけ損をさせてこちらだけ儲けること。

初任給はトップで給料も高く、福利厚生も良いとするが、中にいる
人間が悪くては意味がないという。西原はこの人は人事部の人で
自分のことを試しているのではないかと感じる。
--------------------------------------------------------

死者が生きて居るものに何かを伝えるというのは良くあること。
見た目だけに騙されるなと忠告していくものたちが二名出てくる
が、一名はここの元社員で一名は社員とは関係ない警備会社の
人間。

エレベーターに乗るとどの階のボタンを押しても屋上へとたどり
着いてしまっては男性はそんな死者たちからのネガティブメッセ
ージを受け取る。

どれだけ悪い会社なのかということはあまり多くは伝わらなかった
けれど、忙しさ・給料や福利厚生の良さの裏には、それなりの
苦労はつきものだと思う。

このままこの会社に入れば君もこの屋上から飛び降りることになる
という優しい忠告なのかも知れないけど、決めるのは本人だからね。
どの会社でも1/5に入れるかどうか。

全く顔の知らない人たちからの色んなツテを使った話ということで、
先輩からのアドバイスよりも死者のアドバイスが最も使えるという
ことをもっと示して欲しかった感じ。自殺したという事実ばかりが
抽出された感じで、初期の「世にも・・」はこういうネタが多いね。

西原 …… 鶴見辰吾 (大学生)
市井稔 …… 津村鷹志 (3年前、水井商事・第三営業部・係長)
警備員 …… 川崎敬三 (警備員)

福田健次、佐藤百起、

高野 …… (水井商事・第三営業部)



評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)



第2話 坂道の女

脚本/大原豊
--------------------------------------------------------
タモさんが運転するバスから下りる河野はある女性編集部員を
していた。大学の先輩・遠藤和生という作家の原稿を取りに
行く為にマンションに来たのである。住所を教えられたが、
場所が分かりづらかった。この先に行っても本当にマンション
などあるのか。そうしている間にも雲行きが怪しくなり雨が
降り始める。地蔵の隣を通り過ぎる中、黄色い傘と黄色い靴を
履いた人物が坂から上がってくる感じがした。しかしよく見る
と居なくなっていた。しかも突然「お母さん」という声が聞こ
えた為に河野は誰なのかとして辺りを探して回る。しかし誰も
居る様子がないと思い始めた頃、突然白いレインコートを着た
女性が通り過ぎる。声を掛けようとするが走って通り過ぎた
為に声を掛ける暇もなかった。「ゆきこ」と言いながら坂道を
走っていく。しかしあの女性何処かで逢ったことがある気が
すると感じる。しかしあの女性が走ってきたところを見ればこの先
に家は有るはずだと感じる。
ようやく遠藤の家を発見しチャイムを鳴らして中に入れてもらう。
こんな所まで来てもらって悪いなというと、今入力が終わった
のだという。引っ越して一ヶ月が過ぎるのに全然片付いていない
ことを指摘すると、夜な夜なネオン街に女連れでふらついている
というウワサを聞いたという。そんな事だから奥さんにも逃げられる
んですよと言われるが、妻とはちゃんと協議離婚し性格の不一致だ
ということで決着したのだという。ここは静かで仕事がはかどる
とのこと。しかし一人でいると怖いくらいだという。
遠藤は河野の対して道を迷わなかったかと尋ねると、彼は途中で
不思議にことがあったという。先月遠藤先生の原稿を取りに
行ったホテルでぶつかった女性と来る途中に見かけたというので
ある。妙な感じがしたとしその少し前にも不思議なことがあった
という。子供の声がしたとしてお母さんと呼んだ声がしたというもの。
それって本当なのかと問われると、決して作り話ではないという。
それを聞いた遠藤の手は震え出すのだった。
--------------------------------------------------------

