ケイゾク
(1999年1月期・TBS金22時枠)

脚本 - 西荻弓絵、清水東(第8話のみ、共同脚本)
プロデュース - 植田博樹
演出 - 堤幸彦、金子文紀、今井夏木、伊佐野英樹
企画協力 - 蒔田光治
音楽 - 見岳章

http://www.tbs.co.jp/drama_archive/keizoku/index-j.html


第3話 盗聴された殺人
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近藤は同窓会のためにホテルのすみれの間へと足を運び、シャ
ンパンで仲間を驚かせようとするが、指定された部屋に行くも
誰も居ない。再度電話で確認しその部屋に行くと、同級生たち
が大勢その部屋でパーティーをしていた。

近藤は翌日野々村に相談すると、そこにはトリックが有るとし、
自分が解くという。柴田は相変わらず本に夢中でバスで終着駅
まで乗り過ごしてしまう。なんとか午前中には出社するが・・

そんな中、またしても早乙女から2係へと回されてきた女性・
竹下美奈子の姿があった。美奈子は一年前にブティック
「ラ・シェル」で起こった殺人事件の被害者の妻だという。
1月22日、夫の会社に強盗が入り、一千万円と夫が刺殺されて
見つかったというもの。彼女は犯人が分かったと告げ、かつて
そこで働いていた従業員の森川祐子が犯人だという。
カフスを取り返しに彼女のアパートの一室に行った際に、ドア
越しに彼女が恋人と共犯して殺害したというのを聞いてしまっ
たという。今週の木曜日の夜23時に金を受け渡す約束をして
いたとの事。捜査一課では取り合ってくれない為にここに来たの
だという。しかし野々村は立ち聞きだけでは証拠にはならない
として逮捕に難色を示す。それならば木曜日に部屋に盗聴器を
仕掛けてそれを証拠にしてくれないかというもの。
盗聴は違法な捜査で裁判では役に立たず、更にそれが勘違い
だとすると人権問題に発展するので難しいという。それを聞いた
美奈子はみんな犯人のことしか考えておらず、被害者の事を
考えてくれる人は居ないのかと訴える。

そんな中、調書を見ていた純は犯人は分かったという。
森川は犯人に殴られたと証言しており、その目撃証言の中に
野球帽を被り赤いシャツを着ていたとしているが、調書には
当時捜査員が踏み込んだ際には電気がついておらず、暗闇の
中、森川が赤いシャツを確認するのは不可能だという。見えて
いないハズの犯人の目撃証言は、仲間である可能性が高いの
だという。

早速森川のアパートの張り込みが始まる。
純は彩から張り込みに関する最低限の心得を教えて貰う。
張り込みは決して目だってはいけないこと。近所の人と接触
するとすぐに警察が張り込んでいるとの噂が立つので厳禁だと
いう。トイレを借りるのもダメだという。ではトイレに行きたく
なったらどうするのか?という問いかけに、公衆便所に行くか
張り込み捜査官はオムツをしていくものだという。純は彩が
からかった事を真に受けてオムツをして現場に行くことに。

木曜日。ビルメンテナンス会社に扮して現場が見える駐車場
で張り込み。純も張り込みの許可を得たとしてやってくる。
真山に対してゴワゴワしないか?とオムツの感触を尋ねると、
そんなものしている訳がないとして、そこで初めて彩にからか
われたものだと判明する。
既に森川邸に盗聴器を仕掛け終えており、人が出入りするのを
待つ。そんな中、心配でやってきた美奈子は、盗聴器が見つか
ったりしないのか?と不安を訴えに来る。最新式のものなので
見つけづらく、テレビの後に仕掛けてあるので、大丈夫だと
告げる。純は美奈子に夫と森川の不倫関係には気がついていた
のか?と尋ねると、一年前から薄々気がついては居たという。
それまではとてもマジメな人で、そのウチ戻ってきてくれるだ
ろうと信じていたという。

そんな中、夜23時になるとシャワーの音が聞こえる。
更に相手の男性・成田誠がやってくる。近くで張り込みして
いる谷口にもそれを知らせ一気に緊張感が走る。そんな中、
盗聴器から女性の悲鳴声が聞こえると、真山は真っ先に車を
飛び出し現場に駆けつける。そして近くにいた成田を捕まえる。
森川の安否を調べると、部屋の中で血を流して亡くなっていた。
森川は鈍器で頭を殴られており、殴った置物の時計が落ちて
いて、更に何故だか血の付いた包丁も落ちていた。

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夫を殺して金を奪っていった愛人が、金の受け渡しを行う事を
聞きつけ、正妻は警察に相談しに行く。その事実関係を調べて
逮捕するために、愛人の部屋に盗聴器を仕掛けて、共犯者と
接触するのを待つのだが・・・

わざわざ冒頭の近藤のエピソードは必要なのか?という気が
しないでもない事件だった。

犯人はすぐに分かるものだし、トリックとしても壁を移動させ
るものだとは分かったけれど、あの壁を用意する手間とか
運び込む過程を考えると、ちょっと無理があるようなトリック
だった。

盗聴器を仕掛けさせるために誘導したり、わざわざ盗聴器の
存在を確認するためにわざわざ張り込みする車にまで来て
いたので、如何にも犯人だというものだった。

面白いのは現場に落ちていた二つの凶器で、実際に凶器として
使われたものには指紋が付着してなく、包丁には指紋がついて
いるという不自然な状況が描かれていた点。

部屋の外にシミが有ったので、あのシミは壁の中で長い時間
犯人が待っていたためにおしっこをしたものなのかと思って
いた。オムツネタもそんな所に繋がっているのかなと。
そのおしっこをDNA鑑定すると犯人が特定される段取り
なのかなと思ってみていたが、その辺は言及されなかった。

しかし今回は純が刑事として守るべき物、法が守るべきもの
について、彼女が思い悩むシーンなどが挿入され、被害者の
訴えが上手く警察官の存在意義について考えさせるシーンを
作るなど興味深いシーンが描かれた。


柴田純 …… 中谷美紀 (24歳・警部補。東大卒のキャリア組)
真山徹 …… 渡部篤郎 (32歳・警部補。捜査一課弐係・主任)
野々村光太郎 …… 竜雷太 (59歳・警部。捜査一課弐係係長)
近藤昭男 …… 徳井優 (39歳・巡査。捜査一課弐係・機械好き)
谷口剛 …… 長江英和 (40歳・巡査部長。捜査一課弐係・長身)

木戸彩 …… 鈴木紗理奈 (22歳・捜査一課一係の庶務)
壺坂邦夫 …… 泉谷しげる (60歳・警部補。"タンツボ")
林田誠一 …… 矢島健一 (40歳・早乙女管理官の腰巾着)
長尾昇 …… 有福正志 (46歳・早乙女管理官の部下)
早乙女仁 …… 野口五郎 (42歳・キャリア組の管理官)

斑目重友 …… 村井克行 (公安時代の真山の部下)
朝倉裕人 …… 高木将大 (22歳・真山の妹を輪姦)
大沢麻衣子 …… 西尾まり (25歳・世田谷区役所勤務)
真山沙織 …… 多田亜沙美 (17歳・真山の妹)
KEE …… KEE (24歳・本名:蒲田貴一・記者)
今井夏紀 - 峯村リエ、今井夏木

竹下美奈子 …… 松田美由紀 (ブティック「La Shell」のオーナー
の妻)
森川祐子 …… MIKI (プティックの元従業員)
成田誠 …… 山口馬木也 (祐子の恋人)

遠城啓輔、久松信美、樋渡真司、南ユイ、立原勇武、西美子
初田啓介(アナ)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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