ケイゾク
(1999年1月期・TBS金22時枠)

脚本 - 西荻弓絵、清水東(第8話のみ、共同脚本)
プロデュース - 植田博樹
演出 - 堤幸彦、金子文紀、今井夏木、伊佐野英樹
企画協力 - 蒔田光治
音楽 - 見岳章

http://www.tbs.co.jp/drama_archive/keizoku/index-j.html


第7話 死を呼ぶ呪いの油絵
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既婚者や子供の居る家庭では相当な優遇措置が得られることを
野々村はみんなに告げる。最近では家族の誕生日にも有休が
もらえるし、結婚すれば人事部から20万円が報償として得られ
る。そんな話を聞いて独身の真山は何としてでも今月中に結婚
してやると呟く。

そんな中、6年前に神宮寺で経営している"山田画廊"で殺害さ
れた事件に関連して、その関係者である山田菜穂子(24歳)が
相談にやってくる。父の重雄が6年前の事件で亡くなり、それ
以降引き継いでいるという娘。この画廊には曰く付きの絵があり
子供が遊んでいる絵は、時に勝手に絵柄を変えるという。
その変わった絵柄を見たものは死ぬと言われており、父の重雄
もそれで亡くなったという。
6年前の1993年3月3日。午後7時、忘れ物を取りに画廊に戻った
山田重雄は絞殺された。その時にも父は絵が変わった事を電話
で訴えていた事。今回、再び絵が変わったとする人物が現れた
という。ここにいる藤田滋だという。警察に是非この事件の
真相を解いてくれないかというものだった。

早速真山と純は山田画廊へと足を運ぶ。
そこで働いているのはマネージャーの菊池と美大生のアルバイト
高杉だった。
話を聞く中で、菜穂子はコーヒーが飲めずいつもハーブティを
持ち歩いている事を知る。それを聞いて純も最近ハーブティを
持ち歩いているとして、同じポットをバッグから取りだした。
家には夕べから海外から帰国している母の兄である叔父の平良
文弘が来ているという。その叔父も帰国して"うわさの絵"を
見たという。しかし現在までの所絵が変わったと感じたのは
滋だけだった。
そんな中、文弘は酔っぱらってやってくる。本人は時差ぼけを
直すために飲んでいるとの事。絵のことを尋ねると、"賽の河
原の絵"の事か?として、寒気のする絵だという。

実際にその絵を見に行くと、絵の価値は5千万円は下らないと
いう。純はその絵の写真を撮ると何かあるまで一時署に戻ろうと
する。するとそんな中、絵のある部屋で叔父の悲鳴が聞こえると
共に、絵が変わっているとして文弘は恐怖の余り外へと飛び出
してしまう。絵を確認すると、絵柄の中にいた子供の絵が消え
ており確かに変わっていた。純はすぐに絵の写真を撮ると、
走り去っていった叔父を捜すため外へと繰り出す。

何処に行ったか見あたらず、一度画廊に戻ると、またしても絵が
元通りになっているのを確認。そんな中、文弘から電話が鳴り
助けを求めてくる。近くには工事現場があり海の近くだとして
電話が切れてしまう。菜穂子に確認すると、ウチの倉庫が芝浦
に有ると聞かされ、真山を連れて三人で倉庫の有る芝浦へと
足を運ぶ。

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山田画廊には絵が変わるという不思議な絵が展示されており、
その変わった絵を見た物は亡くなるという言い伝えが有った。
6年前にその絵を目撃した画廊の店主は不審な死を遂げており、
今回6年ぶりに絵が変わるのを見たという女中が相談に来る。
果たして本当に絵が変わるのか。そして死との関連性は如何に!?

ドラマ「トリック」色の強い内容だった。
殺人が起こっているのではなく、犯行予告のような形で死が
訪れるのを防ぐことが出来るのかというもの。

このドラマ全般に言えるが、例え物証は見つかったとしても、
それが殺害に直接関連しているかどうかの検証は一切行われず
純の推理との整合性を図るだけの物証となっているために、
どうしても展開としては胡散臭い物がある。小説の中では
成立するような流れで有ってもビジュアル化すると辛い物が
有るかな。

絵をすり替えるという辺りのトリックはとても良くできている
のだが、今回の一番のネックは、殺害を犯す為に飛び出した
文弘を捕まえて殺害する所か。
文弘が都合良く外に飛び出して行かなければ、どのように殺害を
したのか気になる所。

しかし芝浦の湾の光景を見て、自分が何処にいるのか?という
問いかけに対して、真っ先に思い浮かぶ物の視覚や嗅覚の
感覚の違いを指摘した辺りは、とても面白くできていた点だ。

ハーブティのポットに関しては多少の胡散臭さは有ったけれど、
トリックとして面白く使われた。わざわざポットに入れて置か
なくても、車の中にタンクでも仕組んでおけば良いだけの様な
気もする。

犯人が上手く純たちに同行してアリバイを証明しようとする
小狡さもドラマとしては上手く出来ていたと思う。

それにしても純が朝倉に首を絞められていたけど、その後何故
何も言及が無かったのか。
またルポライターが殺された件で、彼が何を追っていたのか。
真山に絡ませて描かれている辺りは今後を期待させるものだった。


柴田純 …… 中谷美紀 (24歳・警部補。東大卒のキャリア組)
真山徹 …… 渡部篤郎 (32歳・警部補。捜査一課弐係・主任)
野々村光太郎 …… 竜雷太 (59歳・警部。捜査一課弐係係長)
近藤昭男 …… 徳井優 (39歳・巡査。捜査一課弐係・機械好き)
谷口剛 …… 長江英和 (40歳・巡査部長。捜査一課弐係・長身)

木戸彩 …… 鈴木紗理奈 (22歳・捜査一課一係の庶務)
壺坂邦夫 …… 泉谷しげる (60歳・警部補。"タンツボ")
林田誠一 …… 矢島健一 (40歳・早乙女管理官の腰巾着)
長尾昇 …… 有福正志 (46歳・早乙女管理官の部下)
早乙女仁 …… 野口五郎 (42歳・キャリア組の管理官)

斑目重友 …… 村井克行 (公安時代の真山の部下)
朝倉裕人 …… 高木将大 (22歳・真山の妹を輪姦)
大沢麻衣子 …… 西尾まり (25歳・世田谷区役所勤務)
真山沙織 …… 多田亜沙美 (17歳・真山の妹)
KEE …… KEE (24歳・本名:蒲田貴一・記者)
今井夏紀 - 峯村リエ、今井夏木

山田菜穂子 …… 田万由子 (神宮寺にある「山田画廊」の代表取
締役)
平良文弘 …… 半海一晃 (母の兄 叔父。)
山田重雄 …… 若松武史 (菜穂子の父親。)
藤田滋 …… 大方斐紗子 (女中。)
菊池 …… 石山輝夫 (画廊のマネージャー)
高杉 …… 柴田雄平 (「山田画廊」のアルバイト。現美大生。)


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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