河野が先輩で作家先生の遠藤の元に尋ねる際に、不思議な光景
を目にする。そしてその不思議な光景の原因を作ったのがだれ
でもなく遠藤だったというオチ。

幽霊はこうしてできあがり、現れるという典型的エピソード。

確かに原因の一端は遠藤にもありそうだけど、女性から嫌がらせ
を受けなければならない程のものなのか。
それだけ女性関係に乱れがあって、余程の適当な付き合いがあった
のか。その後何も供養もしなければ手を合わせることもしなかった
のかななど想像させるものがある。

しかしホラーっていうと必ず濡れた長い女性の髪の毛って感じだ
よね。髪の毛ってなんでこんなに気味の悪いものとして扱われる
ようになったのか。

河野 …… 京本政樹 (女性編集部)
遠藤和生 …… 岡本富士太 (小説家)

津島令子、江崎裕子


第3話 だれかに似た人

脚本/塩田千種
--------------------------------------------------------
西川は胃の調子が悪い為に、大学病院にいく。
医者からは来週の木曜日に検査結果が出るという。西川は
悪性の腫瘍とかなのかと問うと、軽い胃潰瘍だろうと語る。
帰り道西川はコーヒー店"サンプトム(samptome)"に立ち寄ると
マスターから何にしますかと問われる。コーヒーにしようかと
思ったが、胃の調子のことを考えてホットミルクを注文する。
大学病院から来たのかと問われると、実はそうだとしてよく
分かりましたねと語る。もっと悪い事を言われると覚悟していた
が軽い病気だと分かって良かったという。そんな中、西川は店から
出て行くのが町田さんかと思い声を掛ける。ウチの社の営業の人に
似ていたとし、先月末にアメリカに出張に行ったハズなのに変だ
という。世の中にはよく似た人がいるもんだとするが、西川は
会社に戻ると、町田さんが亡くなったということを耳にする。
コニーアイランドに向かう途中の車の中で心臓発作を起こした
のだという。

3ヶ月後、病院帰りにサンプトンに再びホットミルクを飲みに
行くとマスターも彼女を覚えていた。そんな中またしてもジュン子
ちゃんに似ている人がいて声を掛ける。福岡に嫁いだ従姉妹に
そっくりだったという。
会社で働いていると突然母親から電話が鳴り、ジュン子が交通事故
で亡くなったというものだった。さっき似た人に会ったばかり
なのに・・
3度目の店にいくと、今度は二葉短大時代のゼミの杉本先生とそっくり
の人と出会う。声を掛けるが人違いだとされ、急いで会社に戻り
同窓会名簿からノリコに電話して杉本先生の消息について尋ねると
昨日胃がんで亡くなったことを聞くのだった。
--------------------------------------------------------

西川が喫茶店で見る自分の知り合いの人間。
そこで見た人は必ず亡くなっているかこれから亡くなっている
であろうことを2度の死に直面して、その法則性を掴んでいく。
3度目に訪れた時にハッキリと断定出来るほどに、その店で見か
けたのと同じ人物が亡くなっていることが分かり、自分がそこ
で見えてしまえば自分が死んでしまうと考えて急いで店から出て
いく。

全くもって都合の良い話だけど、会社員なのか会社員役の役者なの
かの設定がもの凄くいい加減な感じに作ってある。

最後に一癖つける為だけに役者だったとして西川の設定を固定づける。

ただ役者ならばこれまでの喫茶店での出来事も全て作り話という
ことになり、鏡の件だけが抽出されてしまうという辺りの雑な
流れがなんとも言えなかった。

鏡とか黒いバラとか、如何にもそれらしい要素を織り交ぜたな。
死ぬ直前に自分の元に会いに来た人物が亡くなるという不思議な話
はよく聞く話なので、そんな話を加味した流れが有ったのかな。

西川 …… 斉藤慶子

及川ヒロオ、松永博史、筒井由美子、真鍋敏
甲斐美恵、伊藤正博、鈴木よしひろ、野々村企晋、和田周




佐久晋吾



inserted by FC2 system