ケイゾク
(1999年1月期・TBS金22時枠)

脚本 - 西荻弓絵、清水東(第8話のみ、共同脚本)
プロデュース - 植田博樹
演出 - 堤幸彦、金子文紀、今井夏木、伊佐野英樹
企画協力 - 蒔田光治
音楽 - 見岳章

http://www.tbs.co.jp/drama_archive/keizoku/index-j.html


第1話 死者からの電話
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志村の元に多田洋一から電話。昨年貸した20万円を返してくれ
というもの。死んだはずではなかったのかと志村は驚く。

捜査一課では7年前に殺害された事件と関連する事件が起こった
として会議が行われる中、2係の新人・柴田純が遅れてやって
くる。東大出身ということで数字には強いが、極度の方向音痴
の彼女。2係はここではなく地下だと言われる。捜査一課を
指揮している早乙女からは、柴田純一郎参事官にはお世話にな
ったとして頭を下げられる。純の父は殉職し、その遺志を継ぐ
べく警察キャリアに就任したのである。

2係にいくと、係長の野々村からみんなに紹介される。
2係で働くのは、野々村以外にも真山、近藤、谷口だった。
署内でぶつかった木戸彩は一係の庶務で働いているという。
3ヶ月という短い研修期間、柴田純は現場で働くことになって
いた。野々村からここは捜査一課の一係が音を上げた事件の
資料が置かれており、名目上ケイゾク捜査になっているが、
迷宮化した事件だと言われる。

そんな中、ケイゾク事件について相談したいという人物・志村
がやってくる。一年前に四日市で殺された多田洋一(37)から
昨日電話が有ったという。借りた金は親族に返したというが、
明日多田と逢うことになったという。一人では恐いので誰か
一緒に来てくれないか?というもの。

一年前に起きた"四日市市会社員殺人事件"。
当時被害者の多田は仕事で四日市に居たが、夜中の一時頃に
ホテルのラウンジから旧友たちに一緒に飲まないかと電話した
という。容疑者は会社の上司の太田浩二(40)。事件の夜、太田
は六本木のバーに居た事をマスターが証言していた。しかし
太田は多田が不正を告発したのを相当恨んでいたとして、動機
としては十分な物があったが、午前0時までバーで飲んでいた
為にアリバイは成立していた。死亡推定時刻は午前1時から2時。
腹部を刺殺した後にビルの屋上から突き落とされ、翌日の8時
15分に発見された。顔は潰れて確認できなかったが、歯の治療
痕から、本人だと確認が出来たという。
問題は太田が容疑者だとすると、六本木から四日市まで2時間で
現場に着かねばならず、新幹線を使っても2時間30分、高速道路
を使っても4時間30分はかかるというものだった。
2時間で移動する方法は有るのか?柴田は頭を抱える。

待ち合わせの場所に一緒について行く柴田と真山。
しかし多田は現場に来なかった。真山はアリバイを調べたい
として、太田の妻・慶子に会いに行く。現在夫のした償いを
するためにも老人介護のボランティア活動をしているという
彼女。事件のあった時には嫌がらせてで一時期ノイローゼに
なったことも有ったという。主人から連絡は一切無いとの事。
多田の事を主人はそんなに恨んでいたのか?と問うと、夫は
後輩の多田を可愛がり気を許していた為、全ての事を知って
いたという。それがある日突然匿名で会社に告発の電話が
有ったのだという。何故裏切ったのか?太田が着服した800万円
を使った多田にも同罪のハズ。多田は真面目な人だったので
許せなかったのではないか?という。
慶子に亡くなった多田から電話が有った事を知らせると、もし
同じ電話が鳴れば呼んで欲しいと告げる。

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殺害された多田と殺害した容疑者の太田。
容疑者の太田も事件後に逃走しており、妻はそんな主人の尻ぬ
ぐいをしてボランティア活動に精を上げていた。
ある時殺害されたと思われていた多田から電話が有ったとする
男性が現れた為に捜査が再び動き出す。

アリバイのトリックという殺人事件ものでは定番のトリック
なのでなかなか興味深い物がある。
着眼点はアリバイ以外にも、本人を確定したとされる歯の治療
痕で有ったり、何故刺殺した後にもビルから落としたのかと
いう点だ。

ドラマは「トリック」の堤幸彦が演出しているもので、主人公
の女性が事件を解決に導くという共通点が存在する。しかし
男性刑事との砕けたやりとりというものは殆ど存在せず、
最もバディの関係に近い真山は、何らかの容疑者をずっと監視
しているような伏線が貼られている。

名前を使って上手く被疑者と被害者をすり替えている所や、
アリバイという着眼点を被疑者ではなく被害者に向けている
所はとても面白い部分だ。

確かに夜中の一時に大して仲良くしていた訳でもない友人を
誘っている現実は、アリバイ工作のためとしか思えない所が
有るからね。

そこに愛はあったのか?という多田と慶子の関係も秋吉久美子
さんが演じていたこともあって、ちょっとした小悪魔的雰囲気
が漂う中、純愛を信じている柴田との対比が面白いように描か
れた。

一課と二課の関係とか、柴田と木戸の関係など事件解決以外に
も興味深い要素は存在する。木戸は警察官になる前の5、6年前
にはホステスとして働いていたとか。なんでそんな人物が
警察官になろうとしたのだろうね。


柴田純 …… 中谷美紀 (24歳・警部補。東大卒のキャリア組)
真山徹 …… 渡部篤郎 (32歳・警部補。捜査一課弐係・主任)
野々村光太郎 …… 竜雷太 (59歳・警部。捜査一課弐係係長)
近藤昭男 …… 徳井優 (39歳・巡査。捜査一課弐係・機械好き)
谷口剛 …… 長江英和 (40歳・巡査部長。捜査一課弐係・長身)

木戸彩 …… 鈴木紗理奈 (22歳・捜査一課一係の庶務)
壺坂邦夫 …… 泉谷しげる (60歳・警部補。"タンツボ")
林田誠一 …… 矢島健一 (40歳・早乙女管理官の腰巾着)
長尾昇 …… 有福正志 (46歳・早乙女管理官の部下)
早乙女仁 …… 野口五郎 (42歳・キャリア組の管理官)

斑目重友 …… 村井克行 (公安時代の真山の部下)
朝倉裕人 …… 高木将大 (22歳・真山の妹を輪姦)
大沢麻衣子 …… 西尾まり (25歳・世田谷区役所勤務)
真山沙織 …… 多田亜沙美 (17歳・真山の妹)
KEE …… KEE (24歳・本名:蒲田貴一・記者)
今井夏紀 - 峯村リエ、今井夏木

太田慶子 …… 秋吉久美子 (太田の妻)
多田洋一 …… 温水洋一 (殺害された会社員、八十五建設)
太田浩二 …… 大河田浩 (八十五建設で多田の上司)
志村 …… 村松利史 (多田の麻雀仲間)

遠井道憲、森田正光、南ユイ、おはよう、西田ももこ
おがわひでのぶ、八十田勇一、土居辰男


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